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今日からGINZA SIXで始まる水戸部七絵の「Let's Have a Dream!」とオノ・ヨーコ

Let's Have A Dream!

2022年7月30日から水戸部七絵のRock is Deadシリーズの展覧会「Let's Have a Dream」がGINZA SIXの蔦屋で始まる。
シリーズをまとめた作品集「Rock is Dead」の出版記念展という位置づけでもあるようだ。
そしてもう一つ、あるライブアルバムの発売と関連しているかもしれない。

蔦屋に展示されている彼女の作品たち。フレディ・マーキュリーやボウイにビートルズなどが厚塗りで描かれている。
そして展覧会タイトルは「Let's Have a Dream」。ヨーコ・オノの曲名から引かれているそうだ。

えっ、ヨーコにそんな曲あったっけ?。

夢をもとう

日本だけでリリースされたヨーコ・オノ&プラスティック・オノ・スーパー・バンドのシングル「夢をもとう」。この英語タイトルが「Let's Have a Dream」だった。

聴いてもらえばすぐ分かるがド演歌である。歌詞こそヨーコらしい希望へのアジテーションだが、節回しなどはモミモミしながら手拍子するのが似合う日本の演歌である。

しかも、リズムセクションはスティーブ・ガッドとリック・マロッタ。当時まだ若手とはいえ、この2人がいながら演歌である。
逆に言うと、当時のヨーコはそんな実力者を従えながらも無理やり演歌にしてしまうパワーとカリスマ性を備えていたのだ。

繰り返すがドラムはガッドとリック・マロッタだぜ?

ワンステップフェスティバル1974

この「夢をもとう」が録音されたのは、1974年に福島の郡山で開催された「ワンステップフェスティバル」。通称ワンフェス。

ヨーコが自身のバンドを従えての凱旋公演みたいな雰囲気もあったフェスティバル。ここで当時は未発表曲だった「夢をもとう」のパフォーマンスが行われたわけだ。

このワンステップフェスティバルの音源は数年前にCD21枚組でほぼ全部が聴けるようになっている。”ほぼ” というのはシュガー・ベイブ、キャロルそれとオノ・ヨーコなどが含まれていなかったから。

そして、ワンフェスでのオノ・ヨーコのライブが「Let's Have a Dream - 1974 One Step Festival」というタイトルで8月24日にリリースされる。世界初のオフィシャルリリースである。

8月12日まで水戸部七絵のLet's Have a Dream展があり、24日にヨーコのLet's Have a Dreamというライブ盤がリリースされるわけで、まずは水戸部七絵を観ておきたい。

Rock is Dead

昨年くらいから展開されているシリーズで、ひと目見て分かるアイコニックなロックスターたちを描くシリーズ。
ある批評性を持って描いているので、決して見上げる対象としてのスター(Star)ではなく、時には敢えて悪意ある描き方をしている場合もある。

下の写真は山本寛斎デザインのステージ衣装に身を包むデヴィッド・ボウイ。2021年に麻布台でアトランティックモーターズが運営しているRIKKAギャラリーで展示されていたもの。
今回の「Let's Have a Dream」には別バージョンの絵が展示されているほか、Rock is Deadシリーズの代表作がいくつも展示されている。

真ん中に見えるのは1980年代で最高のアルバム、クラッシュの「ロンドン・コーリング」。ペニー・スミスが撮ったベースを叩きつけるポール・シムノンが印象的なジャケットを再現。

絵の具でもなくベースでもなく、壊れたギターが使われているようだ。

これはRock is Deadシリーズの最新作。

War is not over

先月南青山で開催されていた「War is not over」展。いまGINZA SIX蔦屋で開催されている「Let's Have a Dream」展に先行する展覧会だったものだ。

内容はジョンとヨーコの「War is Over!… (if you want it)」とロシアによるウクライナ侵攻という現実を描く作品とインスタレーション。

超厚塗りのジョン・レノン。
手に持つギターは絵画ではなく実際のギター。

War is not over、Imagine、I Want you to make love not warなど強力なメッセージが作品となっている。

有名なアムステルダムでのベッドインを表現した作品。

蔦屋にはこのスモールサイズの作品が展示されている。

水戸部七絵

このように文字通り厚塗りな作品と骨太のコンセプトな水戸部七絵。身の回りの疑問、問題意識がそのまま普遍的な問題に通じていくというジョン・レノンに似た作品作りをする注目の作家である。

銀座蔦屋の普段の展覧会は、そのスペースに10点ほど並べるものが多いが、水戸部七絵はそんなスペースにはまったく収まらず、会場の外側まで溢れんばかりに作品が並んでいる。

狭いGINZA SIX内でどうやったら鑑賞できるんだみたいな感じだが、せっかくなので一つ一つの作品を時間をかけて読み解いていきたい。

2021年初頭にオペラシティ アートギャラリーで開催されていた「I am a not Object」展の様子。

とにかく骨太なコンセプトで物理的に厚塗りの作品を大量に描く、このパワーと熱量は圧倒的である。

毎月の画材屋からの請求書も普通の画家の数倍になるんじゃないだろうか。しっかり作品集を買って少しばかりの応援をしたいものである。

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