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食事制限について、当事者から聞いてみた。

はじめに
食事制限を余儀なくされることは、年齢を重ねていくと様々な理由で起きやすくなる。
しかし、多くの場合、これが守れなくなる。
問題は食事制限という言葉とそれによって我慢を強いられているという感覚に陥るからだ。
そこで今回は、知り合いの実践している当事者との話を聞いて、食事制限を厳守していくために重要だということを整理してみた。
その人は、ある内臓の病気になり、あと5年程度の余命だと医師に言われ続けていたが、徹底した食事制限の自己管理によって、現在8年目を越えて生きており、検査データ上もけしてよくはなってないが、悪化もしていない。
稀な例かもしれないが、その食事内容はともかく、食事制限の守り方としては参考になるのではないだろうか。

1.徹底的な調査


まずは実行する前にかなりしっかりとした調査が必要だと言うこと。これがその後のあらゆる食生活の基本となるからだ。
めんどくさいと逃げないで、病気の悪化による苦しみやその終わりにある死にあがなうことも、こうした努力におけるあらゆることが源となる。

①よく食べるものと材料ごとの一般的な栄養素量を綿密に調べる
 カロリーSlimというサイトは参考になる。また調味料も調べておくことが
 重要である。
②よく食べるものの一般的な材料や全体量を調べる 
③よく食べるものを一般的な作り方で作る
④よく食べるものの、一般的ではなく、よく食べるところのものやその料理者独自の材料や提供される量を調べる
 全体量は、小型の計測器を持参して、食べる前の皿を含めた総量の重量と
 食べ終わったときの重量を測る努力もしたらしい。その差が食べ物だけの
 量となるからだ。
⑤④と②の栄養素量の差を計算して割り出すとともに味の違いを舌に叩き込む
⑥医師等から言われた栄養素量を元に、食べられる量(外食なら食事可能な量の割合)と、それだと足らない栄養素の量を割り出す
⑦足りないものだけを埋め合わせるものを探しその分量を出す
 大抵の場合、脂肪量やたんぱく質量か塩分量が限界点を作ることになる。

ちなみに、脂肪が限界点になったときは、足りないものはたんぱく質と炭水化物になるので、これは米を増やし、たんぱく質量の上限が来たら春雨で炭水化物のみを増やすことができる。また脂肪分の増加にはラー油やごま油、塩分の増加には塩が使える。

栄養素の量や足らないものの量はその日の他の食事でも調整できるので、一日分の総合計として計算することが大事。つまりこれを逆の見方をすると、三食を予め均等にしておくことで、今日はこれが食べたいので、他の機会の栄養素を減らすという考え方を取り入れることができる。ただし、一食に量を集中してしまうことで、他の機会は一口も食べられなくなることや、あるいはとてもじゃないが食事にならない量になってしまうこともあり、それは、瞬発的な運動の能力や安定的な生命維持活動する体の機能保持のために避けなくてはならない。このへんの調整がミソとなる。

また一食でも毎日パンを食べる人は、その生活を止めるべきである。
加工パンを含めて、あらゆるパンの存在は、小麦加工食品で、かつ食事全体に塩やリンの量を多く求めてしまう傾向があり、その結果、何を食べても味気なく感じてしまうからだ。

パンを食べる習慣は無くすことから始めることが重要である。

※小麦加工食品問題
 野菜のたんぱく質は動物のたんばく質よりも、摂取量に比べて体内に吸収
 される量は少ないといわれている。しかし、新陳代謝(排泄)等のために
 は、多少は必要な効果とも言える。パンやパスタ、麺ものに多く使われる
 小麦は、吸収されないたんぱく質量は多く、必要とされる体内吸収以外で
 の効果も乏しく、あまり食事制限後は利用頻度を少なくするように言われ
 ることが多く、またその量を計算するにも、小麦に含まれるたんぱく質を
 構成するアミノ酸が地域や品種で異なることもあり、一概に何が良くて何
 が悪いかを導けない食品も多い。これが小麦加工食品問題である。
 全く食べるなとは言わないが、小麦加工食品は極力控えることを考えたほ
 うが良い。
 また、加工段階で塩分を多く使っているために、小麦加工食品の塩分量は
 大きいので、特に乾麺には注意が必要。

