未経験者向け「R-TYPE TACTICS」とはどんなゲームか

※この文章はリメイク前の「R-TYPE TACTICS」及び「R-TYPE TACTICS Ⅱ」について記述しています。
リメイク版である「R-TYPE TACTICS Ⅰ・Ⅱ COSMOS」の内容を保証するものではございません。


概要

R-TYPE TACTICSシリーズとは、かつて「アイレムソフトウェアエンジニアリング株式会社」で発売されていたシューティングゲーム(以下「STG」 という ) 「R-TYPE」をシミュレーションゲーム(以下「SLG」という)のシステムに落とし込んだ作品です。

ゲームシステム

本作の大きな特徴として「横視点を基準とした地形」と「索敵」 が上げられます。

横視点基準とはどういう事か

SLGには様々なシステムの物がありますが、今作はその中で六角形(ヘックス)を基本単位とした横視点のアングルを採用した作品です。
これはどういう事なのかというと、横視点の場合では空間の断面を見る形となり、それ自体で上下を表現することができます。つまり、マップ自体に「空間における方向」の概念を持たせる事が出来るという事です。
原作であるR-TYPEシリーズはいわゆる「サイドビューSTG」に当たりますが、本作はこの「空間における地形」の要素をSLGとして取り込んで構成されています。

サンプル用マップ「補給基地奪還作戦」
(ゲームには収録されておりません)

また本作に登場するマップには、STG版「R-TYPE」で登場したステージを再現したステージも多数収録されています。これも、横視点という共通点があるからこその物だと思います。
(余談ですが、この例とは逆に今作が初出となるマップが後に、FINAL2/3のオマージュステージとして登場した事例もあります)

武器の一部にもこの「方向の概念」が用いられており、例えば上方向の高さにしか攻撃できない物、下方向の高さにしか攻撃できない物などがあります。
また、R-TYPEシリーズの特徴とも言える「波動砲」を始めとするチャージ武器も、多くは機首前方にしか撃てないなど方向が定められています。

索敵という概念

このゲームには「索敵」という要素が存在します。
これは、最初から全ての敵が見えているのではなく、ユニット(部隊) を進めていく事によって視界を広げていくといった感じが近いでしょうか。
索敵はこのゲームでは非常に大事で、視認できていない相手からの攻撃は対応する事が出来ずに、一方的に攻撃を受けてしまいます。

これは相手にとっても同じで、相手の索敵範囲外から攻撃を仕掛ける場合、反撃や迎撃などを行うことができない為、こちらに有利な状況を作り出す事が可能です。
(Ⅱにおいては「ジャミング」という機能を使用する事で、意図的に未索敵領域を作る事も可能)

いち早く相手を視界に捉えて先制攻撃を仕掛けるか、あるいは相手にあえて飛び込ませて各個撃破するか。どのような索敵行動を取るかによって、採用するユニットや戦術も大きく変わってきます。

R-TYPEシリーズとしての要素

R-TYPEシリーズらしい要素といえば「フォース」と「波動砲」の二つが上がりますが、この要素も形を変えてSLGに落とし込んでいます。

フォース・システム

フォースは原作同様に機体の前後に合体でき、各フォース特有の三種類のレーザーを撃つ事ができます。
各レーザーには様々な特徴があり、中距離に安定した威力を与える物もあれば、近距離にしか撃てないが高めの威力を持つ物、反撃の代わりにミサイルの迎撃が可能な物もあります。

また、フォースは分離時に単独のユニットとして動かすことができ、短射程の射撃攻撃の他、高威力の体当たり攻撃「フォースシュート」を行う事もできます。

また、今作にはフォースを装備できない機体群もいくつか存在していますが、それらは新たな要素を得て差別化がなされています。
その中から、いくつかの機体について触れていきます。

・R-9E、R-9ERシリーズ
R-9Eシリーズは、当時から索敵機としての設定がありましたが、今作ではその性格をより強め、索敵能力に優れた「早期警戒機」として再登場しました。
TACTICSⅡでは後継機が登場し、新たな機能として異なる次元に潜伏した敵ユニットを発見する事が可能な「亜空間ソナー」が使用出来るようになっています。
R-9ERシリーズについては、差別化の為に「電子戦機」として設定され、周囲に未索敵領域を作り出す「ジャミング」を展開可能な機体となりました。

・R-9Bシリーズ
当時では中長距離巡航用の機体として設定されており、今作ではその巡航性能を生かしたミサイル爆撃機として再設定されました。
FINALで装備していた「バリア波動砲」は、新たに「バリア弾」と名称を変えて実装され、迎撃専用ながらも高い実威力により、迎撃可能なほとんどのミサイル系武装を完全に防ぐほどになり、R-9Bシリーズになくてはならない物になりました。
また、後にFINAL2/3に逆輸入される事になる高威力の専用ミサイル「バルムンク」は今作が初出となります。

