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アメリカ大学バスケの裏側

前回の"アメリカの大学でバスケがしたい人たちへ"というnoteを読んでくださった、また拡散してくださった皆さんありがとうございます。
思っていたよりはるかに多くの方々に読んでいただいて正直驚きました

何か質問等ある方がいらっしゃいましたらTwitterのリプ、DMもしくはメールで対応させていただきますのでお気軽にどうぞ。
まだまだ勉強中の未熟者ですがよろしくお願いします。

さて、今回はアメリカ大学バスケの裏側、そして大学バスケを支える学生マネージャーについて書いていければなと思っています。裏側と言っても今回は主にマネージャーのことしか書いてないので期待はしないでください。

スタッフ構成

マネージャーの仕事内容に入る前にまずは誰がチームに関わっているかについて触れていきます。

1. プレーヤー
もちろんですが最初はプレーヤーです。今年のWVUは14名がロースターに名を連ねていますが、プレーするのは12名です。
理由は1人はレッドシャツ(練習生)としての登録だから。レッドシャツは簡単に言うとeligibiliy(前回のnoteで触れました)を失わずに練習だけ参加して良いよってやつです。レッドシャツを使うのには様々な理由がありますが、主にいつ使うかというと、選手のレベルアップが必要で時間が欲しい時や大怪我をしてしまってリハビリに時間を要する時などです。ルールが難しいのでここでは深掘りしません。
もう1人今年はプレーしない選手がいます。その子はプレーしないのは別のD1の大学からから来た編入生だからです。基本的に編入直後もプレーすることは可能なのですがNCAAの規定でD1のバスケとアメフトは厳しく編入した年のシーズンは丸々プレーするこたができません。例外はあるのですがここでは触れないでおきます。とにかくNCAAの規定は厳しく、難しいです。そのうちNCAAの規定についてとかも少し触れられたらと思っています。

2. ヘッドコーチ
もちろんですがヘッドコーチがいます。コーチの中でも一番偉い人です。
特に書くこともないので歴代大学バスケ勝利数ランキングに触れておきます。WVUのヘッドコーチBob Huggins(Coach Huggsと皆呼びます)は歴代15位です。これは現North CarolinaヘッドコーチのRoy Williamsの14位に続くすごいものです。

3. アシスタントコーチ
WVUには3人のアシスタントコーチがいます。コーチによって何となくガード、フォワード、ビッグマンと担当が分かれていますが皆さん練習では指導されます。
相手チームのセットプレーや個人のスカウティングはこの3人がローテーションで担当しています。

4. Director of Basketball Operations
Director of operationsというのはいわゆる事業部長です。選手とスタッフのつなぎ目になるところの一番偉い人みたいなイメージです。具体的に何をしているのかってよくわからないんですが、マネージャーに仕事を下ろしてくるのはこの人が多いです。あとは試合中の分析もやってます。

5. Assistant to the Head Coach
名目としてはヘッドコーチのお世話係です。ですが練習場の機器トラブルでったり、訪問者に施設を見せて回ったり、映像の方の手伝いをしたりと割と何でも屋と言った印象です。この人も試合中の分析をしています

6. Video Cordinator
名前のままです。ビデオの管理をしています。練習の様子もカメラに収めているので、コーチや選手から要望があれば映像を送ります。フィルムセッションなどの映像も彼が用意しています。

7. Data Statistician
スタッツの分析などを行なっています。一番マネージャーとの距離が近くマネージャーの話を親身に聞いてくれます(これは多分ただの人柄)

8. Head athletic trainer
いわゆるチームドクターです。選手のケアや練習、試合前のテーピンなどを担当します

9. Strength and Conditioning Coach
わかりやすく言えばトレーナーです。ウエイトの管理やコンディショニングを担当します。この人がまた別の部署の栄養士と話をして補食や飲み物などの購入を頼んでいます。

10. Graduate Assistant (GA)
大学院の生徒が2人お手伝いとしてスタッフにいます。1人はコーチ陣のスカウティングの手伝い(セットプレーと選手ごとのスカウティングどちらも)やフィルムセッションのための資料作りなど結構ディープでものすごく学べそうなお仕事をしてます。実際ここからコーチになるにとは多いです。
もう1人はカメラマンでSNSに日々投稿されているような写真や動画の撮影、編集をしています。
GAって基本的に全額カバーされる奨学金が出るはずなのですごいメリットが多いと思います

11. マネージャー
大変お待たせしました、私がやっているマネージャーです。本当はまだ関わっている方々もいるのですが今回は主なところだけということで省略させていただきます。
マネージャーは全部で13人います。たくさん人がいますがみんながみんな大学でスポーツ関連の勉強をして居る訳ではありません。例えばindustrial management、例えばagricultureとまちまちです。これは私も入って見て驚きました。
細かい仕事内容は後ほど触れていますのでここでは触れません。

こう見ると改めて本当にたくさんの人たちが働いているなとと驚かされます。
長くなりましたが次に移ります

マネージャーってどうやってなるの?

そもそもマネージャーってどうなるのという風に思う方もいるかと思います

マネージャーになるにはまず応募をします。そしてもし書類で通れば面接をします。無事面接に合格すれば晴れてマネージャー就任というわけです

嘘です。

これは形式上のみで基本的にはコネがないと入るのは至難の技です。(実際に応募と面接はしなくてはいけませんが。)
なぜなら毎年何十人もの生徒がマネージャーになりたいと志願してくるからです。本当に毎年何人も落とさなくてはいけなくてタフだと事業部長が言ってました

なぜそんなにも多くの人が志望するかというと、男子バスケやアメフトのstudent managerというのはある種のステータスだからです。
実際に普段何してるの?という友達や同じ学生からの質問に対して男子バスケチームのマネージャーだと答えると、oh wow that's awesome! うわ、まじかよ、すげー!みたいなこと言われます
社交辞令的な要素はあるにしてもみんなの憧れの的な存在であることは確かです。

側からみると憧れの的であるマネージャーですが実際にはどんな仕事をしているんでしょうか。

仕事は何しているの?