2.綿密な計画を作る


次に調査に基づいて、数字的な根拠に基づいた実行性のある計画を立てることが大切である。
一方でやれそうにない計画は立てるべきではないと助言する人も多いと思うが、そんな事による心のゆらぎを病魔は狙っていると考えよう。
1.での調査を元にしている計画ならば、けして「無理」をしている計画にならないことを信じてくれとしか言えない。

①基本的なことしかないという前提で、二週間の総メニューを決める。
②①を繰り返してひと月のメニューを作る
③②の表からその月に必要な「自炊分」の材料を割り出す。
④③から、一日ごとに使用する食材を割り出し、その合計から、ひと月分をまとめて購入すると考え、一日分ずつに分けた場合の保存方法と保存場所を考える
⑤保存がひと月もたないものや、ひと月分だと保存場所が足らないものを割り出し、保存限界まで使った場合に、あとどれぐらい及び何回補充しなくてはならないか割り出す
⑥メニュー表の横に⑤の材料補充スケジュールと補充量を書き込む
⑦最初に購入する食材を買う

ちなみに、肉類は細かく裁断されているものほど小分けしやすく、大きい塊を手に入れると、小分けした際の一つ一つの量の誤差が大きくなる。一番調整しやすいのはひき肉であり、料理全体にひき肉を使う事を検討しておくと良い。

食材量を割り出すにあたり、野菜等の不要部分を計算しなければならない。様々な資料やサイトで「可食分」の量と記載されていることが多いので必ず引用する。また、野菜は、現物は個別に微妙に量が違い、重さが異なるので資料やサイトにある一般的なものの重さを基準にすると良い。そして一日別に小分けした際に改めて調べ、都度補充スケジュールを調整する。

また、現物の卵を測るときは割ってない状態で調べるため、割ってない卵の数✕平均4〜5グラムを殻の重さとして差し引くことが大切である。ちなみに卵は1パックごとにSSなら52g(可食分48g)〜54g、Sなら54〜64g、Mなら62g〜68gと決まっているので、SSは54g、Sは64g、Mは68gで基準を計算しておくとあとから調整しやすい。

玉ねぎははまるまる一個を一日に使う単位にしておくと便利である。何グラムかという単位で少量を切り取るのは素人にはなかなか難しいからだ。また、玉ねぎは、切ってから小分けするには、使う機会が多く、その分保存場所を多くとってしまい、他の物が保存できなくなる。

一方、やはり使用頻度の高いじゃがいもやニンジンやじゃがいもは、個体差がかなり大きいので、使う単位を量のままにしておき、まるごと一個で保存しておくものを、じゃがいもなら8割、にんじんなら一番大きなもの一本を除いた全てとして、じゃがいもの残りの2割またはにんじんの残した一本は量調整用に切って、容器などに蓋をして冷蔵庫で保管するといい。ただし、カットしたじゃがいもは約一週間、カットしたにんじんは4日程度しか保存がきかないということを計算しておく必要がある。

ただ追記として、月に一〜ニ回程度なら好きなものをしっかり食べてもいいと言っておく。
それぐらいならば、大きく数値に影響はしない。ただし、検査前一週間は数値に出てしまうことも覚えておくこと。だが、この日だけ、好きなものを食べるんだと決めておく事で、心の中の窮屈感が晴れるし、それまでの一ヶ月間の頑張りのエネルギー源にもなる。人間の体は案外そんなに弱い物でもないのだ。また胃袋は食事制限に合わせて少し許容量が小さくなっているので、さほど思ったより食べられるものでもないし。

3.ご飯の少量炊きやその食べ方を研究する


ご飯は出来上がりの状態ではなく、米の状態の量で考えても、栄養素量に大差はない。
しかし、一人暮らしや夫婦二人程度だと、余ったご飯の処理でつい食事制限計画以上のご飯を食べてしまいがち。なので余ったら捨てる習慣を身につけ、同時に捨てるご飯の量を最小限にする工夫が必要となる。
その例をいくつか紹介する。

例① 100円均一などで販売されている「レンジで炊ける容器」を手に入れる。
 これは、割と一合を下回る量でも炊けることができ、準備も手軽である
 が、レンジの使い方や蒸らし時間を工夫する必要がある。また、保温機能
 は無いので、炊いたら他の保存容器に入れ替える必要はある。
 なお、レンジでの炊飯容器は様々なものがあり、中でも「ちびくろちゃ
 ん」という商品は当事者の彼は愛用している。なかなかおいしいご飯が炊
 けると言っていた。
例②市販されている最も小型の炊飯器を購入する。
 一般的には2合が限界なものは多いが、保温機能はある。
例③雑炊を多くし、白いご飯としてをたべる機会を減らす
 雑炊なら米からできるので、そのやり方を調べておく必要はあるが、ご飯
 量としての摂取量は調整しやすい

