新フリースタイルラップバトル FSLトライアウト、私が思うところ

どうも、筆者です。

23歳あたりまでバンドしか聞けなかった自分も今ではHIP-HOPにドハマリ。
もともと音楽の聞き始めが小学生の頃のRIP SLYME・ケツメイシらへん、そこからインターネットをするようになった18歳以降はニコラップらへんにハマり、そしてやっとバトルとかも見るようになりました。
ちなみに今一番ハマってるのはvalkneeです。

で、そんな中なんですけど
新しいラップバトルイベントが開催というわけで。
FSLトライアウト。FREE STYLE LEAGUEですね。
FSLとはフリースタイルラップバトルをプロリーグ化して新たなエンターテイメントを探し出すプロジェクトということで、
それのユース大会というか、FSL本戦への出場権をかけた戦いが「FSLトライアウト」ということですね。

で、それが物議を醸しているということなんですよ。
実際に僕も思うところがあったので筆を持った次第なんですが、
この話題出すのこえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜HIP-HOPギャングがぶん殴りに来る可能性あるよなこえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こちとら普通にタダの音楽好きの会社員なのでマジでご容赦。
でもまあ書かせていただきます。僕から見た印象もあるし。


実際に問題(?)になったもの

実際にはFSLトライアウト自体には多くの期待感が寄せられていたよう。新たなHIP-HOPドリームが誕生するイベントとして最高。ネームバリューももちろんあるということみたいだったのだが……

公開されたCM動画がこちら

うーーーーーーーーーーん

ブレイキングダウンじゃん…
問題視されているのは2点。

①普通に物理の喧嘩

まあそこよね、まず。
果たしてミュージシャンとして、アートとして存在しているのに、暴力に訴えかけて、しかもそれを是としている大会というのがこの動画では印象付けられる。
もちろん実際の大会では違って、これは一部の可能性もあるが。
ただ、その印象付けをするような動画を作ったのは他でもない公式であるということも忘れられない。これでGO出してんだから。

喧嘩で勝って、それが”強い”とされる音楽の大会は許容されるのだろうか。
それは果たして技術なのか?筋トレして度胸つければ韻踏めなくても勝っていけるのか?

そもそも上記のツイッター動画でも、公開されているティザー動画でも

ラップしてなくない?これって俺が知らないだけで「ラップ」及び「ヒップホップ」なの?
ただイカちい兄ちゃん姉ちゃんがマジで喧嘩してるだけじゃん。あとマジでブスとか言って勝った気になってんのはちげえと思う。
これがエンタメかどうかはまた別の問題。ブレイキングダウンがエンタメとして消費されている以上、そこは否定できない。
が、「ラップバトル」と名を冠しているのに蓋を開けたら喧嘩のみってのは流石に違うくない?と思うのはまあ自然だとは思う。

真偽は定かではないがあるツイートによると第一審査の審査基準は「口喧嘩」であってラップではない、というのが明記されていたらしい。
それはもう「口喧嘩バトル」なだけじゃんて。しかもその上で動画では実際に手を出してるもんだから、それすらも危うい。
人を殴る拳を、かわりにMIC握って戦うというのがフリースタイルバトルの美学、という意見を見て素晴らしいなと思ったがそれの真逆なのがつらいところ。
そもそも暴力で勝敗決まるなら、拳銃持ったやつが結局優勝じゃんね。刃物持って殺したら相手黙るじゃん。俺には殴って黙らせるのと切って撃って黙らせるのの美学の違いがわからん。

②審査員にブレイキングダウンメンバーがいる点

上記を踏まえると自然なんだが、一旦待ってほしい。
これは音楽の大会、HIP-HOPの大会なのではないか?
これがまたラップバトルのファンイベントの一種であればまたいいだろう。「(ラップバトルが好きな)喧嘩野郎たちの新たなバトル」なら審査員にブレイキングダウンメンバーがいるのは納得だ。
が、FSLは「新たなHIP-HOPスターを生むプロジェクト」と謳っている。
新たな1ジャンルのてっぺんをとる大会の審査員が、専門外で、別の分野(暴力)を基準にするような人選なのもSNSでは大きく騒がれていた。
極論を言えば「新たなこのジャンルのスターは●●さんです!全然そのジャンル知らないAさんが選びました!」は納得できるのか?という話になってくる。

