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OMC216 参加記

おはようございます。
本記事では2024/3/28に開催されたOMC216の感想などを書いていきます。
expert回になります!レート対象というのももちろん気になるところですが、年度最後ということで2023年度の年間ランキング対象最終回となり、猛者も集結することが予想できます。一応自分も7位ということで今後の動向が気になっているところではありました。
問題ページは以下です。


参加時の動き

配点は4-4-5-5-7-8 配点が見えた直後は時間が135分となっていたので、相当戦略的に動くことが必要になる系かなと思っていましたが、すぐに150分で進行するという訂正が入った。
開始前にはXで「問題の配点が高いからunratedにする」という旨の投稿を複数見かけたけど、点数ではなく順位で決まることを踏まえると、そういう判断をするのは本当に妥当なのかちょっと疑問に思った。他の人の作戦なので口出しする必要はないし、「ratedにしないのはズルい」という思いは全くないのだけど、普通にレート上昇機会損失になってそうに思う。
なんてことを考えているとコンテスト開始。4-4-5-5を拾うことを目標としてたので、4,4を見るもどちらもちょっと重そうな組み合わせ。特にAを少し考えてもピンとこなかったのでCDを見てみると、Dが数論だったので、こちらを着手

D

OMC216 D問題

とりあえず手を動かしてみる。2^k mod257の推移は
2,4,8,16,32,64,128,256,-2,-4,-8,-16,-32,-64,-128,1 
で周期16となるので、最悪でも16個分調べればよい。あとはこれをちょっとだけ効率よく調べる、というだけ。
2^x+216 mod 257 を16で割った余りでの推移を見ると、
9,10,12,0,8,8,7,7,7,6,4,0,8,8,8,8
となることを見ながら計算していく。実際、すべて87に収束することがわかる上に項数も高々5なので、一個一個樹形図なりなんなりで調べる。
m_kは以下となる
4,5,4,5,3,3,2,1,2,3,4,5,3,3,3,3 (総和は53)
87のとき、0になると見せかけてmは正整数なので1と一緒。したがって
53*16+4 = 852
着手した人が少なかったおかげか、FA取得
本当に作業だけだったので申し訳ない気持ちになった。まあ解くのに一定の時間はかかるとはいえ、あまり好きではないかな。性質は面白いけど。
216が入っていて凄いと思ったけども、この値自体は本質ではない

B

OMC216 B問題

AもBも組み合わせなのは歪だなと思いつつ、合計点数的には均一になっていると思えば案外妥当なのかも?(全部解ける人限定)
A問題のゲームチックなところに嫌な予感があったので、Bから取り組む。
経路を上のとき1,右の時0で表記すると、Pの経路の文字について数字が変わるときQの経路の文字は変わらない。P,Qのそれぞれの動きを相対的に見ると、PとQが異なる方向→同じ方向というのを繰り返しながら進む。最終的に(10,10)に到着するので、「同じ方向」はx軸+5,y軸+5で「異なる方向」はx軸+5,y軸+5 となるので  (binom(10,5))^2となる。最初に同じ方向、異なる方向の分を2倍すれば答え。
「同じ」のところの考察を間違えて、binom(20,10)*2を答えてしまった。
A問題はおそらく一発ゲーで、その「一発」の要素に気づけなさそうなくらい思考が複雑化してたので、先に幾何を考察することに。

C

OMC216 C問題

P_BP_Cが直径なので、∠BPC=∠P_BPP_=90°でこれが唯一解なので、ωとBCを直径とする円が接することになる。ωの半径をr,BC=xとおき、内心IからBCへの垂線の足をD、BCの中点をMとすると
・MD=1/2,ID=r,IM=x/2-rで三平方の定理
・面積S=sqrt((21/2+x/2)(x/2+1/2)(x/2-1/2)(21/2-x/2)),r(21+x)=2S
と合わせて、xだけの式にして、(x+21)(x^2-1)で割る。5x^3-63x^2-x-21という3次式になるが、聞き方的にこれが最小多項式(係数から有理数の形が決まって、そこから示せる)なので、それを用いる。
途中すぐに式に落とせることが分かったので、Aに行かずにこの問題に集中できた。
そこまで悪い位置にいなかったので、Aに行く前にEの図を書いて考察を進めて、何も成果がなさそうならAに戻るという作戦にした。