ご飯を炊く際に戻していない春雨を加えることで、かさ増しと炭水化物摂取量を調整できる。また基本は加水前の春雨に必要な水分量と米に必要な水分量を加えただけで炊くと、一方に水分が吸われてしまうので、同時に炊くときは、必要な水分量に100g程度多く水分を加えておく(やってみて炊き具合調整はすること)を検討しておく必要はある。特に多くの場合、春雨が吸ってしまうことが多いので、ご飯に芯が残りやすい。
また、食事制限の内容によっては、春雨が米の倍程度以上も入ることがあり、その場合は、食感に違和感も覚えるので、できる限り料理は丼もの化した方が良い。
春雨ご飯は炒めご飯には適さない事も覚悟する。

なお春雨ご飯の場合は、春雨は、水で戻した状態の栄養素量で計算し、そこから割り出した戻した春雨の総量を、戻していない場合の春雨の総量に変換する段取りが必要であるので、資料やサイトなどで戻していない春雨の何倍が戻した春雨の量に相当するか、予め調べておくことも大切である

4.一日ごとの調整


ひと月ごとの計画を建てたところで、現実の日ごとの食事には多少の差が出てしまう。残念なことに、多く場合、計画よりも過剰になってしまうことが多い。そのために、一日ごとに食材の増減を調整することは、食事制限においては、キモと言える。

特に玉ねぎや卵のような一日の使う単位がまるまる一個というものや、油類のように一度出したら元に戻せない形状の容器に入っているもの。こうしたものは、三食の他の機会で代替え品への転換や使用量の増減をすることになるため、一日の中での計画を調整することになる。

5.外食は目で量を測れ


基本的には食事制限を宣告された人は、自力では、1.の調査はできないので、最初は協力者が必要となる。協力者がいない場合は、最初のうちは外食を一切しないで、三食全てを自炊する。
今何一つ料理ができないならば、栄養素量や総量のはっきりとわかるレトルト食品を多用する。お湯によるインスタント食品は、あまり細かく開示していないものが多いので、開示されているものだけを使用する。

その上で、量感を目でだいたいわかるようになるまで慣れることが大切である。一般的な外食メニューの栄養内容や量は資料やサイトに掲載されているが、各店ごとの差が大きくあるため、参考にはなりにくい。それよりはこの方法で、総量や使われている食材の量などの違いから、掴んでいくほうがよい。
もちろん、目分量なので、実際とは異なるが、全体の摂取量を5%程度(実際の感覚で言えばあと食べられる量がラーメン用のレンゲ2杯程度だなと思うところ)で抑えておけば、だいたい近い数値となる。

なお、レストランのメニュー表や、袋やパッケージ等に記載のあるものは参考にしたほうが良い。(カリウムなどはない場合が多いので、他の栄養素の割合でだいたい想定すればいい)

また、残してしまうことや、それを残飯として捨てることを恐れてはならない。

食事制限を受けているという段階で、もはやフードロスは減らせないし、むしろ増やすことに余儀なくなっているので、仕方ないと決めておくことが大切である。無論ビーガンにはなれないと覚悟せよ。
作ってくれた店員さんや店主に申し訳ないのも、仕方ないことなのである。あえて言えば、残した理由を聞かれたら、正直に食事制限を受けていると説明することが大切になる。そして食事制限を受けている中でもなんとか無理に食べたかった事も同時に伝えたほうが、好印象を相手に与えることになることも覚えておきたい。

6.食事への興味を捨てる


今まで書いてきたことをやっても、食事は乏しくなる。これは必至である。
栄養素量を上手に得る工夫や商品情報は必要だが、それ以外の食に対する興味は一切なくす必要がある。

手間を簡略化してくれる工夫もある。例えばマヨネーズを焼き物や炒め物の油として使うことで、他の塩分の使用を抑えられる。マヨネーズには塩や僅かなたんぱく質がうまみ成分として入っているからだ。
コンソメや中華スープの素などの出汁の素も、あまり使わないほうがいい場合が多い。塩分が多く使われているからだ。