ということで今回のメインです。普段の私がどんなことをしているか書いていきます。

マネージャーが何をしているかとざっくりいうと雑用です。頼まれたことは何でもやります。
そしてこれはまたいつかのnoteで触れたいと思いますがびっくりするほどの縦社会で、1年目のルーキーマネージャーは雑用も雑用です。
具体的な仕事内容は

1年目のルーキーマネージャー
練習施設の中に沢山の冷蔵庫があり選手やスタッフがいつでも飲み物を飲めるようになっています。それを補充するのが役目です。
あとはトレーナーさんやその他のスタッフに頼まれ、物を動かしたり荷物を受け取ったり何なりです。
練習では肩にタオルをかけ、片手にはボールを持ちコートサイドに立っています。選手が水をくれと言えば水を渡し、転べば床を拭き、汗をかいていればタオルを渡しと出来る限り選手のストレスがないように環境を整えます。コーチや選手に近いので学ぶチャンスが多いです。

また練習外で選手やプロで活躍する卒業生がシューティングやワークアウトをしたいと言えば駆けつけるのもルーキーの役目です。つい先日もシャワーを浴びて、さて明日が期日の宿題をやろうかとのんびりしていたところ、シューティングに付き合ってくれと言われ、車を持っていないのでマイナス7度の中を往復40分かけて練習場と寮を往復しました笑。その日は宿題のおかげで寝たのが1時とかだったかな?
そして次の日は毎朝6時半からワークアウトをする選手がいるのでそれの手伝いをしました。(これはシフトなので上級生も手伝ってくれますがたまたまその日のシフトが私だったので大変でした笑)
きつい日はきついんですが選手や卒業生がなにをしてこういう選手に育ったのか間近で見れるので非常に面白いです。

ベテランマネージャー
2年目以降のマネージャーも雑用を任されることは多いですが、違った仕事を任されるようになります
例えばスカウティングの打ち込み。コーチ陣が手書きで書き出したスカウティングレポートを打ち込んで資料を作成します(アメリカ人の手書きはアメリカ人同士でも解読不可能なことが多々あります)
他にも練習中のスタッツ付けや試合でのベンチワークも2年目以降のマネージャーの仕事です。
遠征に帯同するのも彼らなので、1年目のルーキーは遠征の時は留守番です。
2年目以降はチャンスがより広がるので、今のうちに下積みをしておこうと思ってます

まとめ
正直なかなかの仕事量です。一日に最低でも5時間近くは練習場で過ごしているのでバイト代出てもいいのでは?とたまに思う時もあります。笑
ただ練習場にいなくてはいけない訳ではないので、やる気がない子はあんま来ません。そういう人たちにはあまり良い仕事が回ってこないだけです。その辺りはアメリカらしい実力社会です。

D1大学のマネージャーになるメリットとしては、高いレベルのスカウティングが学べる、練習を間近で見れる、どうチームが運営されているか見れる、選手や卒業生のワークアウトを手伝える、コネができる。
こんな感じでしょうか。

なかなかタフな状況なだけに楽しみがないとやっていけないので、マネージャーみんなで楽しめるものを自分たちで企画しているのでちらっと紹介していきます

楽しいこと

マネージャーゲーム
マネージャー同士でピックアップゲームをします。たまにスタッフ対マネージャーで激アツな試合が繰り広げられることもあります。
あとはロードでWVUまで来た相手チームのマネージャーと試合することもあります。逆に相手方を訪れた時にピックアップゲームやろうよと声をかけてもらうこともあるようです。

テレビゲーム
オフの日で時間がある時は会議室にあるXboxでNFLのゲームをして息抜きをしています。NBAじゃなくてNFLです笑
ちゃんと選手をドラフトするところから始まり、スケジュールもしっかり組んでと本格的にやります。見てる方も大盛り上がりです。

NBA Playoff Pool
NBA開幕時にはどのチームがプレーオフに出るか順位を予想しました。一番予想と結果がかけ離れていた人はパスタパーティを主催して参加者全員にパスタを振る舞うことになっています。

こんな風に皆んなスポーツが大好きで仲良くて普段から楽しくやっています。

終わりに

前回に引き続き大変長くなってしまいましたが、マネージャーって何しているのといったことを今回は書いて来ました。
また、スタッフの構成などWVU男子バスケットチームのリアルな部分も書いていけたかなと思います。
ただご理解いただきたいのは、これはD1のメジャーカンファレンスに所属する”男子”チームのリアルであって他では違うということです。同じWVUでも女子チームは同じ建物内に体育館がありますがマネージャーは随時募集していますし、男子のマネージャーたちほど仲良くないと聞きます。女子の試合より男子の試合の方が圧倒的に人が入ります。女子チームのマネージャーは練習相手となることもあるようです。
またD2やD3になれば13人もマネージャーがいるチームはおそらくないでしょう。
ご紹介したものがアメリカの全て、リアルではないとご理解ください。

このnoteを書いていて改めてとてもありがたい環境に居るなと再認識できました
少しでも色々なことを吸収できるように精進していきます。


今回はこの辺で終わりたいと思います
最後まで読んでくださった方々、ありがとうございました。
また近いうちに更新します。
ではまた。

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