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時がゆっくり流れるイタリア

日本ではあれよあれよという間に
いつのまにか時が流れていた気がする。
あれをしなくちゃ、これをしなくちゃ、
ってやらなきゃいけないことがいっぱい。
朝7時45分に出勤する為に
6時に家をでる。
帰宅は夜の8時
(特に何も用事がなければ)。
ご飯を食べて授業の準備をして
夜中の2時に就寝。
翌朝5時には目覚しがなる。
日本での最後の一年は
こんな風に過ごした。
行き帰りの電車のなかで
イタリア語講座の録音テープを聴いたり
暇をみつけてはイタリア語の勉強と
留学の準備。
吹奏楽の指導や催しで土日も学校。
夏休みには2週間の短期留学をすでに決めていたので
白い目でみられつつ休暇もとった。
日本人の給料がいいと言われるけど、
それなりに働いてるから当然だと思う。
Anzi、もっともらってもいいくらい。
イタリアにきてからは、
通勤通学に時間がかからない分、
少し余裕ができた。
郵便局や銀行、役所関係は
待たされるに決まってるから
一日かかると思ってでかける。
案の定雑誌が一冊読み終わるくらいまたされるけど、
なかなかこんなにゆっくり本が読める機会もないので、
それはそれで満足。
スーパーのレジやバールの支払いも
さっさといく訳がないと
あきらめの境地で
いまさらいらいらすることもない。
特に急ぐ場合や後に約束がひかえているときは
さすがにちょっとあせるけど、
私のせいで遅れた訳じゃないんだから
結構平気。
「遅れてごめんなさい、
レジの兄ちゃんがどんくさくて」
といえば
「気にしなくていいよ、
よくあることさ」ですんじゃうもんね。
時間にルーズな国では
自分もルーズになるととっても楽。
もともとルーズな私には、
こんないいかげんなイタリアがすっごく居心地がいい。

と、ここまでが15年前に書いた記事。
日本での最後の一年。
そうだったなあ。
頑張ってたなあ。
日本にいるときは、
それが普通だと思ってた。
通勤に二時間かかるとか、
残業したり、
休日返上したり。
昼休みに点滴打ってた。

今、仕事場から家まで15分。
6時にタイムカード押したら、
着替えておしゃべりして
ゆっくり自転車でアルノ川沿いを
キコキコ走って帰っても、
6時半までには家に着く。
歌の仕事も大抵フィレンツェだから
自転車かタクシー。
7時過ぎに家を出て楽屋入り、
歌って帰ってきても11時。

プライベートの時間が激増。
時間がたっぷりあると
心にも余裕ができる。

最近よく頭に浮かぶ
一休さんの締めの言葉。
一休み一休み、ち〜ん。

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