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ダダダイアリー、主に映画。2024/2/16ー2/28

2月16日
ポレポレ東中野にて、青柳拓監督「フジヤマコットントン」鑑賞。
甲府盆地のど真ん中にある「みらいファーム」。幸せの糸を紡ぎ希望の種を蒔くそんな仕事に従事する人たちの緩やかな季節。
撮影者と対象者が横並びになって一丸となって作った様な一体感。
ニコラ・フィリベールへの呼応と植松死刑囚への返答とこの世界に対しての問いと願いが込められたドキュメンタリー。
上映後には青柳監督と村上浩康監督によるトーク付。富士山の捉え方や対象者との距離感。たつなりさんの失恋やけんちゃんの事、イオンに行ったらおおもりくんを皆んなが思い出す事など映画の余韻を全員で共有する様な素敵な時間となった。

青柳拓監督と村上浩康監督
青柳監督と

新宿に徒歩で移動。長年の知人が観たいと言うのでスマパス割引利用してTOHOシネマズ新宿にて、三宅唱監督「夜明けのすべて」2度目の鑑賞。
追い焚きのボタン、ラッキーアイテムは短い鉛筆など、本筋とは関係ない会話の細部にニヤつきHi'Specの音楽が沁みて、今日は夜空でも見上げて帰ろうと表に出たら「無料案内所」の看板が目に飛び込んで来て台無しになった。

帰宅後、アナザーストーリーズ「小澤征爾 悲願のタクト〜北京に流れたブラームス〜」録画鑑賞。
小澤征爾初の中国公演。世界のオザワはなぜ号泣したのか。中国への想い、音楽家との交流、その余波。征爾も素晴らしいけど父親も立派な方だったんだな。これは永久保存確定。

2月18日
東京都写真美術館にて開催中の恵比寿映像祭2024「月へ行く30の方法」へ。
毎年恒例の映像祭最終日に滑り込み。上映プログラム2本と展示作品を駆け足で鑑賞。毎年来てるからとりあえずって感じで散漫に過ごしてしまった。

新宿に移動。
JR新宿駅南口改札前で開催の「2・18ラファに手を出すな!全国連帯デモ」に参加。映像祭に集中出来なかったのはこのせい。イスラエルによるパレスチナへの虐殺行為に抗議する全国同時開催の大規模デモ。国道20号線挟んだ両側に物凄い人たちが集まって声を上げた。2000人位集まったとか。現場では冨永昌敬監督や俳優の柳英里紗にも遭遇。一刻も早い停戦を願いながら、終了時間オーバーしそうなので慌ててお台場に移動。

冨永昌敬監督と
柳英里紗さんと

ユナイテッドシネマアクアシティお台場で開催中の爆音映画祭にて、番場秀一監督「ミッシェル・ガン・エレファントTHEE MOVIE-LAST HEAVEN031011-」鑑賞。
彗星の様に現れて稲妻の様に去ったTMGEの轟音ラストライブを爆音で浴びる極上の追悼。最後は幕張メッセに居る気分になって呆然とした。なんも言えない位に最高だった。

2月19日
Eテレ「クラシック音楽館 追悼 マエストロ小澤征爾」録画鑑賞。
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートとズービン・メータとの競演の演奏の模様の再放送。
出たち振る舞い吸引力、もう完全にロックスターだよなぁと思った。メータとのやりとりとかミック・ジャガーとデヴィッド・ボウイかって感じでしびれた。

Eテレドキュランドへようこそ「SNSが作った"世論" #ジョニー・デップ裁判」録画鑑賞。
バカなマスキュリニストたちの被害妄想と頭のおかしいインセルたちの暗躍によるフェミニズムへの反動。SNSが如何にデマを作り事実を捻じ曲げるか。デップファンのクズぶり。これは何度も再放送して姑息なDV野郎ジョニー・デップの作品が今後上映出来ないようにして貰いたい。

夕方に歯医者に行って帰宅。

2月21日
高階匠監督「石川君、行け!!」録画鑑賞。
学生映画監督出身のサラリーマンが地方PR映画の制作を無理やり頼まれ引き受ける事になったが。映画制作の情熱と予測不能なサスペンスフルな展開とアクション。それらを一貫したほのぼのとしたムードで描いた秀作。sportsmen澤田栄一による音楽も良かった。

久々に池袋の生ドーナツ&セレクトショップ「OLD」へ。
目覚ましテレビなどで紹介されてすっかりブレイクして忙しそうなので天気の悪い平日を見計らって行ったら見事に裏メニューのランチゲット。食後のコーヒー飲みながら読書してたら、やっぱりって感じになってドーナツも追加して今日も満腹。
次回はチョコクロワッサンを食べようと誓う。
帰りに西武池袋の催事場で開催の骨董市の最終日に滑り込んで「愛のさざなみ」ゲットした。

現代思想2月号「特集パレスチナから問う100年の暴力を考える」読了。
金城美幸、早尾貴紀、林裕哲による討議に始まり、サラ・ロイはじめ22人の論客による責任ある言葉でそれぞれの視点から語られるパレスチナとイスラエル。そしてそれらが岡真理の小説として帰結する構成。読み応えあり読み易くもあり読んで良かった。

2月23日
にんげんドキュメント「さよならレザン〜盲導犬とテノール歌手〜」録画鑑賞。
全盲のテノール歌手・天野亨と5年間を共にした盲導犬のレザン。後ろ脚を痛めた為盲導犬として引退する事になったレザンと天野の最後の日々。「ステイ」の指示を無視して別れを惜しむレザンのつぶらな瞳に涙。

