農村の都市化
ゴールデンウイークでもないが、ある日、暇つぶしを兼ねてある地方の農村町へ出かけた。洒落た名前の喫茶店があったので中に入り、それまた暇つぶしにある新聞の地方版をみた。その中に投書欄があり、読んでみると「養鶏業が成り立たなくなったとか、養豚がエサ代が高くて苦しい。それに公害問題も起きて後継ぎがいない」などなどの読者からの投書があった。
エサ代が高くなった・・は近年の物価高、株式市場の円高・円安情報からおよその察しがつく。だが、この町で「公害が問題になっている」とは一体どんなもんだだろう。
公害とは、都市部ではだいぶ前から騒音公害だとか、環境公害、などいろいろあるが、この静かな住宅街でどんな公害があるのだろう。
話を聞くと、農村への都市の進出だそうだ。
農村だから、鶏を飼ったり、牛・豚を飼うことに誰も文句を言わなかった。また野菜や農作物を作るからそれらを育てるための肥料つくりもする。これが農業というものだからだ。
ところが近年、その仕事に文句を言う者が出。「臭いとか、鶏の鳴き声がうるさい。道路をノロノロトラクターが走り、交通の邪魔」なとなどその声もだんだんと大きくなってきているそうだ。
この地方の農村民は、先祖伝来のこの土地で、先祖伝来の仕事をしているわけで、3、4年前から特別に臭いを出したり、鶏を飼い始めたわけではない。
後からきて文句を言う。そんなバカな話があるかと、高まる声を無視していたら裁判に持ち込まれ、まさかと思っていたら敗訴してしまった。との話も聞かれた。これは東京都小平市内で実際にあった話だが、この町でも起こりそうな話であることにぞっとした。
確かに散歩して近隣を歩くと、最近まで青々と野菜や稲が栽培されていた一等農地に、いつの間にか立派な住宅がずらりと立ち並び、住宅街に変身している光景はよく見る。
都市が農村に押し寄せていく、疑いもなく養豚家、養鶏業の規模は縮小か消えていく。それだけではない、農村の内部にも都市が生まれつつある。
こうした状態が続くと、どなた様がわたくしたちのいのちを繋ぐ食糧を作ってくれるのだろうか。農薬漬けされた海外品、農薬漬けされた輸入加工品?、末が怖くなりました。
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