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コロナ禍のハロウィン

 日本のハロウィンが主に若者の仮装の日になって久しいが、コロナ禍の今年、ハロウィン当日はどのような様相になるのだろう。

 アメリカで子どもを育てていた頃は、ハロウィンパッチに出かけるのが楽しみだった。ハロウィンパッチは主に農場で、カービング用のかぼちゃやデコレーション用のかぼちゃ、ドライトウモロコシ、パンプキンパイ用のかぼちゃや農作物を販売したり、子どもたちが楽しめるちょっとしたアトラクション、たとえばミニ動物園やミニSL、高く藁を積んで登って遊べるスペースがあったり、空気を入れたフワフワの巨大滑り台やトランポリンを設置。かぼちゃやおばけの形をしたクッキーなども売られ、ちょっとしたフェスタのようで半日は遊んでいられた。

 ハロウィン当日は、クロネコの仮装をした2歳の娘を連れて近所をまわる。家にもたくさんの子どもたちが訪れ、「Trick Or Treat」の声と、可愛い仮装を見せてもらう楽しい時間だ。なかにはできるだけ多くの家をまわるため、汗だくで走り回っている中学生ぐらいの子もいたが、体が大きいだけでもしかしたら小学生だったのかもしれない...。家のデコレーションは、お菓子をあげますよという意思表示でもあるので、子どもたちは玄関先や家を飾っている家庭だけしか訪れない。玄関先にお菓子を山盛りにしたバスケットが置いてある家もある。気合いの入ったデコレーションも多く、家々を見て歩くのも楽しかった。日本のハロウィンデコレーションはかわいいものが多いが、アメリカでは不気味だったり、怖かったり、かなり本格的にホラーなものが多いのも特徴だ。

 そんなハロウィンを過ごした思い出があるので、日本に帰国した後は、どうやってハロウィンを楽しもうかと試行錯誤した。当時の日本では、ハロウィンはまだそれほどメジャーではなく、川崎市や横浜市で行われるパレードを珍しく感じるほどだった。

 そこで私は、幼稚園生だった娘の友達とママ友を10人~15人ほど募り、地元でハロウィンを決行することにした。近所の子が多かったことが幸いし、子どもたちでも歩ける距離で、全員の家をまわることができる。スケジューリングされた行脚的なハロウィンイベントだ。参加者それぞれの家で参加人数分のお菓子を用意しておき、仮装した子どもたちが行列を組んで家々を訪問していく。子どもたちに付き添うお母さんたちは、自分の家につくと用意していたお菓子を配る。なかにはお父さんがお菓子を吊り上げるゲームを作ってくれたりと、なかなか工夫を凝らした家もあった。必ず「Trick or Treat」と英語っぽく言うというお約束も子どもたちはしっかり守っていた。最後は公園でピニャータ(アメリカやメキシコのイベントで登場するくす玉?当たりの紐を引くとくす玉が割れる)割りをして、中から飛び出したミニおもちゃを子どもたちが集めてフィナーレとなった。

このハロウィンイベントはママ友にも好評で、今でも楽しかった思い出として時々話題に上る。

娘が小学生になるころには、自治体や商店街でハロウィンを開催するようになったが、今年はたぶん、ほとんどが中止となるだろう。

寂しく思っているママたち、地元でこじんまりハロウィンを企画し、子どもたちの思い出を作ってあげてみてはどうだろう。私たちの時は団体でまわったけれど、親子ペアでまわればコロナ対策にもなる。距離を保ってお菓子を渡す工夫も楽しいかもしれない。

このコロナが、仮装の日だった日本のハロウィンを地域の夏祭りよりもさらにこじんまりとほっこりしたイベントに生まれ変わる機会になればいいなと思う。

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