1年でどれくらい単位を取ればよいのか

 この記事では、文系の学生がどのように大学の単位を取得していくべきかを述べていきます。学部・学科ごとに違いはあると思うので、参考程度にご覧ください。

前提

 以前、こんなツイートをしました。

 大学・学部・学科により、どれだけの単位を取るべきか変わってきますが、大学から課されている取得単位数は概ね125から140の間で収まるかと思います。文系の場合はさらに卒論で6単位くらい持っていかれるので、残り120から135単位をどう揃えていくかが問題となります。以下では、基準を130単位に設定します。

理想的な単位の取り方

 昨今の就活事情を見ると、3年の夏休みには本格的にインターンシップが始まり、年が明けて3月には進路が決まり始めます。そのため、3年前期終了時点で8割(104単位)以上、できれば9割(117単位)を揃えるよう努力し、3年後期終了時点で卒論以外に卒業要件を充足する上で必要な単位をすべて取りきっている状態が好ましいでしょう。

 そして、3年生の後期は所属するゼミと必修科目のみを履修登録し、興味のある分野や科目の履修登録は4年生の後期に回しましょう。早期卒業をする場合やその授業が隔年開講である場合は話が変わってきますが、興味のある分野や科目は4年生に上がっても履修できる場合がほとんどです。また、4年生では卒業論文とゼミを履修登録し、人との繋がりを持ちながら進路の実現に向けて頑張るのがよいでしょう。進路決定の時期になると多くの人が肉体的にも精神的にも苦しくなってくるので、仲間や支援してくれる人がいるととても心強いです。

「3年後期終了時点で卒論以外充足」は無謀か?

 「3年後期終了時点でほぼ卒業可能」と聞くと難しそうに聞こえるかもしれません。しかし、カリキュラムの都合で不可能なケースを除けば、達成はそこまで難しくないと思います。

 文系の場合は1年生で主に言語・教養科目、2年生・3年生で主に専門科目を履修するように設計されており、どちらもしっかりと学習すれば単位が取れるようになっています(稀に例外あり)。また、3年間で、セメスター(2学期)制であれば6、クオーター(4学期)制であれば12の学期があるところ、学期ごとのハードルを求めてみると、セメスター制であれば1学期21.67単位、クオーター制であれば10.83単位となり、少なくともセメスター制であれば2単位、クオーター制であれば1単位は落とすことが許容されています。さらに、「3年前期終了までに9割揃える」を達成する場合については、セメスター制であれば23.4単位、クオーター制であれば11.7単位がハードルとなるので、3年前期まで一つも単位を落としていなければ達成できる基準です。単位を一切落とさないことは「フル単」と俗に呼ばれますが、マイナビの調査によれば、4分の3の大学生はフル単で卒業しているとのこと。日頃から学業に勤しんでいる学生であれば難しい要件ではありません。

 なお、前段落で求めた数値は、いずれもCAP開放を踏まえない数値です。CAP開放は、学期ごとに定められた履修単位数の上限を解除することを意味します。その要件は大学・学部・学科により基準が変わるので、お手持ちのガイドブックなどをご覧ください。一般論として、卒論を除いて130単位以上を卒業要件としている場合は12単位の履修を上限として設定していると思うので、CAP開放を行えばさらに上で述べた「3年前期で云々」の条件の実現性は高まるでしょう。

「1年次のほうが単位を取りやすい」の理由

 一般に「1年・2年で取りまくれ!」とされていますが、この理由は「1年の時のほうが授業が簡単だから」ではありません。誰にでも向き不向きがあるので、言語科目・教養科目のほうが専門科目よりも難しいと捉える人も多いです。一般論の理由は、1年生は2年生・3年生より進路に関する制約が少ないことにあると考えます。大学は高校までと異なり、カリキュラムによる制約があるとはいえ大幅に自由度が上がります。なにを、いつまでに、どのように達成するかの選択・決定権は学生に委ねられているのです。しかし、進路の決定を目前にした時に、本来であれば求められるスキルを身に着けていないと、学生自身がその責任を負わなければなりません。学年が上がるにつれ、目指す進路の実現に向けてするべきことも増えるので、日々の授業と時間の奪い合いが発生します。このときに自由を担保してくれるのは、紛れもなく1年生の時の取得単位数です。

