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東京、カフェが死ぬほどある

「東京駅の周り、スタバが4件くらいあるんですよ」

職場でそんな話をしたことがあった。そんなある?と思って調べてみたら、もっとあった。地図を開いて「スタバ」で検索してみよう。

仕事で東京へ出向いたとき、街並みを見ては考えていた。カフェ、立ち過ぎじゃない?
いや、実際には、ほかのいろんなものも乱立しているんだろう。ただ、私はコーヒーが好きなので、どうしてもカフェが目に留まる。
スタバ以外にも、大手カフェチェーンがそこかしこに立っている。タリーズ、ドトール、ベックスコーヒー、サンマルクカフェ、プロント、etc。ちょっと少ないところでは、銀座ルノアールや、我らが愛知の誇るコメダ珈琲も(大事なので太字)。

ここ1年はさすがにほとんど行かなかったけれど、以前は時々、出張のお昼にカフェに立ち寄ることがあった。あちこち入っているうち、ふと気づいた。立地とメニューが微妙に違う。こいつら、乱立して競っているわけじゃなく、客層で棲み分けている…!
自然界で、よく似た種類の生き物が、食べ物や棲み処を微妙にずらして共存するという話がある。あれと似たようなことを、首都圏のにょきにょき生えまくっているカフェもやっているっぽい。

カフェに行けないご時世だし、平穏な頃を懐かしむついでに、知っているカフェチェーンの生態系を書き出してみよう。
とはいえ、私はどこも常連というほど通う客ではない。思い付きの小話として読んでほしい。推しや創作キャラがどこに入りそうかのネタくらいには使える…か…?


スターバックス

どこにでもあるし、めちゃくちゃある。立地で棲み分けと言ったけれど、さすがに店舗数日本一だとそこら中にある。
特徴は何と言ってもドリンクの種類の多さ。呪文とまで言われるカスタマイズ性。反面、フードの種類は多くないし、量が少ない。ナントカカントカフラペチーノはカロリーのヤバさが有名だけど、ソイラテやソイハンバーグなど、健康志向・菜食系メニューもある。罪滅ぼしかな?
飲み物の注文取りはのんびりめなわりに、フードを食べるのに時間が掛からない。「時間はあるけれど、やることもある」人が来る店っぽい。行くと必ずと言っていいほど、ノートPCや本を持ち込んでいる人を見かける。ドリンクの自由さや話題性、お洒落さが目当ての若者も惹き付けている。基本ドリンクが主役で、「遊び」がある雰囲気が売りなんだろう。


タリーズ

駅から少しだけ距離を置いた、喧騒とつかず離れずの位置にある。
フードメニューにパスタがある。作るのも、食べるのもちょっと時間が掛かる。店の前の看板でもパスタを売り出している。「時間に少し余裕があって、しっかりめのご飯を食べに来た」人を呼んでいる店だ。
ドリンクのメニューはそれほど多くなく、スタバと比べると随分あっさりしている。でも、しっかりめのフードメニューと合わせるならこれで十分だろう。パスタを食べているとき、ドリンクは主役じゃないのだ。
スタバより時間の流れが遅い感じ。


ドトール

駅構内や、人通りの多い道沿い(特にサラリーマンがよく通るところ)にある。
フードメニューはパンとサンドイッチ系ばかりで、ジャンキーなものが多い。駅構内の店だと立ち食い席があったり、お昼に行列ができていたりするのを見かける。「お腹がすいちゃったけど、ちゃんと食べている時間がない」人が駆け込める店だ。スタバと比べると、マジで忙しい人たちが来るのだと思う。片手にドリンク、片手にフードで流し込むか、片手をスマホから離さずに食べるか。スタバより時間の流れが速く、「遊び」がない。
私も何度か急ぎまくっているときにお世話になった。それが、カフェの棲み分けを妄想するきっかけだった。だって急いでるときに限って絶対ドトールがそこにあるんだもん。狙って立ててるよ。


