OMCB009 参加記

こんばんは。
本記事では2024/5/14に開催されたOMCB009の感想などを書いていきます。
writerは8人バラバラ回です。OMCBは出る頻度落ちるであろうことを思いながら、勝負勘を鈍らせないことも意識して出場、という感じです。惰性で出ている感は否めない…
問題ページは以下です。


参加時の動き

配点は1-1-1-2-2-2-3-3
特に作戦とかもなく、後ろの方から解く感じで。

F

OMCB009 F問題

素因数が被っている必要がある一方で7だけ浮いているのでa_10=7
あとは3,6がペアになることと5,10がペアになること、残りは2,8が入ることを合わせて、
3,6,8 or 3,6,2 2通り、3個の組の配置が3!通り、各組内での配置方法が3!^3である。
いい感じの考察を含んでいるいい低難易度問題。

H

OMCB009 H問題

1,10,100は0~4枚
5,50は0~1枚
500円はいくらでも
で、金額と払い方が一対一に対応
多項式の係数を見れば計算できる。
(1+x+x^2+x^3+x^4)^3(1+x)^2(1+・・・+x^6) のx^6の係数が答え。
途中計算でx^7以上の項は無視すればよく、最後の(1+・・・+x^6)を掛けるところはそれまでの6次以下の係数を全部足すことと同義なので、計算もそこまで大変でない。
係数計算では二項係数に帰着させてもいいけど、項数が少ないので労力は変わらないどころか上の方が楽。
ちなみに、「k番目までの硬貨を合計l枚つかった場合の数」で手動でメモ化再帰(手動DP)をしてもよいが、この計算は結局多項式計算とやっていることは同じ。

D

OMCB009 D問題

q^p+r^pと(q+r)^pをみて即座にmod pしてp|54から p=2or3
p=2のとき4096-54=2qr
qr=2021=45^2-2^2=47*43
2024の素因数分解の時に45^2-1を経由するのがしっくりくるなーと思っていたので47*43=2021自体は忘れていたけど、45^2-2^2と出来てロスはしなかった。
p=3のときを計算している途中で、そもそも偶奇を見たらpが奇数であると気づき、解は最初のパターンのみであった

A

OMCB009 A問題

式を立てる。速さの平均は100点問題でよく見ますね。算数にありそう。
「往復」をいつの間にか忘れていて、誤答…

B

OMCB009 B問題

証明がないから、100点というタイプの問題。案の定問題番号は小さめ
外縁の白黒の境目を解決できなさそうだな~ぐらいの感覚で通してしまった。こういうのを助長するのは教育的にもよくなさそうだが…
6の構成はすぐできて、1回の操作で解消できる色の境目を考察すれば6未満では達成不可という感じで示せる。
白黒をbit表記して、長方形の領域のbitを反転することを繰り返すことが操作に相当、累積和的な考察をすると…などと考えたりしたけど結局外縁に着目するところに行きそう。

C

OMCB009 C問題

正五角形の中心をOとすると36度を角度に持つ直角三角形が出てくる。結局(cos36°)^2

E

OMCB009 E問題

N^3≡N mod100  をすべて足す。Nと100-Nが対応しているのは気づくべきではあった。(N-1)N(N+1)としてN+1のほうで99以下と処理していたので、99を漏らしてしまった…
100点問題と思った。

G

OMCB009 G問題

最後に回していたけど、ただただ座標計算するだけ。
模範解答は凄い難しそうな補助点や等しい線を見つけていたが、結局ぼちぼち計算は必須で、時間内に解く、という観点であればすぐ計算するほうがいろんな意味でもよいと思う。構図自体は綺麗なので概要は知っていて損はなさそう。

感想と反省

8問正解2ペナで 7位でした。やはりペナルティが命取りですね。
セットとしては、難易度がちょっと低すぎたようで、最高difficultyが1290と過去最低の値になっていました。ratedでも全問正解が30人、unratedを入れると118人もいるセットとなりました。4bのコンセプト、理想difficulty分布みたいなのはあまり運営の意図が読めないですけど、8問になる前にさんざん言われていた「難しすぎる」という状態よりは今の方がいいのかなとは思います。ただ、その分4bとregularの難易度差がちょっと大きくなっている感はありますね。SOMCなども活用したらよさそうかなと思ったり。
個人的な理想としては、(ratedの人たちで)全問正解する人が数人(1パーセント以下?)、ぐらいがいいのかなと思ってます。数学コンテストでは解いた速さを評価することはあまりなくて(全体での制限時間が実質的にその役割を担っていることはありますが)、解いた数、証明であればその中身で差をつけて評価することが多い印象です。
個別の問題を見ると、Fがお手軽な中で面白かったです。Bも証明まで含めれば面白い話かなと思いました。

