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アメリカバスケ、育成年代の現状

今回はタイトルにもあるようにアメリカ育成年代のバスケットボールの現状について綴っていきたいと思います。
言わずと知れたバスケ大国アメリカですが、子供たち(高校生や大学生を含む)を取り巻く環境は年々変わりつつあります。そんな一面を紹介していけたらいいなと思っています。
興味のある方はお付き合い下さい。

リクルートの現状

大学のリクルートに関してです。
11月になり、今は大学からのオファーを正式に受け、サインを出来る期間なので続々と選手達の進学先が決まってきています。

ちなみに、11月の第二水曜日から11月の第三水曜日までの一週間をearly signing period、4月の第三水曜日から始まるものをregular signing periodと言い、このどちらかの期間にサインすればstudent athleteになれるのです(細かいところ間違ってたらごめんなさい)。

エリート達はこのearly signing periodにサインをして進学先が決まっていきます。
高校最終年のシーズンが始まる時期にはサインをしてしまうのです。ということは遡っていくと、それより遥か前からリクルートは始まっているということです。

ESPNなどが高校生のプレーヤーランキングなるものを作っていて、そこでは2022年(3年後)に高校を卒業予定の子達までがランキング付けされていて、どの大学からオファーを貰っているか確認できます。
大学でプレーをし始める3年以上も前、高校生になったばかりの時にはエリート中のエリート達は既に大学からオファーを貰っているのです。

何故こんなことが可能なのかと言うと単純に露出が多いからでしょう。SNSなどの発達により我々一般人からの注目も若い選手たちに多く集まっていきます。
そんな中でも"露出"という点で大きな役割を果たしているのはAAUです。
AAUについて少し掘り下げていきます。

AAUについて

AAUというのはAmateur Athletic Unionの頭字語、アクロニムです。
バスケットに限らず様々なアマチュアスポーツを統括している団体です。

多くの子供たちがバスケットのオフシーズン中にAAUのチームに所属してプレーしています。特に高校生は大学からのリクルートを狙ってプレーしている子も多いです。
中には強豪と認識されているチームもあり、そういったチームやAAUの大会で活躍することでリクルートされたり、ランキング付けされたりと選手は露出の機会を得ます。

アメリカといえばどのスポーツもシーズン制で、冬はバスケをしてるけどオフシーズンは別のスポーツをしている、なんて話を聞いたことがある方も多いと思います。
今でもそういった子達はいるそうですが、かなり数は減っているそうです。小さい頃からバスケットを年中プレーしている子が増えてきていると大学のアシスタントコーチと話になったことがあります。
小さい頃にたくさんのスポーツを経験すること(スポーツチームに所属しなくても遊びとして興味を持って色々やること)の意味というかなり大きいと個人的には思っているのですが、実際のところはどうなのでしょうか。専門分野じゃないので純粋に気になります。

とにかくアメリカでも一年中バスケットをしている子供の人数が増えているということです。
これには少なからずAAUという物の存在も影響していると思います。
学校のチームでの活動と、オフシーズンのAAUでの活動を合わせて多い子では年間80試合ほどをこなすといいます。この現状に対してレブロンが警鐘を鳴らしています。
これに関してはTMG athleticsの中山佑介さんがとても分かりやすくまとめてくださっていたので、そちらの記事を是非ご覧下さい。
https://tmgathletics.net/2019/11/14/lebrononaau/

また個人的には"ビジネスとしてのバスケットボール"というのも、一年中バスケをする子が増えたという事実に対し少なからず影響を与えていると思うので今度はそちらに触れていきます。

ビジネスとしてのバスケ

昔からNBA選手にはシングルマザーの元で育ったとか、貧しい家庭で育ったなどという選手が多いです。
NBA選手になって家族を養うんだと言ってプロ入りしてきます。それだけNBAでプレーすることは特別で、稼ぐこともできるのです。
昔からそういったものはあったのですが、近年はプレーすることはもちろんですが、金銭的な面で見ると"ドラフトされること"の意義というのは益々大きくなってきています。
というのもドラフトされ契約した時の年俸が年々上がり続けているのです。

具体的には、例えばマイケルジョーダンがドラフトされた84年ドラフト、彼は1巡目3位指名でしたが年俸は約$550K(1ドル100円計算で約5500万円)です。これは2016年のルーキーミニマムを僅かに超える額です。
少し最近まで来ると03年、レブロンが全体1位指名された年。彼のルーキーシーズンの年俸はおよそ$4M(約4億円)と20年でその額は約7倍です。
そして今年のルーキー、1巡目1位のザイオンは年俸約$8M(約8億円)。9位の八村選手も約3.7M(3.7億円)と高額です。金額の上がり方が緩やかになってはいますがそれでも上昇傾向にあります。

具体的な数字が出るとより分かりやすいかと思いますが、それだけNBAには夢があります。もちろんお金が全てではありません、ただ1つの要因であることは否定出来ないと思います。そしてこの年々上昇傾向にあるサラリーもおそらくしばらくは上がり続けるのではないでしょうか。(寧ろ上限は来るのでしょうか。)
こういった事実や、実際にNBAでプレーしているスターたちが、俺はこれだけの練習してきたよ。みたいな話をすることによる影響もあり、アメリカでもバスケットを幼少期からプレーし続ける子達が増えてきているのかなと自分は思っています。

これからのアメリカバスケ

ではこれからどうなっていくのかと言えば、ビジネス化はおそらく加速し、AAUもレブロンのような影響力を持った人間が本気で動いて変えようとしない限りは変わらないのではないでしょうか。

というのも最近カリフォルニア州でSenate Bill 206又はFair Pay to Play Act(以降SB 206)というものが可決されました。
SB 206というのはカリフォルニア州にある大学でスポーツをプレーする選手達に対し、彼(彼女)らの氏名及び肖像を使用する際にその使用料が支払われることを許可するというものです。要はstudent athleteが彼らがプレーする競技を用いお金を稼ぐことを禁止することは出来ないので、その行為を許可しましょうというお話です。
アマチュアスポーツの裏側で莫大なお金が動いてるのに、student athletesは今までスポーツをすることでお金を稼ぐことが許されていませんでした。
これにより様々な論争があったわけですが、このカリフォルニアでの動きがNCAAというものを根本からひっくり返し得るのではと話題になっています。

スポーツで奨学金をもらって大学に通いながら、そのスポーツでお金を稼ぐことが出来るようになる、となると更にスポーツのビジネス化は加速するのではないか。というのが自分の考えです。

またAAUに関しても様々な議論がなされています。
ヨーロッパ諸国をはじめ多くの国がバスケットの育成体制をきちんと整え、その成果もありNBAでプレーをするアメリカ国籍以外の選手数は年々増加しています。特にヨーロッパの選手はスキルフルな選手も多く見ていて面白いですよね。
そんな中アメリカでは多くの子達が一年中試合をしていて育成という体制はあまり整っていません。超消費大国なだけあり、そんな中でも多くのスター選手を排出し続けてはいます。
しかし、スキルトレーニングやどこまでを基礎として子供たちに教えるのか、またその時間を確保する必要性などを訴えている人たちもいます。WVUのアシスタントコーチも似たようなことを仰っていました。
どうなっていくのか、こちらに関しては自分には見当が付きません。

おわりに

またいつものように長くなってしまいましたがいかがだったでしょうか。
バスケ大国のアメリカにも問題はあるんだなと書きながら思いました。
これからも動向については気をつけて追って行きたいと思います。


今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んでくださった方々、ありがとうございました。
ではまた。

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