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パワーとスピードと…

注文していた側車付自動二輪「EV BOSCO」が日本に届いた。現在、ガレージ・ボスコさんで納品前の最終チェックをしてもらっている。今回は、そのEV BOSCOの実物を見てきたので、それについて書きたい。
当初の予定よりも納品が遅くなったのは、昨今の不安定な社会情勢で船のコンテナが足りないせいもある。それ以上に、私が現地メーカーさんにバッテリーのことで無理難題をお願いしたせいもある(これに関しては、過去に書いたものを読んでいただけば、ご理解いただけると思う)。
ただ、それに加えてもう一つ、大きな問題が発生していた。それで今回、とりあえず実物を見てみることにしたのだった。

あの青いトラック…!

三宮から阪神に乗って、今津で降りる。そこから10分と歩かないうちにガレージ・ボスコはある。ガレージ・ボスコの目の前の道は、片側一車線に、しっかりとした歩道がついている。
冒頭の写真は、私がその歩道を歩いていた途中で撮影したものである。街路樹の緑と合わせて実に絵になる青いトラック(ピックアップ)こそ、私の注文したものである。
自然とテンションが上がる。思っていたよりも、ずっとカワイイ。

現時点での問題点

こんなにカワイイEV BOSCOのピックアップモデルなのだが、困った問題を抱えていた。それは、最高速度が45km/hしか出ないということだった。
ネット上のカタログには60km/hとある。そもそも、このEV BOSCOは側車付自動二輪というカテゴリのため、中型バイクと同じ料金で高速道路を走ることができる(ちなみに高速道路を走る際の速度制限は80km/hである)。なのに60km/hどころか45km/hしか出ないとなると、カテゴリ的には高速道路を走れるハズなのに高速道路の最低速度を下回るため、実質的に高速道路を走ることができないことになる。
ある意味、見た目がトラックなので、周りのドライバーさんが「仕方ないなぁ」と温かい目で見てくれる可能性は、ある。しかし、世の中そういう人ばかりとは限らない。

速度が犠牲になったワケ

今回、速度が犠牲になったのは、日本特有の理由がある。
日本は山がちな地形が多い。あちこちにアップダウンがある。そんな坂道で止まってしまっては困る。
山がちなだけではない。狭い日本では、混雑する幹線道路の上を通り越すような陸橋も多い。そのような場所で、登り切れずに止まってしまったり、ズリ落ちてきたりしては、危険である。

こちらの記事を読んでもらいたい。ピックアップモデルではなくパッセンジャーモデルではあるが、熱海の坂道を走るEV BOSCOのことが書かれている。
記事の最後に、7分ほどの動画がある。ぜひ、これも見て欲しい。日本を代表するトヨタの作ったプリウスが苦戦するような坂道である。カワイイ見た目に、ついコロリとだまされてはならない。見た目はカワイイけど、滅茶苦茶パワフルな走りをしているのがわかる。

このように日本の坂道に対応できるだけのパワフルな走りを求めた結果、スピードが少し犠牲になってしまったのだった。

そこまでのパワーは、必要だろうか?
私の場合、確かに急な坂道や陸橋は、あちこちにある。でも、熱海ほどではないだろう。そもそもプリウスだってシンドい坂道なら、他の車だってシンドいのは仕方ないことかと。
であれば、他の車がバンバン走るところで45km/hしか出ないほうが問題だろう。

どれくらいパワフルな走りなのか。
それによっては、多少パワーダウンしてでもスピードを出せるような調整をしてもらったほうが良いだろう。
それで実際に乗ってみた。

運転は簡単

自分で側車付自動二輪を運転するのは、これが初めてだった。そもそもトライクやミニカーといった三輪車も乗ったことがない。
それでもEV BOSCO の運転は簡単だ。

EV BOSCO の場合、ギヤは「前進・ニュートラル・バック」の3つしかない。これはスイッチの切り替えで行う。誤作動を防ぐためにバックの場合だけは、もう一つ別のスイッチを入れないとバックしない。
アクセルはバイクのように右手首をひねる。ブレーキは右足で踏む。これは恐らくバイクのフットブレーキの感覚なのだろう。ちなみに右手のところにブレーキは、ない。
こんなシンプルな操作なので、運転の感覚としては、例えは悪いが遊園地のゴーカートみたいな感覚さえした。普通のオートマの車に乗り慣れた人がEV BOSCOに乗る感覚は、マニュアル車しか乗っていなかった人が初めてオートマに乗った時の感覚に似ているかもしれない。

それでも加速感が気持ち良い。音は静かで、小さなタイヤなのに至って滑らかに走ってくれる。
…高速は滅多に乗らなくても良いかな。自動車専用道路は、きっとみんな温かい目で見てくれるよね。

インチアップで速度を出す

結局、タイヤのサイズを一回り大きくする「インチアップ」という方法で速度を出すことにする。やってみないと、どれだけ速度が上がるか、わからない。
ただ…円周は「直径✕円周率」である。直径が6cm大きくなると、円周は18cmほど大きくなる。EV BOSCO の場合、元々8インチのタイヤを10インチにするのだから、理論上はタイヤが1回転した時に進む距離は25%ほど増える計算になる。最高速度が45km/hの25%増しは55km/hである…まぁ、これくらいなら他の車に迷惑をかけないで走れるかな。

荷台の外枠を全てなくすような軽量化も、考えた。でも、それは大して効果がないとのこと。
もし今後もっとスピードを出したい時は…リフトアップして更なるインチアップ?

ともかく、実際に自分で運転してみてわかったのは、楽しい車である、ということ。カワイイ見た目なのに、パワフルというのは、なかなか面白い。

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