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伝説のサンドイッチ『喫茶アメリカン』(その1)~おいしいだけでは人は集まらない~

歌舞伎座の近くにありながら、長く閑古鳥が鳴く日々が続いたとされる『喫茶アメリカン』。なぜ今では、有名なサンドイッチ専門店となったのか?人を引き付けるときに必要な情緒的価値(体験価値)とは何か?喫茶アメリカンをこよなく愛するTさんに、その秘密を語って頂きました。

1 喫茶アメリカンとは?~営業時間が短く、普段入れない喫茶店~

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この喫茶アメリカンは1983年創業。場所は東銀座の歌舞伎座の近くにあるお店です。いわゆる典型的な街の喫茶店です。

ところが今ではすっかり有名店でサンドイッチ専門店と言うことになっている。美味しくて、印象に残るサンドイッチなんです。インターネットなどで検索すると、店主自ら伝説のサンドイッチを目指すと宣言しているようですね。

ただ、営業時間が短くて(笑)。平日は、14時頃には閉まってしまうし、土日祝日はお休み。平日も、パンがなくなったら、それまでに終了してしまう。

2 逆転の発想から生まれたサンドイッチ~工場直送。そのままスライスできないから薄切りを諦めた~

サンドイッチの歴史を振り返ると18世紀イギリスのサンドイッチ伯爵に端を発すると言われています。

ギャンブル好きだった彼は片手で食事が出来るようにと言うことで料理をパンに挟んで食べたものを好んで食べたことから、そのスタイルが有名になって彼の名をとってサンドイッチと呼ばれるようになったと伝えられています。

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サンドイッチはこのような感じでです。一人前で約一斤はあろうかという食パンの量が特徴です。従来のサンドイッチの概念を全く覆したような立方体のサンドイッチ!その辺がアメリカンと言う名前をつけた由来かなと思いきや、実際は違うらしいのですが笑。

その厚みに加えてボリュームたっぷりの具材!この写真は看板商品のタマゴサンドです。タマゴは、歯ごたえを出すために、あえて固ゆでにし、冷蔵庫に一晩寝かせてからスライサーでざっくりカット。味付けはマヨネーズのみという潔さで、「濃厚な黄身の味」に感動するファンが多いです。

そもそも、これほどまで厚いのは焼きたての食パン工場からそのまま輸送されているからなんです。

通常、工場で焼き上がった食パンと言うのはいちど休ませてから、熱をとって店頭に並ぶわけですけれども、ここのお店っていうのは焼き上がったものすぐ使ってるんですよね。だからふわふわ。そして、水分が蒸発していないためもっちりした食感が特徴です。

ただし、逆に切りにくいわけなんです。そのままスライスできないから薄切りを諦めたと言う、逆転の発想からこのサンドイッチが生まれたと言われています。

このボリュームがあっても食べ切れてしまうというのはそのおいしさだと思うんですよね。

3 閑古鳥が鳴いていた日々からの復活劇~ピンチはチャンス!~

しかし、始めからこの大きいサンドイッチが特徴の店だったわけではないんですよね。

歌舞伎座の裏の喫茶店として創業したんですが、マスターはアメリカへの憧れがあったのでアメリカの風を感じるメニューとしてこのサンドイッチをメインにしたわけです。

創業時はバブル期の恩恵があったと、言われていますが、歌舞伎座の近くにありながら長く閑古鳥が鳴いていた日々が多かったらしいんです。

歌舞伎座がリニューアルされた時期があって工事が入ったらしいんですよね。3年間くらい。当然歌舞伎座に来るお客さんをメインにしたわけなので、その工事のせいでこのお店にとっては困ったことになりました。

ただ、工事業者であれば、この分厚いサンドイッチを食べてくれるだろうと発想を変えた。そこからが復活劇の始まりだったというのが事実と言われています。

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(続く)





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