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第3回全日本マカロンコンクール2018

2018年10月9日マカロンの日に開催。1日密着レポート。
写真50枚以上。長文ですのでお時間がある時にどうぞ。
流れ→審査員の紹介、審査の様子、審査発表、懇親会、優勝作品の感想。

・今回は「マカロン.チュウ。」です。(笑)
チョコレートの世界に触れていると、様々な洋菓子に出会います。そのうちの一つがマカロンです。

[マカロンコンクールとは?]
・2010年にフランス西部ナント市で創設。ゲルレ氏の主旨に賛同する著名なパティシエが審査員として集い、現在では、フランス国内11か所に加えて、日本、イタリア、ベルギー、カナダでも開催される国際大会へと発展しました。

・今大会の優勝者は2019年4月に行われる世界大会へ出場できる切符が手に入ります。世界大会は名だたるシェフがジャッジします。因みに2017年の審査委員長は#ピエールエルメ 氏でした。
↓日本大会の審査員も豪華メンバーです。(※ページ最下部に紹介動画有り。)

<第3回全日本マカロンコンクールの審査委員>
#菅又亮輔 シェフ (#Ryoura )、#猿舘英明 シェフ (Ma Priere )、#上霜考二 シェフ (AVRANCHES GUESNAY)、#金井史章 シェフ (UN GRAIN)、#中野慎太郎 シェフ (#Shinfula )

特別審査員:#大森由紀子 氏、フレデリック・マドレーヌシェフ(ル・ポミエ)、サントス・アントワーヌシェフ(#クリオロ )#駒居崇宏 シェフ(アンリ・シャルパンティエ)、ファビアン・マルタンシェフ(ピエール・ガニェール東京)、#山本浩泰 シェフ(パティシエ・ヒロ ヤマモト)、#渡辺泰史 シェフ(ポルトボヌール)、#西川開人 シェフ(パティスリーオフク )、#佐野恵美子 シェフ(Les 3 Chocolats Paris)、大村恵氏(前大会優勝者)

[参加要項が厳しいです。]
その1、製菓製造業及び販売業の方、製菓学校の生徒の参加はNG
その2、直近10年以内に製菓製造業に従事していた方の参加もNG
👉つまり「完全にアマチュア」の中でトップを目指すコンクールです。

[開場。]
・東京最終審査会に選ばれた20名が続々と集結し、目で審査する為に形状の良い物を黒いトレイに10個をどう並べたら自身の作品が活きて見せられるのかを慎重に考えながらレイアウトします。

・それとは別にテイスティング審査用に別途15個提出します。マカロンの搬入時間は2時間。その後、参加者は一旦退出し、2時間の審査タイムに移行します。

[審査の方法。]
・事前にどんな人物がどの作品をどの材料で作られたのかは知らされません。審査対象は、マカロンそのものとタイトルのみです。

・当日までに絞り込まれたのは20作品。トップパティシェの方々は、マカロンの四分の一切れを食べて、瞬時に判断し採点しないといけません。

・審査員の方々の待合室のほのぼのした雰囲気から一変、審査開始時のピリピリとした空気が私にも伝わってきました。

・半周ぐらいした辺りから、これはこうだよねぇ。と段々和やかなムードに。時間ギリギリまで悩まれている審査員の方もおられました。

・採点が終わり8個まで絞られました。

・ここから1〜3位と審査員特別賞を選びます。

・全てが決まった瞬間です。

・この後に審査発表が行われます。

・一旦退出された参加者の方は、聞いて驚かれるかも知れませんが、会場の設営(机の移動、マカロンの配膳、ステージの組立、参加者向けの椅子並べ)シェフさん達の手によって行われました。

・普段、お店をされているだけあって皆様の手際が良くて。私も写真を撮っている場合じゃありません。手伝いまして、ひと段落してから、その様子をパシャり。

・皆様の設営の手際が良すぎて、待ちタイム。

・上位20名のノミネートされた皆様が思い思いの時間を過ごされて、希望と不安が入り混じった表情で会場に戻られてきました。

・優勝候補者は勿論ドキドキ。審査員の方々も順位毎の出番とコメントを間違えず用意しなければならないといけないのでドキドキの瞬間。

・クリオロ のサントス シェフからConcours Macaron Amateur Internationalの創設者であり、世界マカロン協会の会長であるVincent Guerlais 氏(Relais Desserts会長)からの祝辞を紹介。

「皆さんこんにちは、本日、東京にて第三回全日本マカロンコンクールが開催されます事を本当に喜ばしく感じております。まず初めに全日本マカロン協会を創設し、この国際的なコンクールを企画運営して頂いている小林眞澄さんに心からの感謝を申し上げます。

