宇宙コンビニα

地方都市の外れ、午前3時コンビニの店員は思う。
実は外の暗闇は真空で、この施設は地球を照らす側ではないかと。
夜に空に瞬く星達は、無数のコンビニの光なのではないかと。
スペースシップ、24Hマート。
今宵も異星からの来訪者がぽつぽつとやってくる。

船員である私はある程度歓迎の意を持ち、異星からの訪問者に接している。
しかし、残念ながらその意を向ける気にもなれない異星人もいる。

様々な種類の"迷惑な"異星人がいるが、私がどうしても苦手なのは移動速度が比較的早い異星人だ。
ヒトと同じ形をしている異星人がほとんどなので、「早歩き」と表現するのが正しいか。

早歩き異星人の中で癪に触る者は二種類ある。大学星からやってきた異星人と、ハイヒール星群からきた異星人だ。

大学星人に関して。複数の群で行動しがちな彼らに腹をたてると一見思うかもしれないが、私は違う。
単体で行動し、大学星内ではヒエラルキーの低そうな大学星人に対して苛立ちを覚えるのだ。
単体で行動していたって、ピラミッドの下にいたって、早歩きでなければ私は構わない。
しかし、早歩きで来店されるとどうも私は「こいつらは私を見下している」と決めつけてしまうのだ。
船員とは社会的に見た場合、それこそヒエラルキーの低い業務とカウントされる。それを一番影で「低い」とはっきり評価していそうなのが、単体で早歩きで行動する大学星人なのだ。
大抵の大学星人の個体は年下であるし、攻撃力を持たないので適当な応答をしがちになる。

ハイヒール星群の異星人は、船員を低く見る大学星人とは逆に自己評価が高そうに見える。
カッカッカッという足のパーツを床に叩きつけながら歩くその種は自分の存在をそうやって周りに示しているらしい。
彼ら、いやメスであるだろうから彼女らと表記しよう。彼女らは「私はいい女でしょ」と澄ました顔で船員を見る。
彼女らは声帯をある程度変形できるらしく、普段話す声とは別でもうワントーン高い声で船員と会話を試みる。
その自尊心の高い行動にまったく愛らしさなど私は覚えないのである。
彼女らに対応するときの私もまた、適当に返事をしてしまう。

もっとも、異星人とのやりとりに真摯な対応ということの方が珍しいのだが。

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