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OMC220 参加記

こんばんは。
本記事では2024/5/29に開催されたOMC220の感想などを書いていきます。
前回writerかつ無印があまり開催されていなかったため無印の参加自体が久しぶり(4/19以来)でした。チーム戦にも参加しているので、結果を出しておく必要があります。
問題ページは以下です。


参加時の動き

配点は1-3-3-4-4-4 時間は80分で、OMC208に続いて500点の無いセット。
ここ4回はD問題で黄色diffが続く難しいセット続きだったのですが、ここでようやく易し目の様子。
「500点以上は必須」はあくまでセット案段階での必要条件なのでいくらでも覆されるというところですね。
点数については内容に対する絶対的評価とセット内での相対的評価とで変わってくると思いますし、出題側の思うコンセプトが優先されると思っています。(加えてJMO、IMOでは点数の重みがそもそもないので、そこを参考にするのであれば全部同じ点数でも別にいいかなと思ったりもする)
400点から先に解く。

D

OMC220 D問題

二次方程式と√、ガウス記号の時点でうまく格子点数え上げるのかなという感触。実際y=100sqrt(x)を書くとこれをx=y^2/10000なので10000*10000の正方形の格子点を数え上げる(ただし、y=100sqrt(x)上の点は二回カウントされる)久々にFA!
Eが幾何でFを少し考察するも場合分けが減らなさそうだったのでA~Cへ。

A

OMC220 A問題

APで折り返せる形。図形の100点だとこんな感じというお手本問題

B

OMC220 B問題

各桁をa,b,c,d,e,fとしたときにa+b+c+d+e+f<=6で、この時各桁の平均は対称性から一致。それぞれ何回カウントされるかチェックすると
a=k -> n-kを5個に分配→(n+4-k)C4通り これがkに対する重みなので
sum (n-k)C4*k = (n+5)C6 が各桁での総和。n=1~6で足すと12C7
これを111111倍する。
少し計算に手間取りそうだったのでCの後に解いた。コンテスト中は総和計算で時間を食ってしまった。

C

OMC220 C問題

functional graphですべてサイクル3になっている
サイクル3の塊が33個あるので、先に33個にグループ分けしてから、サイクル3における向きの決定(2通り)を行う。
Π (99-3n)C3 * 1/33! * 2^33で、あとは2で割れる回数を見るだけ

E

OMC220 E問題

HXとFBの交点をYとして、HFYを取り出してくる。∠AHF=θとすれば∠XBF=θで、三平方の定理などからAH=YH=xとおけば以下が成立
(23-x)cosθ=2sinθ
(23cosθ)^2+(2cosθ)^2=22^2
0<θ<pi/2に注意してこれを解くだけ。Fと同時に提出したがFが間違っておりそのまま正答できなかったため時間的には損するムーブになってしまった。

F

OMC220 F問題

マスの中心同士を結んで正方形が1467個横に並んだグラフにして考える。
隣り合うマスの整数和が5のときグラフの辺に〇、そうでないときに×を書いて考える。この時×になる辺が4つ存在するようなパターンを分けて考えて丁寧に数え上げる。一つの四角形の中に×が3つの辺となるようなものが存在しないことや、対辺が〇で残りのうち一つが×ならもう片方の辺も×となることなどに注意すると、以下のパターンになる。(縦の線をいくつ×にするかで場合分け)
① 1467C2 * 16
 縦がすべて〇のとき

パターン① 赤色が×


② 1465*4*2*4
縦〇が二個のとき 矢印部分がそれぞれ2択

パターン② 赤色が×


③1466*4*4*2*2
 端に縦×と横×が一つずつあり、残りが①,②パターンで紹介した横×のペアのとき
④4*4*2*2
 両端パターン
⑤4*4*2
 片方の端に縦×が三つ並ぶとき
③の存在に気づかず、それ以外を足したものを40分時点で提出してから途中で気持ちが切れてしまったこともあって正答できずに終わってしまった。問題は素朴で面白いし手ごろな愚直要素と工夫要素が合わさっていてよいと思う。
最後の5分で二次式とアテをつけて3つ分数えて係数を当てはめたが、小さい数字で数えるところで計算を間違っていたので合わず。しっかり正答できるように紙面整理力を鍛えなければ…

