大怪獣イゲラ02

アナウンサーが座っている。


アナウンサー   怪獣ですか?ええ、初めてでした。怪獣なんて子どものころに見た「ゴジラvs…あれ?なんだっけ?ケ…?~~ラ。なんとかラなんですよ。最後はラなんですよ。なんだっけー?…あ!とにかく恐ろしかったです。なんというのでしょう。

(壮大なM入る)あれはきっと人類が自然に対して行ってきたことへの仕打ち。神

からの試練。ああ、神よ、私達が何をした!


そこにディレクター入ってくる。


D        カーッと!!

アナウンサー   あ、よかったですか?おつかれさまでした。

D        いいわけねえだろーー!!馬鹿じゃねえの、お前!最後の何だ?

アナウンサー   あ、私元演劇部だったんです。どうでした?

D        どうこうもねえよ。ぐだぐだやん。最初から最後までぐだぐだやん!

アナウンサー   そんなー。

D        カメラマン。お前も何音楽入れてんだ。キャメラに集中しろ。キャメラに!

カメラマン    すんません。

D        あのさー、女1ちゃんー。別に君は特別なことしなくていいの。ありのまま語ってくれればいいの。

アナウンサー   わかりました!

D        オッケー。じゃもう一回

アナウンサー   では…。いやー、まじビビりましたよ。怪獣とか初ですし。初怪獣みたいな。いやーあれですね。めっちゃでかかったです。

D        馬鹿―!(アナウンサーに暴力)

アナウンサー   なんで!?

D        軽いよ!きみ、アナウンサーの自覚ある?

アナウンサー   すいません…。でも、あの怪獣何もしなかったんですよ。こっちに向かって来てうがーって吠えて山に帰って行っただけ。今も長良川の真ん中で寝てるだけじゃないですか。

D       あのね事実なんてどうでもいいの。僕らエンターテイナーよ。辛く恐ろしい思いをした○○アナウンサー。それでも報道の為、視聴者の為に勇気を出して怪獣に立ち向かった○○アナウンサー!よ!日本一!…そういう画が僕は欲しいんだ

よ!

アナウンサー   はあ。

D        涙の一つも見せてよ。元演劇部だったんでしょ。ねえ?(カメラマンに)

カメラマン    はは。

アナウンサー   …元演劇部でも照明でしたから。

D        …なにその態度?ねえ。分かってる?このニュースはね。全国の人が注目してんだよ。

アナウンサー   はい。

D        君にじゃないよ。怪獣にだ。皆知りたがってるんだよ、あの怪獣の事を。

アナウンサー   ………。

D        君の仕事はあの怪獣をいかに引き立たせるか。オーケー?

アナウンサー   分かりました。

D        まあ、良かったじゃない。これで君も全国に顔が知れ渡るよ。うらやましい~!

アナウンサー   はは。

D        (携帯なる)はい、おつかれでーす。はいはい。はい?本当ですか?やりましたね~。分かりました。今から…30分で行きます。では。(電話切る)アナウンサーちゃん。

アナウンサー   はい?

D        怪獣特番!ゲストで~~~が来てくれるらしいよ。

アナウンサー   へー…。すごいですね。

D       あと、何か怪獣博士も来るらしいけど。まあそっちはいいや。細かい打ち合わせしてくるから。ちょっと行くね。役作りしておいてよ。あ、役者じゃなかったんだっけー(といいつつ去る)


ディレクター去る。


アナウンサー   はーい、頑張って―…。(客席に向かって)くっそーー。あのもじゃもじゃぁ!

カメラマン    まあまあ、落ち着いて。

アナウンサー   誰があの怪獣撮ってきたと思ってんだ――!!

カメラマン    撮ったのは僕です。

アナウンサー   怪獣なんてただのでっかいトカゲだろーー!!

カメラマン    まあ、そんな感じですよね。

アナウンサー   はあ…。なにやってんだろう私達。

カメラマン    仕事ですよ。仕事。

アナウンサー   クールだねぃ。君にはもっと野心とかないの?もっと特ダネを撮ってやるとか

カメラマン    いや~。今の仕事で結構満足ですよ、俺。

アナウンサー   はあ。草食だね。シマウマだね。

カメラマン    いいじゃないですか。

アナウンサー   彼女出来ないよ~。

カメラマン    しばらくはいいっす。アナウンサーさんはどうすか?

アナウンサー   え?

カメラマン    彼氏いるんすよね?

アナウンサー   ああ…。まあ、ぼちぼちよ。

カメラマン    ケンカっすか?

アナウンサー   それより!ねえ、私と組まない?

カメラマン    は?

アナウンサー   あのモジャプロデューサーに黙って、私達で勝手に映像作っちゃうの。ただのインタビューじゃ面白くないわよ。

カメラマン    …ジュース買ってきまーす。

アナウンサー   ちょっと!

カメラマン    俺は波風立たせたくないんです。


カメラマン去る。


アナウンサー   ちょっとーー。もう!どいつもこいつも!

女④(声)     ほーっほっほっほ。お怒りのようね、アナウンサーアナウンサー。

アナウンサー   え?


キャッツアイのテーマ。セクシーな衣装の女④が現れる。


女④       (無線機で)こちらエージェントキャッツ。潜入に成功したわ。

アナウンサー   …すいません。スタジオ間違えてますよー。

女④       あなたがアナウンサーね。

アナウンサー   聞けよ。

女④       昭和61年1月31日生まれの水がめ座、O型。好きな食べ物は吉野家の牛丼、嫌いな食べ物は松屋の牛丼。好きな戦国武将は平清盛。これ戦国武将じゃないわよ。

アナウンサー   なんでそこまで!きもっ!

女④       高校卒業後、専門学校で声優を目指すも夢半ばで断念。その後、岐阜放送でアナウンサーとして活躍。現在、会社で知り合った三つ上の男性と同棲中。うらやましい~。

アナウンサー   …あんた、本当なに?まじうっとうしいんだけど。

女④       アナウンサーさん~。あなたにはちょっと誘拐されてもらいます。

アナウンサー   は?


そでから覆面たちが出てくる。アナウンサーを捕まえる。


アナウンサー   ちょ、は?なに?離せ、離せーー!

女④       安心なさい。一人じゃ寂しいでしょうから。すぐに仲間を増やしてあげるわ。


女④去る。


この作家さんは秘密です!

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