ステンドグラスっぽい絵を描こうとした話
この記事は定期ゲ・樅 Advent Calendar 2020 の、12/12分に居座っています。勝手に飛び入り参加です。
…として書いた記事を、別媒体からnoteに移植しました。
内容は2020年時点のものです。
前の記事(12/11):非対人勢が決闘不可避になったイバラシティで不可避後初決闘からガチPTにぶつかって絶望したレポだったもの~駆け込み寺する為の準備の仕方~(御巫咲絢さん)
後の記事(12/13):定期ゲーム内の中学を爆破した話(あぁ^~とりすさん)
Q.これ何の記事?
「実在する何かっぽい画風、どうやって作るんだ?」
…という話をします。汎用性がゼロ!明日から役に立たない記事です。
記事の筆者は、ステンドグラスっぽい絵を描いています。下の絵はこれまでに描いたもの。
実在する何かっぽい絵を描いてみたい人への、応援くらいにはなりたいと思います。そんな人ほかにいるのか?しかも長い。1万字くらいある。
Q.お前は誰なの?
はじめまして。ルランと申します。つぶきゃらで興味を持って定期ゲ界に足を踏み入れました。今は騒乱イバラシティに969で参加中。ガラス職人キャラでガラス工芸を作るロールなどをしています。
定期ゲアドベントカレンダー、すごい企画ですね。読んでいたら自分も何か書いてみたくなってしまい、空き枠に滑り込みました。でも持ちネタがステンドグラスっぽく描けるようになりたすぎて実物を作りに行ったことくらいでした。
この記事は、
・9割のステンドグラスの話
・1割のルネ・マグリットの絵の話(唐突)
・塩コショウ程度の定期ゲの話
以上3点でできています。
また、記事の内容は100%、個人の頭の中身です。豆知識的なことが書いてあっても信憑性はゼロ。あまり信用せずに、暇つぶしとしてお付き合いください。
Q.ルネ・マグリットって?
シュルレアリスムの画家です。好きなので引き合いに出します。ステンドグラスとの関わりは特にありません。
1.どうしてステンドグラスをまねてるんだ?
*この章はほぼ自己紹介なので、適当に飛ばしてください*
もともと、ステンドグラスっぽい絵を描き始めたきっかけが、定期更新ゲーム「BLACK TEA CONQUEST」でした。通称「てぃーこん」。
2015年末から2016年初頭にかけて開催されたこのゲームは、自分の魔王城を作って、攻め込んでくる勇者と戦うシステムでした。そこで、「じゃあ、プロフ絵をお城の壁画かステンドグラスみたいにしたら面白いんじゃ?」と思い立ったのが始まりです。
最初に描いたステンドグラスっぽい絵がこちら。
そこから「もっとステンドグラスに似せられるのでは…?」という気分になり、定期ゲに参加するかたわら試行錯誤していました。
そして、2019年11月から参加中の「騒乱イバラシティ」に至り、こんな感じに。
Cross+Roseの図案のつもりでした。ちょっとは上達した…か!?していると思いたい。
ここから先は、「てぃーこん」→「イバラシティ」に至るまでの、「どう描けばステンドグラスに見えるんだ!?」という迷走の顛末です。9割はステンドグラスの話、残り1割はルネ・マグリットの絵の話をします(好きなので)。
2.まずは実物のことを調べる
ステンドグラスっぽく描いてみようとして、まず考えたこと。
「そもそもステンドグラスって、何でできていて、どうやって作っているんだ?」
相手のことをめちゃくちゃ調べないと戦いの舞台に立てない…と、私はいまイバラシティの対人戦で散々思い知っていますが、「実在する何かっぽく描く」こともたぶん同じ。まずは向き合う相手のことを調べてみました。
とりあえず、下記のリンクはWikipediaの「ステンドグラス」のページ。
※追記:気兼ねなくリンクを貼れるのでWikipediaを引っ張ってきています。
よりきちんと調べるなら、書籍やソースの明らかなサイトを読んだ方がよいです。
たくさん説明が書いてありますが、簡単にまとめるとこうです。ステンドグラスとは。
色ガラスのピースを、金属のフレームで結合して、絵や模様を作るガラス工芸
細かな手法や金属種の違いはありますが…とにかく、ガラスと金属でできています。よって、ステンドグラスっぽい絵を描くなら、ガラスと金属の質感をまねればよさそう。OK、描こう!!