 「授業があって面接に行けない」とか「内定を得たのに卒業できない」といった不安を抱えながら4年生を迎えるのと、そうでない状況で4年生を迎えるのとでは大きな差があります。最高学年でなくとも、落単が濃厚な場面で戦略的撤退を選ぶことができるというメリットがあります。1年生の頃からコツコツ貯めてきた単位によって、時間の面はもちろん、精神的な面でも自由を得ることができるのです。

目標は年50単位以上

 各学期12単位が履修上限とされている場合、CAP開放しなければ、全ての単位を取ることができても1年で48単位しか取ることができません。このペースで取得すれば、先述のように3年前期終了時点で卒業要件の9割以上を揃えることができます。しかし、1年生のうちにできる限り多く取得したほうが、後々楽になるどころか自由を得ることができます。その意味で、CAP開放を行い、年50単位、2年後期終了時点で100単位を超える勢いで単位を取るべきだと考えます。

 CAP開放は大方1年後期から受け付けていると思うので、セメスター制であれば1年前期で24、1年後期から3年前期まで毎期26単位ずつ単位を取得していくのがよいでしょう。CAP開放を考えていない、あるいは困難である場合には、通常学期の授業だけでなく長期休暇期間に開講される集中講義の活用もおすすめです。

進路の方針を2年生の夏休みに確定する

 「学業だけやればいい」と思って絶賛後悔中の23卒予定NNTからの忠告です。進路は1年生のうちによく考え、2年生の夏休みには方針を確定し、2年生の春休みから新卒向けの就活サイトを使い始めてください

 どの学部に入学しても、入ってすぐのオリエンテーションで「進路」についてお話があると思います。自分の学部はどういった進路が多いか、進路決定に役立つサイトや場所はこんなのがあるとかを教えてくれます。他方で、入ってすぐの段階から進路についてしっかりと考えている学生はあまりいません。特に地方の大学の場合は早い時期からインターンシップに参加している学生は特に少ないでしょう。

 就職活動は3年生の夏休みから始まると上で述べました。3年生の夏休みは、自称進学校に在籍して大学受験を迎えるとよく聞く「3年0学期」みたいなものです。ほとんどの大学生がインターンシップを行い、翌春に向けて業種や職種の詳細な分析・検討を始めます。その時までに明確な進路を決めていないと、ふらふらとした軸で進んでいくことになり、3年生から4年生に上がる春休みで過去の自分を恨むことになります。民間就職も公務員就職も狙う場合、本腰を入れて早期から勉強していかないと「二兎を追う者は一兎をも得ず」の状況になります。これに加えて院試も検討している場合は「二兎」が「三兎」に変わります。就活が本格化すると、それまでより格段に早く時間が過ぎていきます。公務員試験や大学院入試に集中するならそうすべきですし、SPIや面接に集中するならそうすべきです。

 2年生から3年生に上がる春休みに方針を確定させるのもおすすめしません。第一に、この時期は多くの大学生が新入生勧誘の中心として動きます。もちろん、サークルや部活動の規模により持っていかれる時間には差があります。しかし、よほど小規模でない限りは、3月から4月下旬(場合により5月上旬)までの多くの時間を新歓に割くことになるでしょう。加えて、3年生の4月1日になると、その世代の新卒向け就活サイトがオープンします。例えば、今年の4月1日には24卒(2024年3月業生をこのように表記します。)向けの就活サイトが本格的にオープンします。大学生活の折り返し地点で始動するのです。大学生であれば早期に受験に向けて手を打つことの重要性を知っているはずです。今は買い手市場であり、就活の早期化も進んでいます。ぜひとも早い時期から多くの情報に触れ、就活軸を見つけ、やりたいことを決めるようにしてください。

最後に

 この記事が皆様の履修登録と日々の時間の有効活用に役立てば幸いです。