E

OMC216 E問題

まず、この問題で登場するPやCPについて考えたことはなかったが、結果的にQに相当する点について考えたことがあったので、すんなり予想できた。
具体的には、FGに関してAを折り返した点A’についてA'F,C,Gが共円となり、ABCDの中心をOとするとOE⊥FGでOE,CA',FGが共点になる。
(また、Gを中心とする半径GAの円と円FGCの交点のうちA'でない方をX、Fを中心とする半径FAの円と円FGCの交点のうちA'でないほうをYとするとG,A,D,Yが共線、F,A,B,Xが共線になる。実際にはFGCが最初にあって、他の点を取っていく、という順序で構成するものを見たことがあった)

構図 

A'=Qであることは計算で確かめた。(sinを追うときれいに示せるとのこと)
後はこの構図においてAE,BE,CE,円Oの半径が与えられているときに(CA')^2をを求めるという話になる。A,B,C,Dさえうまく座標で表せばあとは直線の交点と折り返しの話に帰着するので、計算すればいい…が、√の中身が大きくなるので、とても計算が大変。
ここでEはFGを極線としたときの極なので、OE*OL=900で、OE^2=690(方べき)よりOL=30sqrt(690)/23となる。A(-6,0),E(0,0),C(35,0)とするとO(29/2,-sqrt(1919)/2)で、OE方向にEL=7sqrt(690)/23なるようにLをとると
LE:EO=7:23なので
L(-7*29/46,7sqrt(1919)/46)
となり、
CL^2=(35+7*29/46)^2+(7sqrt(1919)/46)^2,
LA^2=(-6+7*29/46)^2+(7sqrt(1919)/46)^2
CQ^2 = (CL+LA)^2 = CL^2+LA^2+CL*LA を頑張って計算。

たまたま全体の構図を見たことがあったのと、Q=A'にすぐ気づけたこと、計算に必要な情報の整理が速かったことなど含めてかなりスムーズに処理できた。

A

OMC216 A問題

解いた人数的に何か言いかえができる一発ゲーなのかなと思っていたが、全然わからない。高々512個なので愚直数え上げしようかなと思って最後に回していた。
Eが終わった段階でFもちょっと考察しながら、という良くない状態が10分ぐらいあったが、それを考慮しなくてもかなりこの問題には苦戦した。3つ以上連結している部分を数えるのかと思いきや、●●〇〇〇〇〇●● みたいなケースでは連結していなくても一個は拾える、などなど、細かい事例のみで統一的な帰結が得られない。
結局、黒石6個のところまで書き出したところで、1,4,7/2,5,8/3,6,9 のところだけを押し付ける戦法がよく、逆に各グループで2個以上黒があったらA,Bがどのように選択してもCの番の両端のどちらかは必ず黒になるので最後以外は黒を取ることが可能である。(この部分に気づくのにとても時間がかかった。)
mod3で分類した戦法自体はすぐ思いつくが、Cの行動に対する必要十分な条件になっていることに気づけず、いろんな戦法や細かい場合分けでの状況を追いかけた分かなり時間を浪費してしまった。A,B側からCに押し付ける戦法と、その戦法が適用できないときに実はCが必勝であるということが結構独立してると思うのでかなり難しく感じた。(エスパー率が知りたい)

F

OMC216 F問題

まず各変数を5^(20/3)で割って、(x+2y)(y+2z)(z+2x)=12xyz+1の下で
(x^2+xy/2+y^2)(y^2+yz/2+z^2)(z^2+xz/2+x^2)の最小値とそれを満たすx,y,zの関係について調べるという問題。
制約を整理する。a=xyz,b=x^2y+y^2z+z^2x,c=xy^2+yz^2+zx^2とすると
1=-3a+2b+4cで、
(x^2+xy/2+y^2)(y^2+yz/2+z^2)(z^2+xz/2+x^2)をうまくa,b,cで書けないか気合で計算して模索する。以下を見つける。
(x^2+xy/2+y^2)(y^2+yz/2+z^2)(z^2+xz/2+x^2)
 =3/8*(b-c)^2+5/8*(a-b-c)^2
(賢く探したかったけど、結局係数を見ながらやや運任せに探索してしまった)
が得られる.制約に基づいて変数を一個減らすと
3/8*(b-c)^2+5/72*(-b+c-1)^2で、b-c=Xとおくと
3/8*X^2+5/72*(-X-1)^2 = (32X+5)^2/2304+15/256
となるので、X=-5/32のとき最小値15/256になる。(実際には各変数を5^(20/3)倍した分の比率がかかる)
あとはこれを満たすx,y,zを探して、x-yの評価をする。ちなみにこの時点で残り15分だった。
等号が成立するときは、c=21/16-a/6,b=1/16-a/6と表せる。あとは
X = b-c = -(x-y)(y-z)(z-x)=-5/32
という式変形をしたあたりで、時間がもう少ないことが気になる。
二次式や三次式に落とせるかもなと思いつつも時間的に成果が出せるか怪しく、(x-y)>=rみたいな感じの評価ができて、1~[r*5^(20/3)]の和を計算する感じになりそうなことが見当がついたので、あとはrをうまく探すゲームと思って手を動かすもなかなか別で当てはめて得た例に合わない。
5分を切ったところで、仕方なく、r=0.83付近のところ(実際にはcbrt(5/8))にアテをつけて1~[r*5^(20/3)]の和を投げるも通らず。(38948,38987を投げたが、実際には39062)
もうちょっと時間があったら違ったかもしれないけど、結局x-yの評価をきちんとできていないのであまり意味がないかもしれない…