いや待って。
描きたいものの材質や構造を調べ、絵に反映すること自体は、普段絵を描くときも結構やります。しかし、たいていは絵の中の一部分だし、自分の塗りや画風に馴染むように反映します。
たとえば、普段の絵で私が木を描くと、こう。
木の質感を意識してはいますが、あくまで私の画風です。自分の画風に木を取り込むわけですよね。
一方、ステンドグラスっぽい絵は、絵自体をステンドグラスに見せかけたいのです。絵の中にステンドグラスを描くのではなくて。だから、自分の画風に相手を取り込むのではなく、画風の方を相手に寄せる必要があります。
画風をステンドグラスに寄せるって、どうすればいいんだ?
実物のステンドグラスについて調べ、画風を寄せようと描いてみる。描いた絵を実物のステンドグラスと見比べる。いや実物と全然違うが?
画風を寄せるには、漠然とまねるだけではダメなようだ。きちんと考えてみよう。どこが違うのか探して、さらにまねようとして…。
そんなことをしているうちに、思うようになったことがこれ。
ただの絵が実物のステンドグラスをまねるには…どうやら結構頑張らないといけないぞ!(挑戦する前に気付いてくれ)
3.絵が実物のフリをするには
さて、話が急に明後日の方向に吹っ飛びますが、画家ルネ・マグリットが描いた「イメージの裏切り」という絵画があります。喫煙用パイプの精巧な絵に、「これはパイプではない」と一文を添えてある作品です(原文:Ceci n'est pas une pipe)。
収蔵美術館のページで見られるのでリンクを貼っておきます。見て。
イメージの裏切り(The Treachery of Images)
出展:ロサンゼルス・カウンティ美術館
「いやパイプだろ。何言ってんだコイツ…?」感がありますが、マグリット先生のお話はこんな感じ。
これはパイプの『絵』であって、パイプ『そのもの』じゃない。
イメージと実物は違う。だから、『これはパイプではない』。
画家をしながら哲学もしていたマグリット先生なので、超難しいこと言う。
マグリット先生の哲学の理解は、難しすぎるので置いといて。ステンドグラスっぽく描こうと試行錯誤してぶつかった壁の大本が、絵と実物の根本的な差だと思ったのでした。要するに、
ステンドグラスっぽい絵、『ステンドグラス』じゃないんだよな。
…当たり前だよな!!いや当たり前なんですけど。この、「ステンドグラスじゃないこと」を乗り越えるのが大変。
前の章で、ステンドグラスはガラスと金属でできていると調べました。
逆に言うと、ガラスと金属でできていれば、それはステンドグラスです。どんな色で、どんなデザインで、どんな形で、どこに置かれていようと。見る人には、始めから「ステンドグラスだ」と思ってもらえます。
でも、絵は違います。
見る人たちには、それが絵だと、偽物だと始めからバレています。実在する何かっぽい絵を描くというのは、とっくに正体がバレている偽物が、それでも実物のフリをするということです。
どうすれば上手く実物のフリができるんだ…?なんか人間に化ける人外キャラの悩みみたいになってきました。俺は人外だが、どうすれば人間に見える…?
ところで、マグリット先生のパイプの絵に戻ります。もう一度リンクを載せます。
「これはパイプではない」の一文に対して、私は「いやパイプだろ。何言ってんだコイツ…?」と言いました。なぜ「いやパイプだろ」と思ったのか。なぜって、パイプに見えたからですが…見えてるじゃん!絵なのに!
では、なぜパイプに見えたのか?理由はたぶん、2つあります。
1つは、まあ、マグリット先生は絵が死ぬほど上手いから…。
そしてもう1つは、マグリット先生が、どこからどう見ても典型的なパイプを描いたから。
実物のパイプって、どんな形だったでしょうか?試しに、現代日本の喫煙用パイプを画像検索してみます。
…いろいろな形のパイプが出てきました。
時代や場所が違っても、パイプの形はきっとこのくらい多種多様だったでしょう。パイプはタバコを吸う道具です。だから実物では、タバコを吸うことができれば、どんな形であれそれはパイプ。
でも、絵は?
