アメリカ版桃太郎①

昔々ネヴァダ州の荒野の果てに、おじいさんとおばあさんが丸太小屋で暮らしていました。

ある日、おじいさんはHARLEY DAVIDSONに跨りユッカマウンテン麓のアメリカンフットボール場へ芝刈りに、おばあさんはコロラド川へGM車を駆り大型コインランドリーへ洗濯に行きました。

おばあさんが洗濯をしていると、ランドリーから何やら異音がしてきます。
 「Shxt!!! とんだポンコツね…ジジイの脳天でも詰まったのかしら」 等とアメリカンジョークをツイートし(つぶやき)ながら中を確認してみました。
すると、リア=ディゾンのヒップもといビッグピーチがどんぶらこ、どんぶらこと、たゆとうておりました。
 「Asshxxe!!!!! 洗濯物がジジイの歯並びみたくグチャグチャじゃない!!!」 等と悪態をつきながら、そのビッグピーチを乱雑に鷲掴みしました。

するとたちどころに、ビッグピーチの中から『シックス・センス』のコール少年のような、金髪碧眼の物憂げな少年が姿を現しました。

おばあさんは、ケネディ大統領がアイルランド系だと知った時ぐらい大変に驚きましたが、最新の遺伝子工学に基づいた不妊治療も虚しく子宝に恵まれていなかったので、この少年を家へ連れて帰ることにしました。

「州立裁判所に訴える」と泣き叫ぶ少年を何とかなだめすかしながら、ようやく家までふたりで辿り着きました。

ほどなくしておじいさんが、HARLEY DAVIDSON特有のビッグツインエンジンの鼓動感に身をしならせながら帰って来ました。
おじいさんもおばあさんと同様、子どもを欲していたものの、長年の投薬治療虚しくEDに悩まされてきたので、どのような形であれベビーを授かることが出来て大層喜びました。

桃から出現したこの少年を、ふたりはピーチ=ジョンと名付け、大切に育てていくことにしました。

月日は流れ、10年が経ちました。
ピーチ=ジョンは立派に成長し、ハイスクールでは、どの分野でも優秀な成績を修めました。
今日はそんなジョンが、主席としてむかえる卒業式の日です。
大学ではコンピューターサイエンスを専攻し、ゆくゆくはIBMのような大企業からヘッドハンティングされるような人材に…。おじいさんとおばあさんの期待も高まるばかりでした。

しかし、卒業式を終えて帰宅したピーチ=ジョンの口を突いて出たのは、ふたりにとって信じられない言葉でした。

To be continued......

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