記録として「一過性全健忘」について

…その時だけの記憶が、ない。思い出せない。
長くて数時間から半日程度、やったことを思い出せない。「今日、何したっけ」「今日何日⁇」と繰り返し周りの者に聞くが、すぐまたループするように同じことを聞き返す。

…その間、まるで「夢の中」のよう…
周りの風景が、暗くて狭い。
断片的にしか、その間覚えていない。

…ここからは、当日講義をおさめた映像や道場生とのLINEのやり取りや聞き取りでわかったことを時系列に並べてみるが、その殆どは、記憶にない。

連休中はじめ、自分の道場に上級者を集めて上級型の指導と講義。
午後までに道場に行く…途中、参加者のために買物をして…。
上級型の稽古、それから補強鍛錬、お終いに組手と、いつもの流れで合同稽古は、終わった。

私と話を交わしたものの中に少し変だと感じた者も、少なくなかった。
わかりきってることを尋ねてくる。
「今日、何日だっけ⁉︎」
「連休入った⁉︎」
「稽古は延べどれくらいやった⁉︎」

ただ質問や挨拶に関しては、何の滞りもなく応えていたようだ。

6時過ぎ、残っていた道場生が、帰る。
事務所にいた自分に挨拶をし、たわいない雑談を交わし…。

そのあと、道場の鍵を閉めクルマで帰宅しているのだが…ここら辺は全く覚えていない。
症状が、強く出ていた頃のようだ。

帰宅したと思ったら、以前住んでいたアパートに帰っていた!
当然カギは、開かない。
妻と娘に交互に電話してる。

駐車場で妻が、迎えに来てくれ、その後をついて行くが、その間のことは覚えていない。
帰宅し駐車スペースに曲がりもなく停めているから、その時々の判断力等は、あることがわかる

妻と娘に何度も同じことを繰り返し尋ねていたようだが、本人そんな感覚はない。

当然のように食欲は、全くなく、すぐに横になるが、その後も関係者数名に何度も電話や連絡をとっていた…。

不安に駆られながら、まるで夢の中のようだと自問自答しながら、自分の名前や家族の名前、住所を思い出すが、何も変わることなく思い出せる…ただ今日という日が、曖昧であり、記憶そのものが、定かではないのが、その数時間後理解し始めた。

…明けて次の日、あまり熟睡はできなかったが、どうやら戻った。
だが、昨日の記憶が、曖昧…。

昨日、何度も電話をしてくる自分に娘は、戸惑いながらも、一緒にいた友達に相談したらしい。
その友達のお母さんが看護師さんで同じような症状の方を知っていたらしく対処法を伝えてくれていた。

一過性全健忘という病で、何の前触れもなく突然、ある一定時間の記憶をなくす。記憶出来なくなるが、最高24時間程度で元に戻る。
後遺症も何もなく、再発のおそれも、少ないとのこと。五十代から八十代くらい男女比はなく10万人に2、3人罹患することが知られているが、原因は不明…。
一時記憶に対応している海馬が、何かしらの原因でショートするということだが…。
よく酒を飲みすぎ、昨日の事を覚えていないというのに似ているようだが…。

それから一週間、毎日を簡単な日記を書き留めている。また何かしらあった時のために…

ただ2日目以降、それまでより何かリセットされたかのように頭の中が、クリアな気がする。

他の病気が、混在しているかもしれないのでMRIを受診し今は結果待ちだが、いつも通りに過ごせている。

何にせよ突然のことだったので、周りの者達に迷惑をかけたこと。
そして何より慌てず正しく対応してくれた家人や周りの者に感謝しかない。

これが何かの役に立てばと思い,書き残すことといたました。

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