この画像検索結果の中から、ひときわ個性的なデザインのパイプを選んで描き、「これはパイプではない」と一文を添えてみたら。マグリット先生と同じ問いができるのか?
「うん、パイプじゃないかも。珍しい形だし」なんて、思われて終わらない?
「これはパイプではない」と哲学を問いかけるために、まず絵を見た人に「パイプだ」と思わせなければならない。
だからマグリット先生の作品は、誰が見てもパイプにしか見えないように。現実のパイプが持つ多様なデザインによらず、見る人の頭の中にある「典型的なパイプのイメージ」に訴えるように描いたのでは。
自分の絵を、実在する何かに見せかけたいとき。
見せかける方法の1つは…まあ…死ぬほど絵が上手くなることかもしれないけど!それは一朝一夕では手が届かないので、見なかったことにして。ここでは、もう1つの方法を選びます。
実物が持つ多様な姿によらず、できるだけ典型的な姿に近づくように描く。そうして、見る人の頭の中にある「それ」のイメージ…いわば、ステレオタイプのようなものに訴える。正体がバレているとしても、偽物の姿から見知った実物を思い出すように、見る人を誘導できればいい。
人外キャラが人間に化けるときもたぶん、典型的な人間の行動パターンをまねると自然なのかな。どうかな…。
4.「らしさ」を成り立たせる要素を探す
誰もが思う典型的な姿に近づけば、上手く実物のフリができそう!と思い至りました。
よって、ステンドグラスの典型的な姿…ステンドグラス「らしさ」について考えてみます。「らしさ」だと漠然としているので、画風に落とし込めるくらい具体的な要素に分解したい。何が「らしさ」を作っているのか。素材と技法かもしれません。
2章で、ステンドグラスとは次のようなものだと調べました。
色ガラスのピースを、金属のフレームで結合して、絵や模様を作るガラス工芸
ならば、ステンドグラス「らしさ」は、次の3つの要素から成り立っていそうです。
・色ガラスが持つ特徴。
・金属のフレームが持つ特徴。
・ガラス工芸としての技法・表現の特徴。
実物のステンドグラスは、これらの特徴の影響を受けた見た目をしています。同じ影響を受けているかのように描けば、そっくりに見えるかも。よって、上記3つの要素がステンドグラスにどう影響しているかを、細かく考えてみます。
以下、私が思う細かい特徴の例です。あくまで「私が思う」だけで、これが正解ということではありません。
色ガラスが持つ特徴
・光を透過して、明るく見える。
・多様な色や模様がある。
・厚みがあるため、金属フレームの側面が透けて見える。
・厚みが不均一で、位置によって明るさと色が違う。
・ひび割れや傷、気泡が入っていることがある。
金属のフレームが持つ特徴
・光を透過しないので、暗く見える。
・ガラスピースを透過した光が反射する。
・錆を防ぐ加工をすると、色が黒っぽくなる。
・太さが不均一。
・はんだ付けで固定するため、エッジが丸い。
ガラス工芸としての技法・表現の特徴
・宗教画、花鳥風月、土地の名物など明るいモチーフが多い。
・モチーフは図案化・単純化される。
・色鮮やかでカラフルにすることが多い。
・大窓に嵌める場合と、小窓・小物を作る場合で技法が違う。
特徴を把握したら、一つ一つ絵の上で再現してみることにします。より多くの特徴を再現できたとき、全体として「らしい」見た目に近づくはず。
絵で再現する具体的な方法は…お絵描きソフトの機能とにらめっこしながら考えよう!
Q.特徴、どうやって把握したんだ?
