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これからの社会保障制度について

これからの社会保障はどうなるのー?

令和時代初の予算編成のルールとなる概算要求基準作りが大詰めを迎えている。財務省は歳出上限を 7 年連続で見送り、社会保障の自然増を「6000 億円程度」と前年と同水準にする方針だ。

2019 年度は当 初予算が初めて 100 兆円に達し、財政膨張への懸念が高まったが、20 年度も各省庁の要求総額の 100 兆円超えが確実。

歯止めとなるべき基準の形骸化が進み、早くも財政規律の緩みを見せている。 「参院選があり、景気の先行きが見通せず、消費増税も控える。基準を歳出抑制に大きく切り替えるタイミ ングではない」。

財務省幹部はあきらめ顔でこうつぶやく。 政府は参院選後の 7 月下旬にも経済財政諮問会議を開き、20 年度の概算要求基準を了承する。

各省庁 は基準に基づき、8 月末までに財務省に予算を要求する。財務省は要求を査定し、年末に予算案をまと める。 19 年度予算は概算要求総額が 5 年連続で 100 兆円を超え、当初予算で初めて 100 兆円を突破した。

20 年度の基準は歳出の上限を定めない「青天井」を踏襲する。歳出を縛らず、経済状況に応じて柔軟に対 応できる一方、歳出拡大に歯止めをかけにくく各省庁の予算要求が膨らむ温床にもなっている。特に懸 念されるのは予算の 3 分の 1 を占め、膨張する社会保障費の扱いだ。


財務省は概算要求基準で、高齢化によって自然に増える金額の見込みを前年と同じ 6000 億円程度とす る方向で調整する。19 年度はここから 5000 億円を下回る水準に絞り込んだ。

20 年度予算でも前年と同 じスタートラインを敷き、「ゴールも同じく 5000 億円を下回る水準を意識している」(財務省幹部)。特に今 年は 2 年に 1 度の診療報酬改定を控える。

医療の公定価格である診療報酬に全体でどこまで切り込め るかが焦点だ。 このほか、各府庁に公共事業などの裁量的経費を 19 年度予算と比べて 1 割削ることを求める。

削った分 の 3 倍を成長分野に優先配分する「特別枠」に盛り込める措置も続ける。特別枠の規模は 4 兆~5 兆円 になる見通しだ。

10 月に予定する消費税率の 10%引き上げへの対策は概算要求基準とは別枠で扱い、 12 月末の予算編成過程で決める。

19 年 10 月には幼児教育・保育の無償化や介護人材の処遇改善が始まる。19 年度予算では半年分の予 算計上だったので、20 年度には単純計算で倍の予算が要る。

18 年度の税収は 60 兆 3563 億円と過去最 高だったものの、歳入の 3 割強を国債に頼るのは変わらない。財務省内には早くも「財政再建の勝負の 年は 21 年度から」(幹部)との声が出始めている。

社会保障費の増大が止まりません。
このままでは、財政は行き詰まるでしょう。だからこその消費増税?

しかし、消費増税でどうにかなるような問題ではありません。
1)保険料と税金では足りない公的年金の支給(56.7兆円) 2)健康保険の医療費(39.2兆円) 3)介護費(10.7兆円) このように膨らんでいます。

毎年社会保障費の赤字は33.1兆円。

増税というならば、消費税を25%(税 収で+34兆円)に上げないとバランスはとれません。10%ではどうにもならない。

ただ、政治的・経済的に消費税25%への増税は実行できません。
どの政党が政権をとっても倒れるで しょう。

2018年の財政赤字を含む社会保障費の総負担は、合計で国民所得の48.7%になっています。現状 の制度のままならば、国民負担率はさらに上昇します。

●50歳以下は国債と社会保障費が大きな負担になる。
現行の社会保障の問題は、世代間の受益と負担の格差です。60歳以上の世代は現行の制度から受益 があります。(年金+医療費+介護費)。支払った保険料以上に受取額が多い。

つまり60歳以上の世帯 は、60歳以下の世帯から所得移転を受けていることになります。 50代は生涯所得(700万円×30年:想定2.1億円)の約5%、1,000万円の負担超過です。年金・医 療・介護保険で支払う金額が給付より1,000万円多い。

