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息抜きメイキング×2

這虫 
ぼくには皆目知り得たりはしないのだけれど、うぞうぞと湧く赤い実に好んで齧り付く奇特な御仁がちらほらとあるそんなことをしていれば必然、
客の他はとんと誰も近寄らなくなっていった。客といっても売り子の有様に気の配らない太客という、慣れ親しんだものだったのだが。気味悪がってくれでもすればまだしもの信用が置けたのだろうけども、客はそんな些事に見向きもしなかった。
とすると彼らの受容する獅子身中の虫はもしかすると、未熟なまま湧いてはやがてぴくりともしなくなる這虫とは全く違うものを飼い慣らしているのだろうか。そうして、例えば腹の足しにでもと上等な味に舌鼓を打つだとか。

思い切って口に放り込んでみた。薄皮を破った身が弾け、泥臭さが鼻の奥を目一杯に突き刺す。

不味かった。


manacle


↓メイキング動画(※リンク先BGMが出ます)

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