寝られない

隣で姉が大きなイビキをかきながら寝ている
うるさい  

姉は、私の人生の登場人物の中で一位二位を争う怖い存在だ。

彼女はとにかく反抗期が反抗的すぎた。
中学三年生から高校二年生あたりにかけて母とのバトルをほぼ毎日こなしていた。
母が自分の思った通りに動いてくれない、自分のやりたいことに母から口を出される、この二つのことに対して異常にキレた。
側から見るとクソがつくほどくだらないことでも彼女にとっては大事なことで、時には暴力で訴えることもあった。

当時小学生だった私にとってそれはそれは怖かった。
原因が何かは覚えていないが、姉と喧嘩をし怒らせてしまった時、彼女と会うのが怖すぎて震えながら布団に篭った夜をよく覚えている。比喩なんかではなくて、彼女は家に帰った瞬間本当に私を殺すのではないかと本気で怯えた。
一方で、妹想いの面もあった。これも同じく詳しくは記憶にないが、姉と母の喧嘩が原因で私に不利益が生じた時、次の日好きなキャラクターの文房具を買ってきてくれたことがある。


今振り返れば、彼女にも暴れたい理由があったのだと思う。多分、私の存在。私は両親に甘えるのが上手い、そして両親は私に甘い。自分で言うのもおかしな話だが、私は末っ子の特権を大いに利用するタイプの人間である。加えて、両親特に母は、姉が反抗すればするほど私に優しくしてくれた気がする。

姉:両親に甘えたいが、妹ほど素直になれない
 それがもどかしくて反抗してしまう
母:反抗してくる姉をめんどくさく思い、クセのな     
 い妹を可愛がりたい
これは私なりの分析である。母と姉の間で悪循環が起きていた。その原因は私だったのかな。ちょっと姉に申し訳なくなってきた。でもどうすればよかったんだよ!お姉ちゃんもお母さんに甘えていいよって言えばよかった?そんなこと言えるわけないだろ!


話を戻して、
姉の反抗期は年齢を重ねるとともに収まっていき、大学を卒業しようとしている今はほとんど暴れない。ほとんど…。
しかし私には後遺症が残っている。母と姉が喋っている声が聞こえると、耳を澄ませて、喧嘩していないか確認してしまう。喧嘩してないと、とってもホッとする。


姉が二十歳を迎えた時、私宛に手紙をもらった。
恥ずかしくてざっくりとしか読まなかったが、反抗期時代の謝罪が綴られていた、気がする。姉はあの時のことを反省しているらしい。母からも、もう忘れてあげて、と言われる(親として一番言われたくないであろうことを言われ、包丁を持ち出されたり、蹴られたりしたのに、忘れてあげてと言える母の懐の大きさに脱帽)。私だって忘れたい。
でも忘れられない。
今でも姉と喧嘩するたび、あの頃の気持ちを思い出して、今の感情と足し算してしまう。これって誰も幸せにならない行動だよなって思いながらもやめられない。


2024年
彼女のいいところにたくさん目を向けよう。
彼女が覚えて欲しいと思っていることを、覚えてあげよう。忘れて欲しいと思っていることを、忘れてあげよう。
世界中どこ探してもいない、たった一人の私の姉と向き合おう。



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永遠に、
誰にもこのnoteが読まれませんように。



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