 マカロンコンクールはフランスでは9期目を迎え、日本では3期目を迎えますが、私の経験で申し上げますとコンクールを開催する事は主催者のエネルギーの体現とでも言うべきものでもあります。眞澄さんには溢れる情熱を持ってコンクールを主催して頂いた事を重ねて御礼を申し上げます。

 加えて本日の審査員をお引け受けくださいました世界的に偉大なシェフの皆様方に厚く御礼を申し上げます。皆様方の中にはよく存じ上げている方も居らっしゃいますね。再会の機会を心待ちにしております。

 そして本日ここで競われる20名のファイナリストの皆様へ、素晴らしい作品と共に東京での最終審査に選出されました事に心からお祝いを申し上げます。今日この大会に参加された事は皆様にとりまして忘れ得ぬ思い出となるでしょう。

 自身はFACE BOOKでコンクールの進行を拝見する事を楽しみにしております。

 また、来春、2019年4月29日にフランスの山岳地域であるバル
ディゼールにて開催される国際大会に私たちと共に参加される本日
の優勝者にお会いできる日を待ち遠しく感じております。

 昨年の優勝者である大村恵さんは、今日は審査委員としてこの場にいらっしゃることと思います。「恵さん、こんにちは!」今年5月に私たちと共に過ごした世界大会の素晴らしい体験を皆様にお話し頂ければ幸いです。

 それでは、皆様にとって素敵な一日となります様に!
そして、眞澄さんには今日の素晴らしい日を企画運営して頂いたことに改めて御礼申し上げます。マカロン万歳!

小林理事長「この祝辞には代表として私の名前のみが記されておりますけれども、協会発足以来、さまざまな運営、企画、多大なご協力を頂きました、菅又シェフ、猿舘シェフ、上霜シェフ、金井シェフ、中野シェフ、この言葉を皆さんに捧げたいと思います。ありがとうございました。」

[コンクールの審査結果の発表、並びに表彰。]

🥉3位:新井 知加子さん Macaron a la crème brulee
・プレゼンター:サントスシェフ、西川シェフ、大村氏


サントスシェフ「普通に美味しかった。それが大事。日本でもフランスでもコンクールは一杯あるけどビビっちゃって、(他の作品と)別の物にしなければ思ってしまう。それはコンクールだからそうしないといけないんだけれども。ただ、味が一番なんですね。あまりにもチャレンジしすぎると何を食べているのか判らない。そうなるとアウト。なので普通に美味しかったと思います。」

西川シェフ「サントスシェフも仰っていた通り、食べて素直に美味しいと思える、変な香りが残ったりしない美味しいマカロンでした。」

大村氏「凄くマカロンコックも綺麗だし、上のカラメルの食感が面白くて美味しくて良かったと思います。」

新井さん「こんな賞を頂けるなんでびっくりなんですけど、8月30日にcottaさんのサイトで材料を頼もうと思って開いたら、このコンクールの事を知りまして31日が締め切りで、31日にシュークリームを作ろうとしたらクリームが一杯余っちゃったから、マカロンに挟んだら美味しかったので、こういう物が出来上がった。偶然の産物なんです。本当に。なので皆さん、本当に素敵なマカロンが多かったので、え、どうしようと思ったんですけど、家庭の味みたいな感じで、賞を頂けて本当に嬉しく思っております。」

🥈2位:鈴木 真代さん Macarons I’amricaine -Peanut Butter&Jelly-
・プレゼンター:マドレーヌシェフ、山本シェフ、渡辺シェフ

マドレーヌシェフからタイトルの由来やピーナッツの事を訊かれたのに対して、
鈴木さん「アメリカのマカロンという題名にしたのは、アメリカを代表するサンドウイッチ、ピーナッツバター&ジェリーをイメージしまして、アーモンドの粉では無くピーナッツの粉で作りまして中のクリームをジェリーじゃなくジャムをイメージしてイチゴのバタークリームで、中にイチゴのパートドフリュイを入れたので、その名前にしました。ピーナッツは千葉県成田山から取り寄せました。」