A.出先で実物を見たり、写真集を見たりしました。
そして、自己紹介でネタバレしましたが、1回作りました。体験教室的なところで。
作らないとわからないこともある…。
まねたいものの実物にたくさん触れて、情報を集めるしかないんだろうな…と思いました。製作過程を辿ったり、内部構造を見たりできる機会があればなおよし。
ゲームでも、ボス敵にせよ強豪チームにせよ、勝つためにとにかくログを読んだりします。何事もそうなのかもしれません。情報収集の過程をショートカットする方法があればすごいと思いますが、わからない。
私はステンドグラスと戦っているのか?
5.「らしくなさ」を探して取り除く
「らしさ」について考えたので、次はステンドグラス「らしくなさ」を考えます。典型的な姿にはない要素のことです。人外が人間に化けるのに、いくら外見を似せても、しっぽが出ていては台無しです。そうした「らしくなさ」は取り除きたい。
「こういう表現は、実物のステンドグラスにはないだろう」という要素を探します。ステンドグラスに「ないもの」を探すので、実物を見ているだけではわかりません。素材や構造から推測し、本当にないかどうかは、実物を見て答え合わせします。
以下、私が思うステンドグラス「らしくなさ」を、3つ挙げます(例に使用している画像は、すべて自分の絵です)。こちらも「私が思う」だけで、これが正解ということではありません。
金属フレームが途中で途切れていること
この、背中のステッチ部分のような状態。
ステンドグラスは、ガラスピースを金属フレームで結合して作ります。このとき、金属フレームはガラスピースの輪郭をなぞる形になります。線画が途切れた状態は、実物のステンドグラスで言えば、ガラスピースに金属フレームが刺さっています。物理的に無理がある。
というわけで、答え合わせタイムです。本当にないんでしょうか?教えてGoogle先生!
Google先生「珍しいけど、少しはあるよ!こちらのステンドグラス工房さんの記事をどうぞ」
あるんだ。
あまり見かけないだけで、金属フレームがガラスに刺さって見える状態も作る技術があるんですね。職人技だぜ。
ガラスピースの形が複雑すぎること
この、葉っぱや髪のような状態。
ガラスは、硬い上に割れやすい素材です。ガラスピースを作るためにガラスをカットしますが、ハサミで紙を切るようにはいきません。複雑すぎる形や、小さすぎる形、細すぎる形は、カットが難しくて作りづらい。
…で、実際、どのくらいの細かさまで作れるんだろう?Google先生、お願いします!
Google先生「こちらで紹介されている作品 は、特別複雑にカットしているみたいだよ」
これ本当にガラスか?紙では?めちゃくちゃな形にカットしてるが…。
カットに失敗しやすくて難しいことは確かですが、できる工房もあるようです。すごい。
ガラスピースの色が暗すぎること
この、黒い部分のような状態。
ステンドグラスは、よく窓に嵌め込まれます。これはインテリアであると同時に、採光の役割を担っています。何より、光を透過してきらめくことがステンドグラスの魅力の一つ。よって、遮光性の高い、色が暗すぎるガラスピースは使いにくい。
というわけで、答え合わせ……さすがに3回目は答えが見えますね。Google先生に聞くまでもない。あります。
しかも買える。
先ほど、「採光が〜」「魅力が〜」と最もらしいことを言いました。でもそんなこと、ステンドグラスを買う人が「ネコチャンカワイイ!これなら光が透けなくても構わないよ」と言えばそれまででした。
以上、私が思うステンドグラス「らしくなさ」でした。
どれも、実物のステンドグラスに少数ながら反例があります。実物のステンドグラスは、ガラスと金属で作られた時点で「ステンドグラスであること」を保証されています。多少の「らしくなさ」を含んでいても存在が揺らぎません。つよ…。
でも、絵は違う。偽物は簡単に存在が揺らぐ。珍しい例に似せるほど、典型的な例からは離れていきます。反例があるとしても、ある程度珍しいことを確かめられた「らしくなさ」は、絵から取り除くことにしました。
…ただし。反例を採用しよう、と考えるときもあります。「その方が綺麗」なときです。たとえば、イバラシティ用に描いたこの絵。
キャラクターの顔の部分、瞳を象る線が途切れています。金属フレームがガラスピースに刺さっていることになる。目じりから髪まで線が繋がっているべきです。
…でも、キャラクターの顔に余計な線を入れるの、嫌じゃない?これは自キャラの絵ですが、他の方のキャラクターを描くときは特にそう思います。
こういうときは、開き直って反例を採用することにしました。
だってその方が綺麗だし、これは絵だから。ガラスと金属に縛られたフリをしているだけで、本来は自由に描ける。実物をまねようとするあまり、絵として綺麗ではなくなったら本末転倒だと思います。都合よく解釈してしまおう。
総括:実在する何かっぽい画風にするには
以上、ほぼステンドグラスのために迷走しまくった人の話でしたが、一応総括しておきます。
実在する何かっぽい画風、どうやって作るんだ?
