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今回は、昔書いたガンバル君という随筆を思いだしながら書いたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 夏が始まって、キリは街の中を走っていくのが好きだと言った。 アツトは街の中心にある城の周囲を回って、街に入ろうと提案した。 「城の外周は好みじゃない」とキリは言った。 「ここから、走るなら城を一周した方が街へも出やすい」 「電車で駅まで行けばいいじゃないか」 「せっかく走るんだ。 城を通って、駅まで走っていこう」とアツトは言った。 キリは『ならそれ
今回の短編は、タイトル通りある日のランニングで思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 初夏のよく晴れた日の夕方、はっきりとした目的なく、僕は低い山を登った。 登った山の名は知らない。 午後の5時くらいだったと思う。 外が涼しくなるのを待ってからTシャツと半パンの格好で、近所の山へ向かった。 日が落ちかける頃、空気が昼から夜の色に変わってくる時間を好んで僕はランニングに出かける。 その日も大学が終わってから特に予定もなかったので、走