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口を開けて餌を待つ雛鳥の末路は…

副業・ビジネスに精を出す皆さんこんにちは。びじーです。

たまには息抜きに小説を書いてみようと思いました。
さっと読める内容にしたつもりなので気分転換にご覧ください。

※この物語はフィクションです。実際の人物・団体等は存在しません
 あなたが何か似たものを感じたとしても、です。
 ご理解の上、お読みいただけますと幸いです。

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私はリサーチが好きだ。
何故なら自分は知らない事が多すぎると自覚しているから。

人生は知識ゲーで、知識を持っている人から階段を昇っていく。
今日もSNSでは高級ホテルだ美女を抱けただ夢が叶っただ…
他人が羨むようなキラキラした投稿が後を絶たない。

他人が良い思いをしている様などどうでもよい気がするが、
どうやら世間は自分の感覚以上に他人の成功を羨むらしい。

今の私にとって他人の煌びやかな成功より自分の将来をより良くする方が
ミッションとしては優先される。

だからその日も「怪しいな…」と感じながら、
敢えてその誘いに乗ってみた。まぁ、役立たずなら帰ればいい。

今金を稼いでいる奴らがどうやって”自称ビジネス”を成立させているのか
見届けてやろうじゃないかーーー。



私は名乗るとすれば嘘八郎。
本業+副業に忙しなく働くごく普通の会社員だ。

将来の独立、起業を目指し日々奮闘している。
この日記はフィクションだが、エンタメとして届けば嬉しい。


ことの発端はやはりリサーチから始まった。
物販を副業としていた駆け出しの私は、どんなジャンルも
「ひとまず試してみる」という精神でいた。

SNSを漁っていると、怪しい風貌ながら満面の笑みを浮かべたアイコンの
いかにも…な男が副業初心者があまり知らない情報を発信していた。
そこそこのフォロワーを抱えたいわゆるインフルエンサーだ。
コメントでその続きへと誘導している。

「実は知り合いの社長さんが物販無料セミナーをやります!
 商品の仕入れに関する有益なセミナーです!
 LINE登録者限定で招待しますのでご登録お願いします!」

怪しい…実に怪しい…。しかし今はリスクを承知でリサーチを優先する時期
私は捨て垢のLINEで仮名を使って登録をした。

幸いセミナーは私の本業の休みにも行われており無事登録できた。
というか、毎日セミナーやってないか⋯?

という訳で当日。
指定された雑居ビルに向かう。

エレベーターを上がり現地に着くと入口少し先の部屋で安物のパーカーを来た若い男が受付をしていた。
こいつはとても稼いでるようには見えない。

登録名を名乗る。
講師が準備中だから待機するよう指示がある。
そうこうしているうちに参加者とでかい机で部屋がぎゅうぎゅうに。段取りが悪い。

予定時間を30分ほど過ぎて
「準備が出来ました!奥の部屋へどうぞ!」
そう言って椅子が並んだ部屋に通された。

初めからこの部屋待機ではダメだったのだろうか?
講師役の社長が登場する。

そこからはお決まりの『私の事業は大変凄いセミナー』が始まった。
私達は壺でも売りつけられるのだろうか?

そして絶望的に話が面白くない。
「午前にやった時はもっと盛り上がっててさ~」口では何とでもいえる。
下手な芸人が前座で空回りしてる、あの会場の白々しい雰囲気⋯このままだと寝てしまう。早く本題に進まないものか。