③主催がFSLという点

だって主催がFSLだぜ?
というのもトップがZeebraなんですよ。あの。キングギドラですよ。もちろん日本のトップラッパーですよ。
Zeebraが現場で見てたんかな?それはわかんないけど、この動画だって一見はしてるはず。全く知らないところで起こってることではないでしょう。そう思うと影響力とか加味すると危険性を謳いたくなるのもわかる。
これがちっちゃい大会なら「あーあ、ワルがなんかやってるよ」で済まされる話だがそうもいかなくなってくる。
あの、Zeebraさんがこの大会のトップ。それは大きな意味を持つであろう。
まだ炎上後のZeebraからのコメントはないが、このまま「これがクールなんだよ」でいくか、それともなにか対策か弁明はするのかが注目されるところである。

HIP-HOPという文化

HIP-HOPという文化はある種マイノリティー文化だった。黒人発のコミュニティから始まったわけで。
ラップバトルというのはそのコミュニティがコミュニティ同士で「俺らのほうがイケてるぜ」という競り合いが始まりだったはず。
その文脈を考えると"喧嘩"に発展する(というか元々は喧嘩だった可能性すらある)のは不自然ではない。
が、現代のエンターテイメントの話である今は。
根幹の文化をそのまま維持するべきというのが主流ならば、ロックミュージシャンは政党の歌しか書いちゃいけないし、ブルースは奴隷がやるべき。
しかしそうじゃない。文化は定着し、エンターテイメントとして消費されつつも高みを目指し、1つ上の段階へ進める。喧嘩が発端だから、誰かを傷つけても文化を衰退させても、なりふり構わず現代でも暴力を振るっていいという理由にはならない。

やはり「ワル」の匂いが消しきれないHIP-HOP。
歌唱法としての「ラップ」も誤解されてきた過去もあるだろう。
俺も個人的に、父親にラップをめちゃくちゃサゲられるからマジで最悪だと思っていた。「喋ってるだけじゃん」って、は?なめんな?
もちろん狭いコミュニティだったからこそ育った技術、ムーブメントがあるのは理解できる。
ワルだからこそクールな部分もある。
しかし、それで育たなかった、損をした人も数多くいるだろう。
そこを挽回しようと、ちゃんと音楽として文化を定着させようとした人も多くいるはずだ。
その努力が塵になるようなことはあってはならない、と確かに思う。

これでこそHIP-HOPなのか、これでこそラップバトルなのか。

散々高説垂れてきたが、ここは正直わからない。
俺は歌唱法としてのラップから、リリックの上手さにハマっていった人間であり、スタンスやビジュアルに惚れ込んでハマったわけではない。
なんなら最初ニコラップにハマったのは「ラップが好きだけど、ブリンブリンつけてる人が苦手だった」というのが理由にある。
「ラップバトル」をしていなくても「HIP-HOP」だ、と主張されるならマジで言い返すことはない。

ただ、M-1でマヂカルラブリーが「漫才か漫才じゃないか論争」になったのとはわけが違うのではないかと思う。
マヂラブは"しゃべくり漫才"の形式をとってなく、ほぼ体術によるコントインで爆笑をとった。
そこを参考にするなら、ライムをビシバシ踏んでいくスタイルのR-指定、般若とは別に、ビシバシ韻を踏まなくても溢れるような語彙と勢いで客を湧かせて相手を落とすDOTAMAのようなスタイル、という感覚が近いと感じる。
決してマヂラブは実際に手を出してくすぐって笑いをとったわけではないし、相手を再起不能にさせるような圧を出して勝ったわけではない。

やはり音楽という体を成しているんだから、アートとして高みをゆく、自身の技術で、勝ち上がるような大会であるといいなと思う。
この記事を書いた以上、28日に出る動画は一見しておこう。

なにも知らねえやつが口出してくんじゃねえと言われるなら、口を閉じようと思う。俺はラッパーのライブには言ったことあるが、バトルの現場には行ったことがない。もしかしたらツイッターで批判してる人もこのような人ばかりなのかもしれない。
映像化されているようなバトルは少数で、実際は喧嘩上等なムーブメントなのかもしれない。

そうだと言うのなら、俺がマジの「お門違い」この記事は鼻くそ付けて捨てようと思う。
でも、殴るのだけは勘弁な。


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