190427

平成最後の1週間は老人の足を揉む機会が多かった。老人の足は筋張って冷たい。足を揉んでいる間、脳が暇なので、昔のテレビドラマを思い出していた。小日向文世が主役で、筋書きは忘れたけど、デビューして間もない吉高由里子がおみ足を放り出して、好きにしていいよ的な態度を示すシーンを強烈に覚えている。未だにあの瞬間の煌めきを追いかけるように吉高由里子を見ているといっても、過言ではない。そう、アホなのだ。小日向文世は何もしなかった。何もしなかったけど、絶対死ぬまでその出来事を忘れなかったに違いない。記憶の小箱に大事にしまっておいて、偶に出張先のビジネスホテルで過ごす孤独な夜には、そっと取り出して月明りに透かしているんだ。それはおそらく幸せの模範解答ではない。でも最近、幸せになることよりも、生きて明日を迎えることなんじゃないかと思う。

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