そんな中、社長から問が放たれた。

「皆さん物販はやってますか?どういった販路をお持ちでしょうか?」
「今から私達が皆さんに紹介する商品はECサイト経由の方が有利です!」

どうやらECサイト販路
(Amazon、楽天、ヤフーショッピング等の出品アカウントを持っているか)
これがあるかないかで振り分けるらしい。

私は販路を持っていたが最初から首を突っ込むつもりがないのでフリマオークションのみと答えた。

「じゃあECサイト販路を持っている人は私!持ってない人は弟子のA君B君とチームを組んでください!」

ECサイト販路を持つ側は、イメージより若い学生のような子が多かった。
こういったのも時代が作った情報格差の賜物だろうか。

私のチームは私が最年少。
印象で申し訳無いが半数は物販未経験っぽいおじさま達だ。

私たちは弟子Bのチーム。
こういう場合の弟子は何故か師匠より対応がしっかりしている。
話がスムーズだ。師匠に弟子の爪垢を煎じて飲ませたい。

チームを組んでからは直接店舗に行こうという話になった。一チーム、講師①+参加者⑥程度。タクシーを捕まえて向かう。

到着した先は全国展開するディスカウントストア
『ドンドン!ドンキーコング』だった。
ここなら様々なジャンルの商品が仕入れられる。

まずは入口の目立つ商品棚。ここで弟子Bが言う。

「みなさん、この店で利益になりそうな商品はどこにありますか?」

皆が店先に並んだ商品にセール品があるんじゃないかと答える。
違います!!弟子Bは告げる。

「店先にあるものは売り込みたい商品で、流通も大量にある。もっと、私達が利益を取りやすいものがあります!行きましょう!」

向かった先はヘルスアンドビューティー商品売り場。ここでドンドン!のPOPの特徴を伝えてくる。このPOPはよい、このPOPはあまり安くない。

なかなか説明がしっかりしており、無料noteで配ったらウケが良さそうな内容だった。

その際、一人の冴えない年配者が突然かかってきた携帯で喋り出した。何考えてるんだ?

案の定その年配者はその場で退場を言い渡された。
ただ、その先を考えると、彼にはその方が幸せだったのかもしれない。

さて、へルビコーナーで店内POPのレクチャーを受けた我々は、さらに先の
『本題』話を持ち掛けられた。


「このドンドン!で売っている商品のなかで、私達が皆さんに卸せるアイテムがあります。」

「へルビ商品というものは、毎日使います。だからリピーターが圧倒的に多い。そしてドンドン!にもECサイトにもある!認知度も高い!」

「私たちは独自のルートで皆さんに卸す、皆さんはそれを売るだけで利益が出る仕組みなんです!」

なるほど…甘い誘いだ…しかし…

「我々もこのセミナーのために準備をしてパートナーを集めています。
ここから先をお聞きになりたい場合はセミナーの貸し部屋の支払いもありますので2000円いただいて先ほどセミナーがあった部屋へお越しください。
本格的な説明会を行います。」

私にはここで十分だった。丁重にお断りしてその場を後にする。
案件の個別仕入れ額も仕入れ規模も聞いていないが
「そういう集客方法がある」という現実を知れただけでミッションは果たされた。

「楽な稼ぎ方」は確かに紹介された。
だが、それが私の納得する稼ぎ方とはまた別の話だった。それだけだ。

6人中追い出された一人を除き参加者は5名。
そのうち3名は喜び勇んで「説明会」の会場に向かっていった…。



では、ここまでこのストーリーをみて下さった皆様には
ここで1分、いや、30秒でもよいので

「なぜ私がこの卸の話を乗らなかったのか」考えていただきたい。

考えてからこの先にお進みください。




それでは、答え合わせと行きましょう。
答えがあっていればお見事ですし、
答えが導けていなければ新しい学びになります。損することはありません。

まず、今回の話は物販の仕入れに関わる卸売の話です。
一見魅力的な提案です。
利益が出るなら商品をリサーチする手間が省けます。

しかし、それはあくまで卸と小売業者の関係に上下関係がない、
真っ当なビジネスパートナー同士の場合に限ります。

今回は入口が無料、私は凄い社長、卸を担当しますとのことで
これだけ蜘蛛の糸を張り巡らせるような組織が
「対等」を求めているとは到底思えなかった。

何故LINEからの招待限定なのか。
『無料だから登録してみよう』
『無料だから話を聞いてみよう』
という人がいるからです。

そして、内容もできるだけ表に出したくない事情があるのでしょう。
YouTubeやTwitterで広告を出した方が同じ事業をやりたい人には届きます。

わざわざSNSでインフルエンサーが人を集めるような
「バック」が存在するプロジェクト…。
そこから集めたい人材というのはだいたい予想ができます。

その人材とは「口を開けて餌を待つ雛鳥のような」自分で考えない人材。
人から教わったことを鵜吞みにし、試行錯誤まで頭が回らない人達です。

例えばECサイト経由(今回は仮にオアシスジャパンとします)
で1個1000円で売れる健康ドリンクがあったとします。
この仕入れ値~経費が600円、手数料送料で300円かかり
現時点で利益率が10%の100円残るとしましょう。

