世界

窓の外に見える景色は、私の知っているようで知らない景色。
風の匂いも雨の味も、この部屋の中で感じることはできない。
薄汚れた繁華街だって、田んぼしかないような田舎町だって、
限界集落寸前の山の中も、都内の高級住宅地も、きっとそう。
その狭い部屋から出なければ、本当に感じることはできない。

私の記憶の中にいるあなたは、本当の意味であなたではない。
今生きているあなたは、さっきのあなたと同一で全く別の人。
あなたに会っているときだけ、私は本当のあなたを見られる。

その狭い殻の中にいて、あなたは本当に世界を知ってますか。


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