私の場合は、こんな風に試行錯誤しています。
まねる対象のことをできるだけ調べる。
実物を見たり、製作者のWebサイトや本を読んだりします。実物の製作過程を辿ったり、内部構造を見たりできる機会を得られればベストだと思います。
自分の絵や考えと、実物を見比べる。
どこまで同じにできたか。どこがまだ違っているか。時々立ち止まって確認します。
「らしさ」を細分化して把握し、それぞれ絵の中で再現する。
実物の材質や、使われている技法などが持つ特徴の複合体が「らしさ」だと思います。一つ一つ特徴を把握・再現していくと、全体として実物に似てくるはず。
絵で再現する方法は、自分が描くのに使うツールと相談。
「らしくなさ」は、絵に描き込まない。
たとえ、「らしくなさ」を備えてなお素敵な実物があるとしても。
「らしくなさ」は実物にはないので、把握が「らしさ」より難しいです。材質や技法から推測して、実物で答え合わせします。
絵としての良さを適度に優先する。
実物には見られない表現でも、絵としてあった方が良いなら採用してOKだと思う。絵なので。
終わりに:何かっぽい画風で、何ができる?
自分が楽しくなれる(重要)。
あと、創作や交流のタネに使えると思います。
冒頭で自己紹介したように、いま私は、騒乱イバラシティにガラス職人キャラで参加しています。
私は正直、ロールに苦手意識があるタイプです。自分から人に声を掛けることもものすごく苦手。一期一会の出会いになりがちなゲームの世界で、一緒に遊んでくれた人の印象に残ったり、面白い思い出を作ったりする自信がありません。
でも。
Q.お前は誰なの?
A.ステンドグラスっぽい絵を描く人です。あなたのキャラクターや、リクエストもステンドグラスっぽくします。一緒に遊んでもらえませんか。
これならさすがにちょっとは何か残せるだろ…!!
変わったことをすれば、話のフックになるかも。人の記憶に残れるかも。戦闘で活躍できるかも。そうして、尖った構成のキャラを作ることがありませんか?私はよくやる。
絵を特定の方向に特化させることは、そうした「尖った構成で戦う」方法の1つになるかもしれません。ならないかもしれません。描いていて楽しいのは確か。
記事は以上です。
長い記事でしたね!読了された方、ありがとうございます。お疲れさまでした!!
おまけ:ステンドグラスっぽくするメイキング
せっかく記事作ったのでメイキングも載せちゃお!!
