「こんな学校あったらいいな」の記事を読んでいて、支援学校での経験を思い出しました。

 
小学部1年に入学したある子どもさんは、知的な遅れはほとんどありませんでした。

ただ、みんなと一緒にいるのがとても苦手で、教室には入れないことが入学前から分かっていました。

幼稚園もそのために行けていませんでした。
 

支援学校には1クラスに複数の担任がいます。

 
そのクラスの担任の先生方は話し合って、その子に教室外で担任が一人その子に付くことにしました。

入学すると、リラックススペースと呼ばれるところで、その子は先生と一対一で、授業を受けました。

初めは、先生の自作の迷路をしたり、二人で工作をしたり、絵を描いたりしました。

 
給食もそこで担任の先生と食べました。

 
担任の先生が決して無理強いをしたりせず、その子に合った対応を根気よく丁寧にした結果、

半年をすぎる頃からポツポツとクラスに入れるようになり、

クラスの一角にその子のコーナーを作ると、そこにいることが増えました。

 

担任の先生を信頼し、学校には休まずに、楽しそうに来ていました。

数カ月すると、以前見られた粗暴な言動や、イライラした様子もほとんどなくなり、授業に参加することができたときに担任が付いていなくても、落ち着いて過ごせるようになりました。

一年が終わる頃には、半分位の授業には参加できるようになり、2年生の終わりには他の友だちと同じように、殆どの授業に参加し、給食も教室で食べられるようになりました。

 
私は、近くで見させて頂いていて、正直、子どもさんを一人救ったなと思いました。もし、担任の先生が対応を間違っていたら、おそらく不登校になって、その子と親御さんの人生に大変不満足な時間が、生まれてしまったと思います。

(私には、以前、その間違った対応をしてしまった苦い経験があります)

学校には来たいけど、授業には出られない、或いは特定の授業には出たくない。そんなお子さんが日本中にたくさんいると思います。

 

日本国憲法では、親は自分の子どもに普通教育を受けさせる義務があると、規定していますが、子どもには、教育を受ける義務はありません。

 

でも、学校に来ると、授業を受けたくなくても、教室以外だと保健室くらいしかいくところがなくて、児童、生徒さんが授業を受けないで落ち着いて過ごせる環境は、まだまだ整えられているとは言えないのです。

 

今の学校は、苦手な授業、嫌いな授業でも、当たり前のように決められた教室にいて静かに授業を受けることを強要されている雰囲気です。
 

学校のどこかに、しんどくなってしまった子どもさんを、いつも暖かく迎え入れてくれる人と、場所があればいいのですが。
 

2時間目の国語は好きだから出るけど、3時間目の体育は 今は  苦手だからやめとく。とはなかなかならない。
 

或いは、朝からお家でいろいろあって、今は、勉強どころじゃない人や、いつもは友だちと一緒にいるのが楽しいけど、今は、一人でいたい人だっているでしょう。 

 
私は子どもさんのそうした  に寄り添える学校がもっと増えたらいいなと思っています。