ベックスコーヒー

ドトールと同じく、駅構内や駅付近にある。ドトールと違うのは、そこそこ辺境の駅にもあることだ。というか、調べてわかったけれど運営がJRなんだね。
そういう辺境の駅に早歩きのサラリーマンは来ない。ドトールがビジネス街寄りなら、ベックスコーヒーはベッドタウン寄りや中継地にあるように見える。出かける前か、家に帰る前、あるいは乗り継ぎの間。そういう、「移動の間に、ちょっと空白の時間がある」人が立ち寄りやすい。
なお知ったかぶっているけれど入ったことがない。いつも通り過ぎてしまう。夏はレモネードを売っていることくらいしか知らない。駅で時間を潰さない人にはあまり縁がない店だ。


サンマルクカフェ

ショッピングモールや、大型複合施設によくある。
特徴は、とにかくスイーツ系のメニューが多いこと。見てこのデザートメニュー。甘さ。ボリューム。夢。浪漫。健康志向や †罪滅ぼし† の意識に正面からシロップを塗りたくってソフトクリームを乗せ、今は忘れろと囁く。ただ、ランチとしてはお菓子に近すぎるものが多く、12時よりは15時に入る感じ(カフェって本来そういうものだが)。「休日に遊びに来た」人を迎え入れる店だ。
子どもが喜びそうなメニューが多いし、キッズセットもある辺り、家族連れを客層に捉えているのだろう。その分騒がしいことが多くて、いわゆるノマド的な作業には向いていない気がする。


プロント

ちょっと影になっているエリアや、ビルの奥まった一角にあるのを見かける。明るいお店やカフェに混じらず、バーに近い立地だと思う。
昼と夜でメニューが違っていて、夜はお酒を出している。太陽と月が噛み合ったロゴ、そういう意味か。メニューや雰囲気が大人っぽく、お値段もちょっと高い。フードメニューは、夜の部はもちろん、昼の部のカフェメニューもタリーズ以上にお腹を満たせるものがそろっている。昼間に入っても落ち着いていることが多い気がする。
お昼休みを丸々使って食べにくるとか、仕事帰りに飲みに来るとか。上に挙げたカフェと比べると、より「時間と余裕のある大人」に的を絞っている店だ。
サンマルクカフェとは別のベクトルで、ノマド作業には向いていないと思う。忙しく作業するには、時間の流れがゆっくりし過ぎている。


銀座ルノアール

駅から少し離れた雑居ビルに入っていたり、綺麗なビルに広々店を構えていたりする。
いかにも高級そうな名前にふさわしく、内装が格式高そうだし、実際コーヒーも高い。フードの種類もあえて古めかしく、店全体でレトロな空気を作ろうとしている。カフェというより「喫茶店」だ。
先輩に連れられて、待ち合わせと話し合いのために入ったことがあった。一人では入れなかったかもしれない。門戸が広くなさそうな雰囲気の分、一度店に入るとわりと長居できる。ゆったりした時間潰しや、商談に使われているんじゃないだろうか。プロントよりもさらに、客の対象年齢と社会的な層が高そう。


コメダ珈琲

関東へ引っ越してきて数年、実はまだ店舗を見かけたことがない。ビジネス街や歓楽街には店を構えていないのだと思う。コメダらしいと言えばらしい(愛知県民にしか通じない空気感)。
ざっと店舗の位置だけ確かめてみると、ショッピングモールや、休日に人が集まるエリアに立っているように見える。コメダの売りは「くつろぎ」であり、席もボックス席が多い。愛知と同じコンセプトでこちらでもやっているのかもしれない。
…あのとんでもない量のメニューって、もしかして一般的な食事時間で食べきることを想定してないのか?


おわりに

以上、入ったことがある店、よく見かける店と、特別枠のコメダ珈琲だった。これだけ乱立しながらどこもそこそこ有名なのは、人口の多さもさることながら、各店が縄張りを分けてお客さんを取っているんだろう。

ところで、トップ画像に貼ってあるおいしそうなコーヒーとプリン。
どこの店かと言えば、鎌倉にある「ミルクホール」という老舗喫茶店のメニューだ。東京のカフェとは1ミリも関係ない。だって手元の写真ではいちばん綺麗にコーヒーが撮れてたから…。

落ち着いたら、またゆっくりコーヒーを飲みに行きたいですね。


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