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森に住んでいた猫のこと

自宅の近くに小さな森があり、そこに約14~15年生きていた猫がいた。何度か近くの家に保護されたらしいが結局森に帰ってきてしまうと聞きました。外見も声も可愛くて性格は穏やかで誰にでもなついていたのでみんなから可愛がられていたキジトラ白ねこ(オス)。背中は黒っぽいので私は「くろちゃん」と名付けていた。くろちゃんと過ごした期間は短かったけど私にささやかな幸せと癒しをくれました。

くろちゃんは今年の1月20~21日ひっそりと姿を消しました。20日の日は餌を食べれなくなっていたとのことでした。天国に行ってしまったのかそれとも又保護されているのかまだわからないけど、どこかで幸せに暮らしていることを祈っている。

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くろちゃんに初めて会ったのは今から5年程前たまたま森の入り口付近を歩いていた時、か弱い声が聞こえてきた。初めは警戒しているようだったけど次に来た時はなついてきてくれて、しばらくすると誰かが段ボールで小屋を作って餌やりスポットが出来ていた。やがて休日は餌を持ってくろちゃんに会いにいくのが楽しみになっていた。通りがかりの人が立ち止まってかわいい猫だとか、毛並みがいいねと話しかけてきてくろちゃんは皆のアイドルだった。

ある日餌スポットに行くとカラスが餌をつついていて、くろちゃんは少し離れていた所から見ていた。私が近づくとカラスは去ってくろちゃんがそばに来て餌を食べることができた。他の猫にも威嚇するところを見たことがなくて本当気が弱いというか優しい猫で野良なのに心配してしまう程だった。

そんな楽しい休日も長くは続かなかった。ある日いつものように小屋へ行くとくろちゃんの姿はなく、おばあさんがひとりしょんぼりとそばのベンチに座っていて言いました「ねこなら3日前からいないよ。皆心配しているんだ。」 翌週も来てみたけどもう段ボールも片づけられていた。

もう会えないのかとがっかりしたけどそれから2年後に思いがけずくろちゃんに再会した。

続く