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1972年リリースのアルバム#40「#1 Record」

自分のブログで ”1972年リリースのアルバムでRateYourMusicのユーザ評価が高いもの” トップ50を調べてみた。
50年後に世界中のユーザーが振り返っての評価なので、リアルタイムでの評価・評判とはもちろん異なっている。

半世紀前、1972年のトップ50アルバムと当時と今の評価を紹介したい。

1972年のトップ50リストのNo.40はビッグ・スター(Big Star)の「#1 Record」。

永遠のカルトバンド、ビッグ・スターである。
当時日本でリアルタイムに聴いていた人はどれだけいたのだろう。

それは全世界的に同様で、ヨーロッパで再発されるのは1980年代。日本盤に至っては21世紀になってから。オリジナルのリリースから30年以上経っての日本発売である。

アレックス・チルトンのソロ「Like Flies on Sherbert」はほぼリアルタイムで輸入盤を買っていたので、80年代初頭にはパンク/NWなコンテキストでアレックス・チルトンの名前は知られていた
けど、肝心のビッグ・スターの方は音が聴けない状態だった。

80年代も半ばになって R.E.M.やリプレイスメンツが天下を取ったり、あるいはペイズリー・アンダーグラウンドの流れからかヨーロッパで再発されることになって、独Lineからのリイシューでみんなビッグ・スターの音を初めて聴いたのではないだろうか。

よくパワーポップ元祖とかアメリカのバッドフィンガーとか言われて、実際そういう側面もある。
でも#1 Recordに関してはクリス・ベルのセンスで溢れていて、青臭い胸キュン系バラードにやられた人も多いだろう。

そのクリス・ベルのソロは制作から20年近く過ぎた1992年になってやっとリリース。
アレックス・チルトンはやさぐれたロックンロールをやり続け、晩年はリスペクトを受けつつ若いミュージシャンたちと活動していたから、幸せだったのではないだろうか。

アレックス・チルトンの名曲の一つに「Holocaust」がある。ビッグ・スターの3rdアルバムに入っている曲だし、80年代にThis Mortal Coilがカバーしてビッグ・スター渇望症を煽った曲でもある。だが、昔からオノ・ヨーコのアルバム「Fly」収録の ”Mrs.Lennon” のパクリではないかと話題だったらしい。

歌詞は違うしメロディも酷似しているわけではないがコード進行はそのまんま。

さらにチルトン自身が ”盗作ではないけど、曲を作っていた時はコピーしているとは気が付かなかった” という微妙なニュアンスだが似てしまったことは認めている。

まぁヨーコさんはあまり気にしていないようだが。

アレックス・チルトンを小ネタを忘れないようにいくつか。

彼の実質ソロ・デビュー作「1970」はお蔵入りしていた後、1996年にやっとリリースされたが、当初はビーチ・ボーイズのブラザー・レーベルが「1970」に興味を持っていたけど結局契約には至らなかったそうだ。当時、アレックス・チルトンとビーチ・ボーイズは一緒にツアーをしたりしていたので、たぶんその流れでの話ではあると思う。

また、アレックス・チルトンは(ビーチ・ボーイズの)デニス・ウィルソンを通じてチャールズ・マンソンと知り合い、マンソンに酒を買いに行かされたことがある...

チルトンがマリブの丘の上のデニス・ウィルソンの邸宅に数日滞在していたところにマンソン一味がやってきて、その時に買い物に行かされたらしい。

1972の#37はこちら


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