感想と反省

5問正解18位でした!F問題が合わせられなかったのは反省点ですが、「絶対正答する」という気持ちがちょっと少なかったかもしれません。
全体としては配点が少しブレ気味でしたが、いい問題がそろっていたかなと思います。セットとしても最近難しい問題が続いていた無印から戻って普通の傾向になったと思います(D問題が黄diffでないほうが良い)
個別に見ると、B,F問題が面白かったです。Bはそのまま計算してしまいましたが、模範解答の発想は割と自然なので出来るようにしたいところ。
F問題については、正答させられなかったですが、いい問題と思いますし、少し低めに評価されるのも納得で、自分の愚直作業への気持ちの弱さが出てしまいました。
ちなみに、D問題はちょっと見たことあるなと思ったらJMO2000年の9番と同じ問題でした。演習目的+作問の参考目的でJMOの予選の後半の問題はたまたまチェックしていたのでピンときました。
ありがちなテーマなので判断しかねますが、まあ何かしら引用されたものを参考にしたんだろうなと思います(にしてももうちょっと出し方とか変えられるかなと思いますが)
過去問ほぼそのままなのはsolverとしては、「知ってる分他の人より有利だし、知らなかったら自分が悪い」ぐらいにしか思わないですし、今回は低難易度の問題だったので気にしていませんが、作問する側としてはちょっと微妙な気持ちになります。しかもその元になった問題がJMOというのがうーん… 個人的な感情は置いておくとして、著作権とかちょっと心配です。
とはいっても、過去問を大量に見て既出チェックを行うのを人間に委ねるのは非生産的なので、現状多少は仕方ないかなと思います。運営の知らない過去問を見つけてきたのが偉い、と思えばいいでしょう。


雑多なトピックス

今日は作問するときの数字設定について触れたいと思います。大した話ではないです。
求値問題において、数値設定をどうするか、という所は意外と悩ましいポイントだったりします。数値設定自体に悩むパターン自体も非常に色々あると思います。
・どんな数字でもよいパターン
  計算の大変さにもよりますが、基本好きな数値を設定する場面で、OMCだと年号や問題番号、その人が好む数字などなどが割り当てられることが多いイメージです。逆に数字を小さくして、「別解法でも計算作業が重くなるが解きうる」という絶妙なラインにして悩ませたり模範解を思いついた人をうまく優遇する、という方法もあります。
・特定の制約がかかるパターン
 数値によって解法が変わったり解が無くなる問題もあるとおもいます。○○で割って△△余る、ぐらいの数値制約になったとき、それをわかるような設定にするか、わかりにくく濁すか、好みで分かれそうです。わかるような設定にする方がsolverから見た不快感は少ないでしょうが、そこを露骨にしすぎると問題の面白さが損なわれるケースもあるのが難しいところです。
二次式や三次式が有理数範囲で解ける、というような制約になることもあります。

・制約が重く、設定可能な数字自体が少ないパターン
 数論の問題ではよくこの状況になると思います。「数値自体に意味がある」というぐらい絞られるときもあれば、人間の作業許容量の都合で上から抑えられているような場合もあります。

今回の問題についてもこんな感じで見れると思います。
A: ∠BAPは60未満で任意。ただ、ここを12°とすると60の約数なのもあって、ぱっと見なら他の解法もありそうに見えます。
B: 桁数と桁和がパラメーターですが、絶妙に作業でもできそうなラインとして今回の設定は良いと思います。
C: 3の倍数であればなんでもOK。問い方としては本質を問えるものがよく、今回は2で割れる回数が結局よさそう。もうちょっと小さくして直接数を聞いたり、素因数分解した指数に関して聞いたりするのもよさそう。
D:  平方数ならOK。作業ではできない数なので、うまい解き方があるんだろうなというメタ的な予想が成立するので、個人的にはJMOに出ていたように100の方がいい気もします。10000については、平方数という性質自体は見えづらいと思うので問題の意図も少し隠されている気はします。
E: 初等幾何は二次式制約(+三角形成立などの距離空間に適切に配置できる制約)になりがちです。作るときはいろいろ文字でおいて適切そうな値を探す感じになると思います。(ピタゴラス数をたくさん探す動きになるかも)
F: 横の長さは任意 直接の数を聞いているので、多項式なんだろうなとアテがついてしまうが、出したい数を使ったのでしょう。


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