焦り倒した最後の5分 最後の方おしい(言い訳)
もうちょい時間あったら解けていたかも?

ちなみに実際には、途中で得た(x-y)(y-z)(z-x)=5/32からx-y,y-zの二変数の式で整理すると、x-y>=cbrt(5/8)を得ることができ、他の条件を満たすものが取れることが示せるので、落ち着けば得られたのかもしれない。

感想と反省

5問正解97分54秒1ペナで2位でした!Fが割といい線まで行っていたのに解けなかったというのと、A問題で結構迷走したというのが反省ポイントではありましたが、幾何にだいぶ助けられてかなり良い順位になりました。
初の3000perfオーバーで、レート2400を超えることができました!!年始にも書いた通り、橙色は一つの目標であったので、とても嬉しいです。今まで色が変わるまであまり苦労していなかったものの、さすがに2400まではもうちょっと苦労するのかなと思っていましたが、結局204で失敗した以外は躓かずレートを上げきることができました。

橙色達成!

3回目の赤perfでしたが、やはり反省点というのはあるので、ほぼ悔いのない回というのを作りたいなと欲はあり。今後、expertで順位表1枚目にいてもレートが下がるケースがあるというプレッシャーはありますが、継続して頑張りたいところです。10位以内に入れば、トップページにも掲載されるので、そこも狙っていきたいと思ってます(ただ、アクティブ勢順位に変更されるようなので、もしかしたらこのままでも掲載されるのかも…?)
年間ランキングについても射程圏内にいた方を抜くことができて、現4強に次ぐ5位になりました。ただ、bangiiさんは来年度以降はひとまず引退を表明しているので、来年度は3強と争えるように頑張りたいです。
順位表にいる方々と比べると、自分は1位がないというのがちょっと寂しいですね。嚙み合えば狙えないこともないとは思うのですが、やはり1位を取ることよりもどちらかというと前半の問題を拾いきる安定の立ち回りを目指しているというのも関係するのかも?とにかく後半の問題に弱いというのが課題です。

年間ランキング5位!

今回のセットについては分野の偏りや難易度の偏りもすこしありましたが、自分にとっては相性のいいセットだったようです。全体的にも(個人的には)楽しめました。年間ランキングの表示を見ても割と上位勢が力を出しやすいセットだったようです。
個別の問題については、A,B,E,Fが面白かったです。A~Dは難易度順に並んでいるようには見えなかったですが、正答者数的には割と妥当だったみたいです。個人的にはD<<B<C<<Aと思いました。A問題、B問題はどちらも発想さえピンとくれば計算は楽、というもので、こういう作問がしたいなと思いました。C問題はSNSでは後半の計算がやや不評という感じでしたが、個人的には「最小多項式」と聞いているのがある意味検算になるのでそこまで嫌な感じはなかったです。ちなみに、この条件の下でBCと傍接円の半径が等しいらしいです。D問題に関しては公式解説も作業を言語化したもので、まあプレイヤーから定数時間削る、という観点ならいいのかもしれませんが、「数学的性質」という感じはなかったですかね。E問題はたまたま構図を見たころがありましたが、いろんな性質が含まれていて面白いと思います。F問題は解説の最初の式変形のところがとても面白く、作問者すごいなと素直に思いました。本番はほぼ天啓で式を探してたけど、こういう割と汎用性のありそうな背景があるんですね。

(分量的に「雑多なトピックス」は次回に回します)

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