不断寺 高石市  如来坐像

 このお寺は、140年の歴史を持つ高石小学校の隣にあります。(御住職の祖父様から御住職のお孫さんまで親子5代に渡ってこの小学校で学ばれたとお話になっておられました。)


 高さ40cmに満たない小さな仏様です。全体に、ほっそりしたお身体をされてらっしゃいますが、右肩を出されていることでそれが強調されて見えます。
 更に、肉髻があまり目立たないので、より一層仏様という感じがしません。敢えて失礼を承知の上で言わせて頂くと全体的な印象は少年の様です。もしも若い女性がこの仏様をご覧になったら「カワイイ」などと言われるかもしれないなと思いました。
 しかし、よく見ると目を瞑って瞑想をしているお姿です。厳しい表情ではありませんが、かと言って笑っておられるわけでもありません。穏やかで少し寂しげなお顔です。
 手を見ると阿弥陀様の様ですが、その部分は後になって作り変えられたとのことなので元々の御尊名ははっきりしません。お寺にも詳しいことは伝わっていないようです。
 しばらく拝観させて頂いて、この仏様はどこかのお寺の御本尊様としてお祀りされるためのものではなく、もっと個人的な理由で作られた仏様のような気がしました。
 あくまで私の勝手な推測ですが、この仏様は亡くなられた子どもの菩提を弔う為に作られたのではないか。幼い子を亡くされた方が、その生前の姿を模して仏様を作り、手元に置いて供養されたのではないかなと思いました。人に近いお姿や、どこか寂しげなお顔の印象もそう考えると納得がいくような気がしました。
 子どもを亡くされた方は、この仏様に毎日手を合わせ、亡くなった子どもさんとほんのひと時心を通わせ、深い悲しみを忘れる時間を過ごされたんだろうなぁと思いました。