「ビー・マイ・ベイビー ロニー・スペクター自伝」読了。
キース・リチャーズの序文から始まるロニーの一代記。フィル・スペクターとの出逢いとロネッツの快進撃とフィルとの地獄の日々が当然メインとなるが、30代で懐メロ歌手扱いとなったその後の半生が更に激動で波乱に満ちて凄まじく、後半の怒涛の展開に引き込まれた。本当にチャーミングな唯一無二の歌手。これは早く映画化して欲しい。

ルネ・ラルー監督「時の支配者」録画鑑賞。
「ファンタスティック・プラネット」の監督らしいシュールな美意識と世界観が本作でも炸裂。惑星に取り残された少年を救出に行く話なのにやたら寄り道してのんびりしてるのがフランスっぽい。そして予想を超える超展開でポカンとさせて幕を閉じる。それでいてSFって本来そういうもんだよなぁと妙な安堵感に包まれる不思議な作品。

2月24日
栗原康「村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝」読了。
平易な言葉と砕けた文体に最初は戸惑うが、作者が野枝に同期しようと試みてる事が分かると俄然面白くなって一気に読めた。嵐の様に己を全開にして駆け抜けた短い半生。
今の世の中に足りないのは伊藤野枝だと言いたくなるブチ上がる一冊。

2月25日
目黒シネマにて開催のカルトガールズムービー特集にて3本鑑賞。

テリー・ツワイゴフ監督「ゴーストワールド」
私は人とは違うという自意識で何もかもを台無しにしてしまうソーラ・バーチのひとりよがりが最高。いいんだよ時には全てを壊してしまっても。リバイバル2回目だけどやっぱりサブキャラが皆んな光ってる。イリアナ・ダグラスは本当に良い。

ヴェラ・ヒティロバ監督「ひなぎく」
全編に溢れるアナーキズム。サラダを踏み躙られただけで激怒する社会や国家に対して、ポップにカラフルに中指を立てる。くだらないものはどんどん踏み潰してぶち壊してやれ。それも笑顔で。オシャレなフリしたパンクな2人の活躍にときめきまくる。リバイバル2回目なので途中でウトウトしたけど最高に変わりはなかったな。

中平康監督「月曜日のユカ」
ヌーベルバーグへの返答の様な作品。アンナ・カリーナがどうした。こっちには加賀まりこがいるぞ。ホテルニューグランドなど横浜のロケーションの素晴らしさ。黛敏郎のほんわかした音楽。そして尋常ではない可愛さの加賀まりこ。久々に観たらすっかり話の内容忘れてたので新鮮に楽しめた。本特集どれも大好きな作品で楽しめたけど、奔放な女の子たちの裏テーマとして張り付いてるキモいオジサン特集でもあったな。ホントおじさんてだけで既にキモい事を自覚。そっちの意味でも刺さりまくる3本だった。

2月27日
ル・シネマ渋谷宮下にて、ジュスティーヌ・トリエ監督「落下の解剖学」鑑賞。
山荘から転落死した夫。果たして自殺か他殺か事故なのか。事件の真相に迫る中で見えてくる人間の深淵。真実とは別のベクトルに向かい始めるサスペンスフルな展開。「少年と犬」というタイトルでも良かったのかと思う程な盲目の息子と介助犬スヌープの圧倒的な存在感。シンプルな設定でグイグイと引き込む演出。これは見応えあった。

続いてイメフォにて、タル・ベーラ監督「ヴェルクマイスターハーモニー4Kレストア版」鑑賞。
おっさんたちの惑星に迷い込んだ青年が見る悪夢の様なディストピア。サーカス団と共にやってきたクジラとプリンスによって長閑な街があっという間に殺戮の舞台となる。おっさんたちが回り出す幕開けに笑ったが、怒涛の展開の後半にはすっかり戦慄した。それにしても物凄い数のおっさんたちだった。おっさんが集うと碌な事ない。

それで直ぐ帰ろうと思ったが、まだ間に合うかもと思って慌てて引き返し霞ヶ関の防衛省前へ。UNRWAへの資金援助再開やイスラエルへの停戦の呼びかけなどを行うスタンディングデモに参加。後半30分位しか居なくホント寒かったけど行って良かった。

2月28日
映像の世紀バタフライエフェクト「CIA世界を変えた秘密工作」録画鑑賞。
ハンガリーやイランやチリなど自国の利益の為に介入しまくるアメリカ政府の汚れ仕事を引き受けてきたCIAの暗躍の数々。ホントに世界をダメにしてる要因の殆どはアメリカだよな。自国の差別や銃規制も解決出来ない国が他所に口出ししないで欲しいとつくづく思った。

佐久間裕美子「Weの市民革命」読了。
ニューヨーク在住の著者がコロナ禍のアメリカでの動向を中心に、企業や経済、ファッションや市民運動などの現在をレポートした一冊。革命は起きるのではない。起こすのだ。サスティナブルでオルタナティブなアクティビズムの実践。これは為になった。

新宿武蔵野館にて、侯孝賢監督「ミレニアムマンボ4Kレストア版」鑑賞。
ニューミレニアムで浮かれて騒いでいたあの娘はいったいどこに行ってしまったのだろう。いやどこにも行っていない。ただ歳を取っただけ。美しきスー・チーが台湾と日本を彷徨う追憶と倦怠の2001年。「憂鬱な楽園」に匹敵するベストオブ侯孝賢やっと観れた。


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