また、同じメニューが2日や3日続くことに慣れるといい。そうすれば作る手間は簡略化できる。実は味噌汁やカレーなど一杯の為に作る方が大変お金がかかる場合や捨てる結果が多くなることは多い。大量に作っておいて凍らせて保存することなども工夫の一つである。

興味を持つ方向性とも言えるが、新商品や話題のと言われれば食べたくなるのが人のサガなのだが、食事制限は、そのサガとは別の道を歩きなさいと言われているようなもので、一つの修行とも言える。従ってなかなかの苦行であるが、工夫や知恵で楽しく歩く努力をしてほしい。

7.食事以外の興味を拡大する


食事しか興味がない人なら、入り口は映画鑑賞や読書をするということがオススメである。逆に、野球等、直接見に行くものは、外食と接する機会も多くなってしまうので、できれば家で画面越しに応援する方向に切り替えたい。
また夢中になりすぎることで、直接見に行きたいという感覚が強くなるので、そうならないように、夢中ではあってもどこか自制的でありたい。
更に、他の趣味も増やして、興味という脳みそをいっぱいにしていくことをオススメしたい。

食事を「エサ」と割り切れるようになってしまうことはとても大切で、エサは、他の趣味興味や仕事をする為のエネルギーを補給しているに過ぎないとなれば、世の中はけして暗く思えてこなくなる。
これは食事制限においては、最も難しいが、大事なことなのだと思われる。

8.最も考えてはいけないこと


食事制限の苦しみの中で思うことの最大の現象は、この食事制限を行うことが果たして人として幸せなのだろうかと感じてしまうことと言われる。
これには答えはない。

最も幸せなのは、食事制限による不自由感を打ち消す幸せに出会うことなのだが、人はなかなかそんな幸せに出会うことは少ない。
従って幸せ感を持つためにも、食事制限当事者は幸せになれるのかを考えてはならない。

が、人の頭はそう簡単にはいかない。
時間があれば、つい、考えてしまうものだ。
事態をわかっていない第三者や家族も、問いかけてくる。
答える必要はない。笑ってごまかせばいいのだ。

考えてしまう習慣を減らすためには、その時間を潰そうではないか。
その努力をしようではないか。

方法は様々にある。
①趣味・興味について、まだ手が届かないものの情報を探す
②今日の満足だったことを洗い出し、細かく思い出す
③なにか次のステップになることへの計画を具体的に作ってみる
④趣味・興味に関する専門の書物などに没頭する
⑤他人と話し、他人の悩み事にとことん付き合う(他人とは妻やパートナーを含む)
⑥寝てしまう
⑦今日あった物事を振り返り、日記としてまとめる
⑧新しいギャグを考える(実践は翌朝起きてから一番近くにいる人にだけやって見る程度にしておこう)
─などなど。

ちなみに私の知り合いの食事制限実践当事者は、週に一回だけ、ネット通販で、日頃は絶対に着ないような服を買って、私や何人かの友人に見せて、驚かせ、その瞬間をフィルム写真に撮り、月に一回、まとめてメルカリに出し、その金額を記録し、また、年に一回、撮りためた写真を現像に出して、できた写真を切り抜きして、ノート大のフォトフレームに飾っている。

当初はバカバカしいと思ったが、実はそこにはこうした様々な背景があり、同時に人生の楽しみの記憶として生きるエネルギーになっていると最近は思うようになった。

この人は、自分の生活のことでいっぱいいっぱいだが、ポジティブにこなしていくうちに知らず知らずに周りの人も楽しい世界に巻き込んでいるのだ。

食事制限をきっちりと守るという苦行から、明るい世界へとつながったであろう。
この域に達すれば、苦行も快適になる。

最後に
食事制限は、作る段階から、味わう段階まで、本当に大変である。私の知り合いは淡々と簡単そうにこなしているが、今回紹介したこれらの状況や心境に到達するまでに、3年もかかったよと言っていた。しかし、そのおかげで家計には余裕ができ、私のような人にもったくさん出会い、死ぬときに、身も心も貧しいまま死ななくてよくなったとも言っていた。
けして医師や栄養指導士では教えてくれないノウハウなんだとも言っていた。工夫する楽しみやその苦しみからくる達成感も計り知れないとも言っていた。
知り合いの目はそう言いながら、らんらんと輝いていたことが、この記事を書いた、私の理由でもある。


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