R-9DPシリーズ
FINALで初登場した当時は、全機体の中でも異色の武装「パイルバンカー」を装備した近接特化の機体群でした。
今作ではその要素をより前面に出し、速度と引き換えに高耐久・高火力を持つ「決戦兵器」として再設定されました。
もちろんパイルバンカーも使用可能であり、熟練度次第では艦船ユニットさえ一撃で轟沈させるほどの破壊力を持ちます。
また、巨体を生かした強力な突撃攻撃も新たに追加されました。

R-11シリーズ
当時から都市警備用の機体群として設定される事の多かった機体群ですが、今作ではその機動性を生かした高い回避性能に加えて、攻撃後の「再移動」が可能な「高機動機」として生まれ変わりました。
R-11シリーズの特徴的な武装である「ロックオン波動砲」も、高威力・高命中率を両立した武装「ロックオンビーム」として生まれ変わりました。

波動砲

今作でも波動砲は使用可能で、一定ターン経過する事で放つ事ができる「チャージ武器」として実装されています。
FINALで多くの種類が登場した波動砲ですが、それらの特性も反映する形で本作に登場しています。
それらの中から、いくつかの波動砲について触れていきましょう。

・スタンダード波動砲
主にR-9Aシリーズに装備されており、前方4ヘックスの範囲全てのユニットにダメージを与えます(3ターンチャージ)。
最も基本的な波動砲で、R-9A直系機のほかR-9ADシリーズやR-9AX、TL系統の派生機であるTL-2ATで使用可能です。
後継機種になるほどグレードが上がっていき、スタンダード波動砲Ⅲでは熟練度補正次第で全波動砲の中でもトップクラスの破壊力を持つようになります。

スタンダード波動砲

・圧縮波動砲
主にR-9Dシリーズに装備されており、前方6ヘックスの範囲全てのユニットにダメージを与えます(4ターンチャージ)。
元が長距離狙撃用の波動砲だった為か、通常の波動砲よりも射程が長く、威力が高く設定されています。
後継機で使用できた「持続式圧縮波動砲」については、STG版とは異なり「チャージ時間の短縮」という設定付けがされており、射程はそのままにチャージターン数が3ターンになっています。
(その分威力は相応に下がっていますが)

圧縮波動砲

・誘導式波動砲(旧名:ナノマシン波動砲)
FINAL時代でも(一部パイロットの間で)猛威を振るった、自在に向きを変えられる波動砲ですが、今作でもその特性は健在です。
前方1ヘックスは固定ながら、その後の3ヘックス分の方向を自由に変えることができます。
障害物を迂回しつつ向こう側に撃ち込んだり、方向を揃えて縦方向に伸ばしたり、自機の後ろに回り込ませたりなどもできます。

誘導式波動砲

・灼熱波動砲
当時から波動エネルギーという形態から逸脱した特殊な波動砲という位置付けでしたが、今作では新たに生体系ユニットへの高い適性を得ました。
また軌道もやや独特で、2ヘックス前進して上下に一旦別れてから合流する特殊な軌道となっています。

灼熱波動砲

その他の要素

R-TYPE FINALでは、武装を自由に組み替え可能な究極互換機を含め、総計101機もの機体が登場しています。
各機には標準装備の「波動砲」「フォース」の他に、それぞれの機体に合わせた「ビット」「ミサイル」が装備されていましたが、今作でも形を変えて存在しています。

ミサイルについては、高い命中率を持つ「追尾ミサイル」、命中率と引き換えに威力が強化された「誘爆ミサイル」、威力は高いが攻撃方向が下方向に限定される「爆雷」といったように差別化がなされています。

ビットについては、通常の機体では装備されないものの、「レッド・ポッド」を装備したOF-1、「サイビット」を装備したR-9Leoといった特殊ビット機については、複数ヘックス占有ユニットとして再現されています。

まとめ

元々のジャンルとは大きく異なる本作ですが、R-TYPEシリーズとしての要素を随所に盛り込み、上手くシステムとして調和させている完成度の高い作品だと思います。

また、一度クリアしたステージは何度でも挑みなおすことが出来るので、STGで言うところの「攻略のパターン化」も十分行えます。
かつてのFINALがそうであったように、異なる機体・異なる攻略を用いれば、パターンの可能性は無限に広がります。

R-TYPEシリーズとしては異色の今作ですが、もしご興味がありましたら、
旧版・リメイク作を手に取ってみてはいかがでしょうか。
(執筆時点ではリメイクは未発売ですが…)

いつの日にか、新たな提督が現れる事を祈って…。

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