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物書庵初心週記帖(29号)「潮目が変わる時」

9月も中頃に入って、ようやく過ごしやすい日が続いている。災害列島・日本。今年の夏を振り返ると、ついに夏の暑さまでもが人命に関わるレベルとなってしまった。台風9号、10号は主に九州地方に大雨をもたらした。これからは台風シーズンにインフルエンザ、コロナとより一層予防や対策が難しい状況となってくる。せめて、日中の蝉から主役が移りつつある夜の虫の鳴き声に耳を傾けながら、心穏やかに秋の夜長と旬の味覚を満喫していきたいと思う。

自民党総裁選挙は前評判通り菅義偉氏の圧勝で幕を閉じた。今回注目されたのは実質2位争いであったが、岸田氏がその座に落ち着き、次期総裁選挙への挑戦権をなんとか手中に収めた。石破下ろしで岸田氏に票が流れたという話も聴こえてくるが、石破氏の国会議員からの人気の無さは相変わらず。離党して再起を図るのか、はたまた党に残って違う形でリベンジを狙うのか…。

菅内閣の目玉は河野、平井両大臣である事は既に様々論じられており、愚庵としても期待をしたいと思っている。が、注文をつけるとすれば、このタイミングでも女性閣僚の入閣が少なかった点だろうか。女性活躍担当大臣を1人配置するよりも、女性閣僚を増やす方が何倍も効果的だと思うのだが…。長期政権を見据えているのであれば、今後の組閣における女性閣僚比率は注視していきたい。

菅内閣の今後の行く末として、国内外それぞれ注目したい点をあげてみたい。

外交においては各所で報じられている通り菅氏のアキレス腱だ。実直な印象の菅氏であるが、外交にはしたたかさ、ずるがしこさも必要であろう。利害が渦巻く諸外国のトップは、このタイミングを好機と見ているはずだ。まずは大統領選挙を控える米国との関係構築かわ第一関門となるのだろうが、このクニのグローバル下における存在感の浮沈は菅氏の生命線となり得るだろう。

国内では菅氏も声高に訴えているデジタル化をどこまで推進出来るかであろう。具体例として役所手続きを挙げていたが、本丸は選挙のデジタル化ではないだろうか。国会議員からの反対も凄まじいであろうが、本気で前例主義を打破するつもりであれば、オンライン投票を進めて投票率を上げる事で民意がより反映される環境を整えてもらいたい。これが出来なければ新しくデジタル関連の省庁を作ったところで既得権益が生まれるだけである。まずは、来年の秋に控えている衆議院議員選挙にどれだけのオンライン化が進める事が出来ているかで本気度を図りたい。

良くも悪くも組織のトップが変われば、潮目も変わる。非世襲、脱派閥という経歴を総理大臣というクニの舵取りにも活かせるのか、期待も込めながら厳しい目で見ていこうと思う。

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