40代では8%の1,600万円、30代なら11%の2,300万円、20代では生涯所得の13%の2,700万 円。

20代の場合、夫婦なら、この2倍の5,400万円にもなるのです。 今の20代、30代の特に女性は、将来の年金の不安を口にしています。「私たちの老後には年金はない」 ということを想っているのです。

60歳以下の国民の多くが未来の日本に希望を持てない原因は、現在と将来の社会保障の純負担の大 きさからでしょう。住宅ローンを引いた純貯蓄がマイナスである30代の夫婦で、4,600万円の生涯負担 の超過は、行き過ぎていると感じます。

平均で1.5人の子どもを産まない理由もこの将来不安にあるでしょう。

払っても、払っても見返りはないと 分かっている負担である社会保障制度が、少子化からの人口減少の根本原因です。

しかし、世代間の所得分配の大きな変更となる社会保障制度の改革は政治的には無理があります。

約6, 000万人いる超過受益者の過半の反対により、政権がすぐに倒れてしまいます。

政府財政の赤字の原因は、1990年代は公共事業400兆円でした。

2000年以降、赤字の原因は、60 歳以上に年金と医療費の必要費として支給されている社会保障費です。

具体的には前述の年金56.7 兆円、医療費39.2兆円、介護費10.7兆円です。保険料では足りないので、一般会計から、毎年33兆 円(支給額が30%)補填されています。
( https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/201906_00.pdf:財務省) 経済の自律調整の原理が働いた結果である財政危機によって、制度の組み直しが強制されるのが財政 破産です。経済は数十年の長期で見ると、自律的な調整の機能を備えています。

ケインズはGDPを数年 の短期しか見ていませんでした。その理由を「長期ではみな死んでしまうから」としていたのです。 過去、戦争と金融恐慌のサイクルで財政は破産していました。

第二次世界大戦後の敗戦と、GHQによる 財閥解体と農地解放で旧世代の既得権益グループが消えています。

そして、日本は敗戦により希望が生じています。
新しい世代に希望のある国になったので、20代、30代 の世帯が子どもを3人から4人産み、同じ敗戦国のドイツと並び、奇跡の成長をしています。希望は投資 の呼び水です。

増税をして社会保険料を上げて、支給額とつりあうよう改革するという政府の希望で、財政再建は先送り されています。

これは、いつになるでしょうか。

先進国は戦後の世界共通の考えだった「福祉社会づくりの経済思想」がもたらした政策において財源負 担を先送りしたことから失敗してしまったのです。

戦前は大家族の長子相続制度によって相続を受けた子息が負担していた費用を、官僚が関与すること による権益の拡大という目的が絡んで社会化(公共財化)されたのです。

公的年金が設計された59年前 (1961年)には支払いがなかったので、黒字が大きく、郵貯と共に官僚の裁量予算になっていました。 郵貯を使った「財投」がこれでした。

財投は国会の審議を受けない第2の予算と言われていたのです。

資 産価値がないかんぽの宿の建設は、官僚権益のごく小さい一例です。厚労省の一般会計の予算31兆円 と社会保障の特別会計69兆円が、その総額です。

社会保障制度は、大きな、しかも根本的な再編の必要に迫られています。しかし、アベノミクスの日銀が 国債を買うこと(約500兆円)により、①国民がいずれは負うしかほかはない負担が先送りされ、②政府 は1年に35兆円の借金増加による財政支出を続けることができ、③後の世代の負担は年々、大きくなっ てきました。 日本の人口構造の条件には合わない偽の経済理論に乗ったこの状態から早く修正しないと、後の世代 の国民負担は財政が破産しないという原因によって大きくなり続けます。

つまり、財政が破産すれば、そ こで、後の世代の負担増は止まりますが、先送りすれば、するほど、後の世代の負担増が大きくなるので す。 財政の破産は避けられないというのが、現実でしょう。

しかし、それは、国が消滅するわけではない。政府 のデフォルトです。そこから、新しい政府、新しい制度が誕生してくるのです。そこを志す政治家や、今の 世代間の超過不可を是正したいという熱意を持った官僚が誕生してくるようになるはずです。 未来を考えた時、財政破産をしないことにこだわるよりも、一度、清算する以外に道はないと考えての再 出発の方が傷は浅いと思います。しかし、今の政治家には難しい。日本の行く末は自己責任と考えて、今後10年は生きた方がよいと考えます。

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