少しややこしいファクタリングの仕訳を解説

はじめに

売掛債権を譲渡することで、中小企業が融資を受ける手段として導入されているファクタリングは、まだまだ知名度は低いと言えます。
怪しい取引ではないのかと思うかもしれませんが、経済産業省が推し進めている施策の1つなので、そういった心配はありません。
それならばと検討してみる方もいると思いますが、気を付けておきたいのが、帳簿にまとめる際の仕訳についてです。

ここではそんな、ファクタリング利用時の仕訳について解説していきます。


ファクタリングの仕訳、基本情報

まず、ファクタリングの仕訳を行う前に、勘定項目や消費税に関してご紹介します。

実際にファクタリングを行った場合、勘定項目として適用されるのは「売上債権売却損」です。
そしてファクタリングを行った際の手数料、ならびに譲渡代金について、こちら消費税は発生しませんので、「非課税」として処理します。


二社間と三社間取引で異なる

ファクタリングを利用するとき、業者と会社間のみで取引が行われる二社間ファクタリング、もしくは業者と会社と取引先とを交えて行われる三社間ファクタリングの二つがあります。
希望した取引方法により、仕訳の仕方も若干変わるため、注意が必要です。
今回は二社間取引を例としてご紹介します。

二社間取引の場合

二社間取引の場合、会社と業者の間でのみ取引が行われますので、その際の仕訳が以下のようになります。

・売掛金発生時の仕訳
取引先との通常業務内で、売掛金が発生した場合は次のようにまとめます。

ダウンロード

この場合、売掛金となった売り上げは課税対象となります。

・ファクタリング契約時の仕訳
ファクタリングの入金が契約以後になる場合、仕訳は以下のようになります。

ダウンロード (1)

契約から入金まで、未収金として扱います。
このとき、三社間ファクタリングを利用しているときは契約と入金日にズレが生じることが多くあるので、その点は注意が必要です。

・売掛金譲渡代の入金時の仕訳
続いて、契約後にファクタリング会社より譲渡代金が入金された際の仕訳方と消費税は、以下のようにまとめます。

ダウンロード (2)

この時、売掛金を売却して受け取った譲渡代金、こちらが非課税となります。

・ファクタリング契約と入金が同時の仕訳
2社間ファクタリングを行う際、業者によって最短即日での入金が行われるときもあります。
そのとき、契約と入金が同時に行われた際の仕訳は、以下の通りです。

ダウンロード (3)

契約から入金まで、ズレは生じていませんので、未収金として扱わなくていいのです。


ファクタリング手数料の経費・損金算入について

ファクタリングを利用するときも手数料が生じてしまいますが、以下のような場合であれば、必要経費もしくは損金として算入することができます。

・売掛金を買い取ったファクタリング会社が、債権に係る権利を実質的に制約なしに行使できる
・売掛金の売却者が、売却した売掛金を支払期日前に、買い戻す権利及び義務を実質的に有していない

上記の条件を満たしている場合、経費もしくは損金として算入することができますので、必要に応じて検討してみるといいかもしれません。


決算時の区分表示について

ファクタリングを利用した後の、決算時の区分表示についてですが、こちらは「営業外費用」となります。
勘定項目は「売上債権売却損」のままです。


まとめ

ファクタリングを利用するときの仕訳についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
制度として始まったばかりということもあり、経理業務として処理する際には、どのように扱えばいいのか分からない、という相談も多く発生していると耳にします。
こちらで例として取り上げた内容は、あくまで一例となりますので、もっと詳しく調べたいと思われた際には、専門家に相談してみるといいでしょう。


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