フリマサイトでも同様に送料220円手数料10%として利益80円。

この商品を1000個割り当てられ、毎月販売することができたら
オアシスジャパン利益10万円、フリマサイト利益8万円です。
(一例ですのでフリマで1000個発送とかあまり現実的ではありませんがこのまま進みます)

需要も十分ある商品だったのでこれを2か月目に倍の2000個仕入れたいと思いました。全て捌ければフリマでも月16万円の利益です。

では、この商品をそのまま2000個仕入れさせてくれるでしょうか?

物の価値というのは需要と供給で決まります。
いくら人気の商品といえど、今回のような間口の広い仕組みで
仕入れられる商品が飽和しない保証はありません。

ここからはすべて仮説ですが、ビジネスは表向きの数字が参考にならないなんてよくあります。自分で仮説を立てて動いていくものです。

今回の物販無料セミナーで1チーム3人が説明会に参加しました。
ほかのチームも同じ比率ですとセミナー1回で9人。
それが午前午後で2回あるので1日に18人集まります。

そして物販無料セミナーは毎日開催されている。
週5開催だとしても一か月で20日。18×20=360人です。

一ヵ月に360人×1000個が市場に解き放たれ、
全員が翌月には倍欲しいと求めて通ると72万個が販売されます。

日本の人口が一憶二千万人と言われています。
72万個が毎月販売される、しかもECサイトやフリマサイトを使わない販路でも販売されている商品…そんなもの供給が需要を超えてしまいそうです。

供給過多になった商品は「お得な販売元」から売れていきます。
ディスカウントストアは強力なライバルですよね。

売ることに焦ると値下げをして損切りをするしかなくなっていきます。
物販というのはキャッシュフロー(仕入れ➡販売➡現金化)の流れが
滞るとじわじわ真綿で首を絞めつけられてしまう。

値下げ合戦が始まったら利益率10%だった商品など吹っ飛びます。
あとは在庫を抱えて損切りを選択するだけです。

こうした供給過多リスクがある以上個人に卸せる数というものは
あまり多くならないし、希望数を仕入れるなど立場が弱いと不可能。

では、別の商品を卸す話であればどうでしょうか?

まず、駆け出しの小売事業者に利益率の高い商品を初手で回すことは考えにくいです。今回の商品も言わば釣り餌。良くてテスト目的でしょう。

利益率、回転率共に初めに紹介された商品以下のものと考えるのが妥当。
利益率5%の商品を掴んでも労働時間が増えるだけです。

さらに、継続して事業にするには落とし穴があって
卸側で卸価格をコントロールできる状況というものは

生殺与奪の権利を他人に握らせているようなものです。

卸価格を上げる言い訳も卸す品数を減らす言い訳もいくらでも用意できる。

例えば新型コロナ禍やウクライナ問題で原材料や人件費が高騰した…
そういう風に言われて卸価格を上げると言われたら反論できますか?

対して卸業者に目を向けましょう。
まず、考えることをしない小売事業者を捕まえることができれば
自分たちの販路がどんどん増えていきますよね。

そして相手は何も考えませんからね。
おススメ商品を伝えればそれも売ってくれるだろうし
理由を付ければ利益商品の卸す数を絞ることもできる。

流通バランスをコントロールしてある程度利益が継続的にもたらされる状態が続けばパートナーが増えて、自分たちの卸→小売りへの利益率はそのまま
事業を拡大できます。

こうした自分たちが圧倒的に有利なビジネスの環境が
「LINEから誘導した無料セミナー」という集客方法で集まるのであれば

ディスカウントストアのPOPの見方という多少のノウハウを渡しても
十分な効果があるわけです。有益情報を混ぜないと格上感出ませんしね。

こうして口を開けて餌を待つ、自分で考えない人間は
魅力的な餌をぶら下げてくる人間にいいように扱われます。

さて、このnoteをご覧のあなたのマインドは
口を開けて餌を待つ雛鳥になっていないでしょうか?