それを受けたマドレーヌシェフ「美味しかったです。」

山本シェフ
「凄く食感もあったり、凄くバランスが良かったです。」

渡辺シェフ
「ピーナッツの風味が立ってて凄い美味しかったです。」

🎖審査員特別賞:渡辺 和人さん マカロン エキゾチック ジャパン
・プレゼンター:上霜シェフ、金井シェフ、中野シェフ

上霜シェフ「ほうじ茶をうまく使えてるなと。」

金井シェフ「ほうじ茶とエキゾチックという事で酸味のしっかりとした爽やかさの中に少しほうじ茶の良い香りとコクが美味しいマカロンでした。」

中野シェフ「コックの状態が良かったのとエキゾチックの酸味が効いていて、甘さだけでは無くて、そうですね、これもシンプルに美味しいなと思えるマカロンでした。」

渡辺さん「凄くびっくりしているのが正直なところで、普段食べ歩いているシェフの皆さんに囲まれて、この緊張感たるや(笑)」

🥇1位:光成 愛さん with ゆうちゃん。 ”爽”〜 citron bosilic〜
・プレゼンター:大森由紀子 氏、駒居シェフ、ファビアンシェフ

マドレーヌシェフが、ゆうちゃんを抱き上げたら、すぐにお母さんの元に帰りたくてグズってしまい…。

大森先生「いやだって、マドレーヌ!」→謝るマドレーヌシェフ。場内爆笑。

大森氏「お子様育てながら素晴らしいマカロンでしたよ。3、2位は普通に美味しかった。普通に美味しかった。でも1位は普通に美味しいだけじゃダメ。感動を与える私達に愬える物があったんですね。

 一口食べると爽やかな酸味とバジリコの香り、最初の味のインパクトあって余韻も素晴らしかった。あと綺麗にお化粧されていて表面に瞼に付けるようなキラキラ感がエレガント。マカロンってワクワクさせてる物なので、そういった一手間が凄く素晴らしかったと思いました!おめでとうございます。」

駒居シェフ「大森先生からもありましたけど、本当に美味しいマカロン、一口目からインパクトがありましたし、そのあとバジリックが追いかけてきて、素晴らしい風味。またデザインも和風っぽくて非常に良いなと思ったんで是非、フランスの世界大会でも頑張って頂きたいと思います。」

ファビアンシェフ「僕はフランス人なので日本語は喋れません」と大森先生が通訳、続けて「って言ってますけど喋れるんですよ。」と。「本当に味がよくてコックも美味しかった。」

大森先生から総評「それぞれ本当に工夫されて、偶然の産物が賞を獲っちゃったりそれはそれで良いと思うんですよ。それが丁度、コックとクリームの硬さがあってたし美味しかった。ですけど、この審査ってマカロン食べて、あ、美味しいとか美味しくないとか、それは絶対に必要なんですけど。

 来年の春にパリスイーツという20年前に出した本のリニューアル版を書いていて。20年前に書いた自分のラデュレのマカロンの原稿の写真を見返すと、(並べらたマカロンを見ながら)こんなに素晴らしい物のじゃないですよ。表面がコツコツしてましたし、薄べったくて、そんなに味のバリエーションが無い。モカとチョコレートとバニラ。そのぐらいのもん。でも20年も経ったらこんなにバリエーションも増えて、綺麗にコックが出来上がるようになった。

 元々は二つのマカロンをつなぎ合わせる為に糊付けの為にクリームで合わせた。そういうのが昔のマカロン。その大元にちょっと帰るべきかなと、今日ちょっと思いました。マカロンの生地自体をコックと言ってますけど、これを完成させない事には、やはり最初に当たる食感なので、そこから、やっぱり勝負なんですね。
.
 なので今日頂いたマカロンは、コック自体が審査基準に至ってないというか、そういうのもありましたので、まずは外側ですよね、クリームは二の次として。それからコックに合わせるクリームを何でも良いから入れちゃえじゃなくて、それに合うクリームを研究していく。っていうのが今後のテーマかなと思いました。本当に今日は皆さん、子育て中の方も、働いている方も、色んな方が参加して頂いたと思うんですけど有難うございました」

[菅又シェフと猿舘シェフの総評。]

猿舘シェフ「全体を通して、ちょっとした所で賞の入る入らないが決まってきます。香りとか何かが強すぎるとバランスが崩れて、ちょっと評価されない部分になったり、生地の状態も対象になりますし、今回に関して一番気になった部分はオリジナリティーの部分にちょっと気にしすぎてしまったのかなという作品がちょっと多かったのが気になりまして、来年もまた参加して頂きいたんですけれども

オリジナリティーよりも基本的な技術 を。皮の部分ですとかクリームの状態をしっかりした物を作るのが一番評価される部分に繋がっていくのかなと思われます。なので、どちらかというと基本的な所ですね。

 本戦(世界大会)に関しては今回作った物じゃない物を持っていきます。なので基本的に、皮の部分がしっかり作れる。見た目の部分で綺麗に仕上げられる。味がしっかりした物が作れる。って人が優勝する対象者じゃないかなと思うので、

 基本的な部分をしっかり考えて作品をつくってきたら、一番になる可能性もありますし来年の評価がもっと良い物が作れるというような事に繋がっていくと思いますので頑張って来年も挑戦して下さい。」

