世界の片隅で、存在を叫ぶ

「主人公はいつだって自分」とかいえば、とても聞こえはいいものですが、自分が主人公でいられるのは自分の中だけですし、例えば隣の部屋の人からしてみれば良くて脇役、下手したら顔すら存在しないモブであることなんてざらです。

さて、本日の"主人公"をご紹介しましょう。

小学校のテストは大体100点。好きな科目は算数・数学と理科で、特に元素が好き。PCで動画を作ったり、学園祭の実行委員会をしたり、校内のクイズ大会で優勝したりと様々な経歴?を積んできた、どこにでもいるような普通の大学生。

留年寸前(もしかしたらもうしてるかもしれない)

あまりにもありふれた特に秀でてもいない才能と、あまりにも大きく育ちすぎた虚無で飾られた自尊心だけが取り柄の、救いようのない大学生。

得意だったことは……まああったと思います。将来の夢は……なんでしたっけ。

今を生きるのに精いっぱいになっていたら、いつの間にか今を生きている理由すら見失ってしまった、哀れな人型のイキモノのお話です。


……


おしまい。

この物語は、ここで終わります。

もう死にたくなりますね、はい。死んだらこの物語も、どんな最悪な結果であれ(少なくとも自分だけは)ハッピーで終われますし。



「死にたくなるよ なるだけだけど」

例えば今目の前にある踏切。遮断機が下がって時速数十キロで鉄の塊が目の前を通り過ぎます。

今持っているものを何もかも投げ出して、ただその2,3メートルを踏み出せたらすべてが丸く収まります。


じゃあなんでその足はその高々数歩を踏み出せないんでしょうか?


私はちゃんとここに生きているし、生きていたい。人より劣っても算数や理科は好きだし、夢だってまだ持ってる。死ぬ前にやりたいことはまだいっぱいあるし、それをできるだけの実力はないかもしれないけど、挑戦するくらいはしたい。

「死にたくなるよ 生きていたいよ」


才悩人応援歌。BUMP OF CHICKENの楽曲の中で私が特に好きなもののひとつですが、こういう一節があります。
「僕らはみんな解ってた 自分のために歌われた 唄などない 問題無いでしょう」

この歌は私のために歌ってくれた唄でも、あなたのための唄でもないんですね。私のために歌ってくれてますけど。

自分の唄は自分で探しに行くもので、ほかのだれかが分けてくれるようなものじゃないんですね。


私の唄って何ですか?


私はどんなにへっぽこで無様でも、だれに気にも留められないようなつまらない存在でも、関係ない。私は今ここに生きているんだ。今この場所に、足跡でも爪痕でも、何でもいいから自分のいた痕跡を残したい。できるだけ多くの人に、「私はちゃんと、ここで生きていたんだ」って知ってほしい。

スポットライトの当たらない、暗い辛い世界の片隅でも、私自身の存在証明をこのふざけた世界に突き付けてやりたい。

別に自分がみんなにとって特別じゃなくても、私の中で育てた特別が、世界の中で特別であればいい。


主人公に描かれなかった主人公は、それでも確かに、物語を続けていきます。

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