雑多なトピックス

今回は低難易度帯の問題評価/作問について触れていきたいと思います。
感想においても触れましたが、低難易度設定の問題について、(OMCに限らず)扱いが難しいなと以前から思っているので、少しメモしておきます。OMCでいうと100~200点、難易度順に並んでいる系のコンテンツだと前半の数問(JMO予選なら問3,4くらいまで?)を「低難易度」とイメージしています。
・低難易度の問題の内容
思いついたものを列挙しておきます。分類しているようなタイトルですが、各項目は独立してませんし、網羅性も怪しい?
①算数系
100点だと、算数そのものといったタイプの出題をされることがよくあると思います。
速さや鶴亀算、数字クイズのような整数、対象が少ない数え上げなどなど。図形についても少ないステップ数かつ円などを用いない範囲で解決するものなどなど。
②典型知識系
ある程度難しさや面白さを含むテーマであるものの、過去の出題などの影響で典型へと分類されるタイプの問題です。割と「初見殺し」的な要素を含むものがいくつかあるかもしれません。典型が典型たる所以として出題されてしかるべきではありますが、既出のものと「被り具合」によって好き嫌いが分かれるかもしれません。
③作業系
この分類名は良くないかもしれませんが、ともかく知識というよりは手を動かすタイプの問題です。自分がwriterをした219のA問題はここに分類されると思います。(そのうえで、背景に少し難しい数学的なハナシがあるというタイプ)
④1ステップ発想を含む系
OMC200点ぐらいだと発想1ステップ(+作業)という感じになることが多い印象です。「ステップ」のカウントに関しては全く定義を想定していませんが、一個見方を変えたり補題を適用したり補助点を取ったりすると解決できる系で、その発想自体もそこまで突飛なものではない、というタイプです。演習量が多い人だと典型に分類されがちかも。
(⑤その他
エスパー配慮系、過小評価系などなど

・低難易度の意義と「ふさわしい」問題
低難易度の意義についてはコンテスト開催側の意向次第で変わってくるところと思いますが、以下が挙げられると思います(紹介順序に特に意図はないです)
①知識の確認をする
試験的な側面の強いトピックですが、シンプルに特定の知識を知っているか知っていないか、という確認の要素になります。
②広いレベル層に対して実力を判定する
コンテストにおける選抜的な役割、レベル分けの役割、教育的側面などのトピックになります。
③入門者にも楽しさを提供する
これがリピーターを増やす上では一番大事かもしれません。時に②と衝突するテーマにもなります。一つ確実に言えるのは一定のレベル/経験の伴った人の思う楽しさとは異なるということです。人の気持ちやツボ、楽しいと思う対象がよくわからないというのは誰でも思い当たる出来事があると思いますが、まさにそれです。
④成功体験提供/モチベーション提供
楽しさの提供とも近いですが、達成感の提供という側面もあります。
また、モチベーションというのは物事を継続的にこなす上で非常に大事な要素になります。
⑤ウォーミングアップ/緊張をほぐす
これは一定のレベルを上回っている人向けの要素になりますが、最初に簡単な問題を解くことである種のウォーミングアップだったり、心を落ち着ける役割を担うことはあると思います。
(⑥参加者数確認)

こういった項目をたくさん満たすような問題こそが低難易度として「ふさわしい」問題となると思うのですが、作問の上では③や④など、人のツボを探すところと②での教育的側面を反映させるところの塩梅が難しいですね。
上手い人の作問力を吸収したいなと思うところです。

・問題の評価(私の個人的思想になります)
前項の帰結としては、ある程度実力のある上級者が低難易度に着手したときに全然面白くないと感じることについては無視してよく、出題をする際にも、上級者が面白いと感じることよりも、教育的であることや競技的な側面での役割を遂行できることの方が優先される、ということと思います。
ただ、そうはいっても一定のレベル以上の人が100,200点の問題で面白いと感じることがあったり、反対に問題に拒否感を示すことがあると思います。
個人的な意見は以下です。
ポジティブ面:
そもそもあまり考えたことがないテーマなら面白いと感じることが多いですが、知っていることであっても出題方法に目新しい感じがあったり、トピックとして先がある話に魅かれる傾向があります。
割とパズル的な問題に高評価が寄りがちな自覚はあります。背景を読み取る力みたいなのが薄いもので…
ネガティブ面:
「こういうタイプの問題が低難易度帯で出るということは、その方向性の問題も上位問題でどんどん出していくんだろうな」ということを勝手に感じ取って拒否感へとつながっているのですが、基本的には杞憂と思います。


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