菅又シェフ「(おどけたトーンで)もぉう、話すぅ事はぁ無ぁい…。(😂🤣😂場内大爆笑)何を喋って良いのか…、ちょっと残しておいてくれないかなぁ…。(😂)(真面目なトーンになり凄い早口で)はい!皆さんお疲れ様でした。とっても個性的なマカロン。主役の味がはっきりと判るようなマカロンでした。美味しかったです。有難うございました。(😂🤣😂場内再び大爆笑

・賞を逃した方に「菅又亮輔シェフ監修 段付きパレットナイフ」を贈呈させて頂きます。と発表があり、審査員席から挙手があり「✋私も欲しい→もちろん」続けざまに他のシェフさんも手を挙げて「✋欲しい→もちろん」「✋→もちろん、もちろん」と菅又シェフが応じる流れが続き(😂🤣😂場内再び大爆笑)で表彰式は閉幕しました。

[懇親会。]

・ヴォルフベルジェール社のスパークリングワイン、アルザス クレマン ブリュットピノ・ブラン種100%<AOC> アルコール度数12.5%

・世界大会の打ち合わせが早くも始まりました。

・前回のチャンピオン大村さんから、光成さんへエールが贈られました。

・参加者が審査員の方々にアドバイスを求めて回っています。先ほどまで場内で大爆笑を掻っ攫っていた菅又シェフが凄い真剣な眼差しで参加者の方々にピエ(マカロンのフチの部分、フランス語で足の意味)の出来方の良し悪しをレクチャーしているコントラストがカッコ良かったです。

・上霜シェフと猿舘シェフからチョコレートのマカロンでコンクールで戦う難しさのご説明を頂きました。マカロンの生地の砂糖の量の多さに対してチョコレートとバランスの取る難しさ。猿舘シェフご自身も仮にこの大会に出品して勝てる自信が…。とマカロンのスイートさと比べて決して甘く無い世界でした。

[今回の〆。]
・審査員の方々の意見を総合すると、素直に美味しい物が求められているという事です。受賞された皆様、おめでとうございました。🎉

・惜しくも漏れたファイナリストの皆様、この記事を読んで興味を持たれた方、来年の第四回全日本マカロンコンクールにチャレンジして頂きたいです。

・今回はオリジナリティを強く意識し過ぎて「外観、基本、食感、味」が達していない作品が多かったようです。

・選考時、20個の中から絞り込まれ残った8作品はどれも個性が強くなく普通に美味しい物でした。

↓最後に優勝作品の感想です。

[カカオ.チュウ。フナミズ のテイスティングメモ。]
🥇1位:光成 愛さん ”爽”〜 citron bosilic〜


※私はマカロンの専門家では無いのでピエやコックの様式は判らないのでそこは書けません。
外観:表面は細かな銀粉がパールコーティングのように全体を薄く覆い光の当たり具合で表情を変えます。それが強すぎず絶妙な加減で黄色いマカロンに光沢を齎らします。皮にはリーフの模様が描かれています。この模様の意味は後から知る事となります。

クリーム:クリーム色の生地はレモンの強い酸味と香りが、くっきりと出ています。水分量が少ないモッチリとした食感なので舌に最後まで残り、レモンの余韻が長く楽しめます。

クリーム生地の中央:円柱状に白レモンの酸味が更に強めの甘さ控えめのコンポートを配置、これが少量でとても良い塩梅、レモンの風味を中盤に強調するアクセントとなっています。クリームと皮の間にはバジルの葉っぱが隠れて一枚配置されていました。

 審査時の四分の一の状態では気づきませんでした。切られ方によってバジルが入っている欠片と入っていない欠片があり。改めて丸々一個を食べてみると、こちらが加わる事により刺激の無い柚子胡椒のようなスパイスのニュアンスを加えたような香りとなり、とても良いマリアージュを生み出していました。

まとめ:甘さ控えめ、奇を衒う事が無く、レモンを正攻法で表現した、このさっぱりとしたマカロンは何個でも食べれてしまいます。

[動画。]
・最終選考に参加されたシェフさん達による「コンクールのオープニング」(前半)と「エントリー20作品」(後半)を紹介する2分強の動画を制作しました。音に合わせて編集してみたので、そちらもお楽しみください。

※二本目はnote限定のおまけ動画(YouTubeから検索してもヒットしません)です。Instagramにアップしている動画の縦長完全版です。


・私の長文に、最後までお付き合い頂き、有難うございました。
このnoteは誰かに頼まれて書いた訳で無く、自分の意思で書きました。

・理由は、小林理事長と支えるシェフの皆様と関係者各位と参加者のパッション。
それを言葉として残して置きたいと思ったのと、来年の参加者の参考になればと。
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