いのちの終わりを見せてくれた虫
キゴシハナアブ
2階へ行こうと階段を登っていたら、階段の途中でひっくり返っているハチのようなものに気が付き、拾い上げました。
初めは、手のひらの上で弱々しく足を少し動かし、歩こうとしていました。
何分か、そうしてまだ動く脚を動かして、歩けないながらも背中を上に向けていました。
しばらくして動きが止まり、裏向きになり、突然、激しく翅を振動させ手から落ちました。
また、手の上にのせ、背中を上にすると、歩こうとしては、すぐ止まって、何度か足を痙攣させていました。
しばらくしてほんの僅か、もう一度激しく翅を振動させてから、ピタリと動かなくなり、さっきまでは伸ばしていた6本の脚を全て曲げて、それきり動かなくなりました。
私の手の中で、自然にいのちが終わっていく姿を見せてくれたこのアブの魂が安らかでありますように。