ステンドグラスっぽく見せかけるためだけのメイキングなので、これを参考にしても絵の上達とかには1ミリも寄与しません。
使用ソフトはMediBangPaint for iPadです。ほかのソフトでも同じことはできると思います。
1.構図を考える
この工程がいちばん大事(その割にラフがひどいのは私の癖です)。ステンドグラスには、似合う構図と似合わない構図があるからです。
似合う構図はこんな感じ↓です。ざっくりと語弊のあるまとめ方をすれば、宗教画的な構図が向いています。
・点対称、回転対称、線対称など対称の構図
・幾何学図形、図案化されたモチーフ
・正面からのアングル
逆に、似合わない構図はこんな感じ↓です。
・動きのあるポーズ
・細かな描写やリアルな表現
・アオリ、俯瞰などの極端なアングル
2.レイヤーを分けて下書きする
私はラフにいきなり色を塗る民なので、ここで塗ってしまいます。線画が先でもよいと思います。
エリアごとにレイヤーを分けておくと、あとで加工するのが楽。この絵の場合、同じ色の部分は同じレイヤーに乗っています。
3.線画を描く
まず、キャラクターの輪郭など、最低限必要な線画を描きます。できるだけシンプルに。
そのあと、ガラスピースの分割を決めます。下記の点を守りつつ。
・各ピースの形は、ガラスでできる程度の単純さにする。
・すべての線が繋がった状態にする。
・すべての線の端が、ほかの線に合流した状態にする。
・細かく分割しすぎない。
下描きしてもずれることが多いので、だいたいぶっつけ本番です。キャラクターが背景に埋もれたり、枠と背景が一体化したりしないように、部分的に線を太くすることもあります。
4.ガラスピース部分を塗り分ける
同じ色のパーツでも、ちょっとずつ色を変えておくとステンドグラスっぽい。普段の絵なら影やハイライトを入れる部分を、色を変えて表現してみたりもします。モチーフが黒いときは、藍色や暗赤色など、少し明るい別の色に置き換えます。
ここでも、色ごとにレイヤーを分けておくと後が楽です。
5.はんだ付けの丸みを描き足す
実物のステンドグラスでは、金属フレームのつなぎ目をはんだ付けして固定します。よって、金属フレームの繋ぎ目はエッジが丸くなります。
その丸さを手作業で描き足します。すべての線の繋ぎ目に。コツは感情を捨てて線を引く機械になることです。
6.ガラスピース部分の輪郭を際立たせる
①線画レイヤーをコピー
②不透明度から選択
③拡張(2px程度)
④適当な明るい色で塗りつぶし
⑤ガウスぼかし(3px程度)
⑥レイヤーブレンドをオーバーレイに。
文字にするとややこしいですが、要するに線画を利用してガラスピースの縁だけ色味を変えます。金属フレームとガラスピースが干渉して、ガラスピースの輪郭が際立つことをまねるためです。
線画を頑張っておけば、ここはお絵描きソフトの便利機能で一瞬。かがくの ちからって すげー!
7.ガラスピース部分に色のムラを作る
実物のステンドグラスでは、ガラスピースの細かな凹凸や模様のために、色のムラがあることが多いです。これに似せて、ガラスピース部分にテクスチャを乗せます。ランダムなパターンを乗せられるテクスチャならなんでもいいと思います。
ピースごとに別々のテクスチャを乗せて、模様や光透過率の違うガラスを組み合わせた雰囲気にしたりもします。前の工程でレイヤーを分けたのは、ここでピースごとに模様を変えるためです。
8.明暗を付ける
透過光を表現したいのですが、全体を明るくするとただ明るい絵になってしまう。なので、絵の中で明るさに差をつけます。
「光源がガラスのすぐ向こうにある」位置を決め、そこから離れるにつれ暗くなるようにします。具体的には、明るい部分はスクリーンで薄い黄色を、暗い部分は乗算や焼き込みで薄い青を乗せています。
明るくする位置はお好みですが、だいたいはキャラクターの顔の辺りにしています。映えるので。
9.陰影を描き足す
ガラスピース部分に、影の暗さと透過光の明るさを描き足して調整します。「光源がガラスのすぐ向こうにある」位置から見て、遠い方ほど暗く、近い方ほど明るくなるようにします。
10.質感を複雑にする
実物のガラスピースは、綺麗なつるつるではないことが多いです。水滴の跡が残っていたり、細かな傷があったり。ひび割れていることもあります。
そうしたガラスの質感を、テクスチャを乗せて表現したり、手描きで足したりします。
11.線画の色を明るくする
ステンドグラスに光を当てると、ガラスを透過した光の色が金属フレームに反射します。強烈な光を当てたときは、金属フレームも結構明るい色に見えます。
前の工程で、「光源がガラスのすぐ向こうにある」位置を決めました。この位置を中心に、ガラスピース部分の明暗と合わせて、線画の色を少し明るくします。
…以上!ステンドグラスっぽくなった…かな!?なってるといいですね!
頭の中身をあらかた吐き出したので、私がある日突然トラックに轢かれて記憶喪失になっても、これを読み返せばまたステンドグラスっぽく描けそう。
ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございました!
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