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今回は、今朝書いた短編小説『探し物と約束』のその3です。この前行ったキャンプ場での景色を思い出しながら書いたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ カレンダーに予定を書き込む習慣がなくなってからどのくらい経つかわからない。 二十歳になる前は、ほとんどない予定を精一杯カレンダーに書き込んでいた気がする。 朝起きて、今日の予定をカレンダーに書き込もうと思った。 「今更過ぎない?」と彼女は言った。 楽しみにしていたキャンプ当日。 せっかくだし、いつも
今回は、今朝書いた短編小説『探し物と約束』のその2です。大事なレンタカーの予約を忘れる夢を昨日見て思いついたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 彼女に言わなけらばならないことがあった。 来週の土曜日にキャンプに行こうと誘ったのに、レンタカーを取り忘れた。 そのためにずいぶん言い訳を考えた。 冗長にならず、気取らず、僕自身の緊張で彼女をおびえさせないように。 そしてなにより、言葉に思いをのせ過ぎないように僕は話をしたかった。 彼女と出会った
今回の短編小説は、鞄の中に入れているモノがよくなくなる人を想像して書いたフィクションです。 良ければ一読ください。 _____ 「いったい、何を探しているんだい」 「鏡よ。 私の持ってた鏡」 「でも、鏡なら今君が左手に持っているじゃないか」と僕は言った。 「ちがうの、この鏡じゃないの。 もっと別の大きな鏡みたいなものなの」と彼女は言った。 「鏡みたいなもの?」と僕は聞き返した。 彼女は何も答えなかった。 彼女はよく物を失くす。 特に、鞄の中に入れているモノがな