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みろくの独り言

午後6時過ぎ、
自転車で帰宅中、
トラムの踏切が赤信号だった。
向こう側に数人、
こちら側にも数人、
立ち止まって、
トラムが通り過ぎるのを待ってた。
ひとりの人が、
信号なんて存在しないかのように、
ふら〜っと歩いて渡った。
自動安全装置が働いて、
踏切直前でトラムが停止。
でも信号は赤。
待ってた人たちが唖然とする中、
トラムが静かに動き出して、
通り過ぎ、
待ってた人たちはぞろぞろと渡った。

この数秒の間に、
いろんな人のいろんな思いが交差した。

ムッとした人がいた。
気がつかなかった人もいた。
トラムが止まった時、
渡ろうとした人もいた。
でもすぐ動き出したので止まった。
何か言ってる人もいた。
信号無視して渡った人は、
命を失うリスクを負ったけど生きてる。
後ろ指刺されても平気。
待ってた人たちは
数秒損したけど、やっぱり生きてる。
怒っても怒らなくても、
目的地に数秒の遅れで着く。

トラムに乗ってる人たち、
踏切前で止まったことに、
気付いた人もいれば、
気づかなかった人もいる。

トラムに乗ってた人たちも
踏切で待ってた人たちも
渡っちゃった人も
それぞれの人生を生きてる。

デートの待ち合わせに行く人
危篤の家族に会いに病院に向かう人
仕事帰りで疲れてる人
ラブラブなカップル
電話で何か口論してる人
スマホでゲームに夢中になってる人
良い知らせを受け取った人
失敗したことを反省してる人
お腹が空いて晩ご飯のことを考えてる人

トラムの上の人
踏切で待つ人
ほんの一瞬の間に
たくさんの人たちの思いが交差していて
信号無視した人が
多くの人たちに
何かしら影響を与えて、
更に様々な感情が絡まった。

そんな絡まった感情の網を、
私は自転車で走り抜けた。

一瞬の間にいろんな思いが絡まった。

多くの人は特に気にせず
そのまま通り過ぎる。

こんな何でもないエピソードが
その後の数分間引きずって、
嫌な気分になる人もいる。
家に帰って家族に話したり、
友達や同僚に話したりして、
更に嫌な思いをしたことをぶり返す。

勿体ないな。

人生は短い。
嫌な気分で過ごす時間は短い方がいい。

楽しいことをしてる時間
愛する人と過ごす時間
幸せな時間にフォーカスしよう。

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