私がどうしてこの卸業者の誘いを断ったのか。
それはビジネスはある程度自分自身で意思決定をする余地を残して
試行錯誤の上に決定を積み重ねていくものだからです。

だからこそ、卸業者からの仕入れを否定するつもりはありませんが、
意思決定する余地すら無いような条件を掴んでしまうと
後戻りできない状況になってから後悔すると思います。

ビジネスを学んでいくと自動化とか、外注とか、
自分の手を離れる作業をいかに増やせるか、
そういう意識に興味が向きがちですけれども

その上でもいかなることにも仮説を立てて試行錯誤をする人でないと
サラリーマンとしていただく給料以上の規模でお金を稼ぐって
難しいと思うんですよね。

せっかく時間をかけてこの物語を読んでくださったわけですから、
この先も是非試行錯誤を繰り返してご自身のビジネスを続けてください。

私、八郎も本業+副業で忙しいのであまり頻繁に表には出ませんが
私の体験が誰かの役に立ちましたらまとめた甲斐があります。

LINE誘導というものは怖いですね。無料より高くつくものはありません…。
みなさんそうやって稼いでいるようで…

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…という小説を休日の気晴らしに書いてみました。
実際の人物、団体等には関係がありませんがドキッとした方もいたのでは?

LINEというのは今や日本人であればほぼ全員アクセスする、
言い換えればTwitterより大きなSNSアプリです。
しかも他SNSより個人間利用の色が強い。

ですので過去の成功者はLINEを使って自分のビジネスを
販売して成功してきた人が多い。当然ノウハウも世に溢れています。

ですが、LINEでビジネスをする人全てが誠実とは限らない。
「1:1で営業をかけられる」この状況をとことん自分有利に使う事業者がいてもおかしくはないですよね。

それだけLINEは身近だし、構築もしやすく他SNSとの相性もいい。
そして使い古されており、誠実なビジネスマンも詐欺師も同じように使います。そして、LINEの自動機能を使う=コストがかかる。

LINEの構築にはLステップというサービスが有名ですが、ご存じなければそのまま費用を調べてみてください。

LINE構築費用+無料で渡すノウハウ+場合によっては会場費など
これだけの準備をして、経費を使い、プロジェクトとしてLINEに誘導。
その裏には自分の商品や、有利な取引があって然るべきだと思いませんか?

それを理解した上で、踏みに行くのであればそれはそれでOKです。
話を聞いて自分でコントロールできる余地がありそうならそのまま話に乗っても良いでしょう。

ですが口を開けて待っていればお金が落ちてくることを自称するサービスは
あまり期待しない方が良いかと思います。

私たちがインターネットでビジネスを行う場合、大なり小なり
一人のビジネスマンとして数字や結果と向き合わなければなりません。

大変な道のりですが、仮説を立て試行錯誤して前に進むことができる。
自分が稼ぎ始めた副業を「ビジネス」として捉えられるとまた視野が広がって楽しくなってきます。

このnoteが副業・ビジネスを始めた人の気付きに繋がれば幸いですし、
エンタメとして面白かったとの声があればそれでも良いです。

引用ツイートやリプで感想をいただけるようであれば、
また八郎さんに出張ってもらうかもしれません。

私も反響がある企画はやっていくし、反響の無い企画は収めていきます。
優先順を立てるためにも試行錯誤は必要ですので。

今回はセールスも用意しておりません。本当にエンタメ。
遠回りだと感じられた方が多かったらストレートな記事を増やしますね。

それでは、次の記事で。

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