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オータムクラシック2019雑感

 2019-2020シーズンが始まってしまったぜ!
 シーズンオフ中休まずお仕事をしてくれたせいか、あっという間に始まってしまった感のある新シーズン。
 毎度エンジンが温まってない感じでスタートするこの大会なので、別に失敗してもええんやで(何目線)という気持ちで見ているのだが、今季は公開練習という名の新プロお披露目会がなかったのでとてもムズムズした心持ちで始まった。と思いきやまさかのbioで発表という新しいスタイルである。

 正直どっちも持ち越しか〜などとガッカリしたものの、このプロをきっちり完成させたいんじゃいという鬼武者のコメントを聞くとそうかぁそうだよなぁと納得。結局昨シーズンは4回ほどしか滑れていないんだものね。リスペクトプロゆえに本人が満足するまで終われない感。しかもそのハードルがとてつもなく高そうである。(引退までずっとオリジンだったらどうしよう…)

 そうなると俄然注目したいのは新衣装だ。過去を振り返ればさほど大きな変更はないかなと予想しつつ無駄に期待が高まってしまう。
 色は大きく変えないだろうという予想はSPでは当たった。現地で見たフォロワーさんによるとめちゃくちゃ素晴らしかったらしいので、ライストで見るとちょっともっさりしてるかな〜という印象も変わるかもしれない。これからマイナーチェンジしていくだろうし。

 それにしても奥さん、FS新衣装である。
 まさかの紫。まさかのバラ。まさかのちょうちょ。
 華奢でありながら甘い曲線を描く魅惑のボディラインを際立たせるフィット感に大胆な胸の開き。
 スワンちゃんの大きく開いたデコルテには美しいデルタゾーン、素晴らしいトライアングル、清らかな三角州などと散々ハゲ散らかしたものだが、このオリジン様の魔性のミステリーサークルはそれと拮抗するほどの最高レベル。
 伊藤先生……匠……圧倒的感謝……。
 特に柳腰に咲いたバラは国が傾くどころか沈没してしまう罪深さ……そんなところに思わせぶりに咲きおって……蝶に誘われて辿り着き、その美しさに思わず摘み取ろうとしたら幻覚見せられて精気吸い取られて死ぬやつ……。

 ところで最高に最高のお衣装にお祭り騒ぎだった世界が一瞬で地獄絵図と化してしまった例のプロトコルですが、当然こちらも怒髪天でございました。
 え、足りてるやろ? 足りまくっとるやろ? 地球の果てまで足りぬいとるやろ?? ジャッジ機嫌悪い?? 草加せんべい食べる??
 と思いつつ私はスケオタではなく単なる羽生ファン。ファンだから足りていると思うのは当たり前。心のなかではあの衣装を見た時点ですでに銀河点を突破しております。
 私のファン目線で見た足りている根拠(と書いて愛情と読む)といえばこんなもの。
 ・いつも通り問題なく綺麗に降りているように見えた。
 ・これまでジャンプの正確さと美しさで多くのGOEを勝ち取ってきた。
 ・技術に絶対の自信がなければ選択し得ない黒のブレード(黒は銀よりエッジがより明確にわかってしまう)。
 ・それほど自他ともに認める正確な技術を持つ本人が降りたという感覚を持っている。
 ・可愛い! 美しい! カッコイイ! 存在自体が尊い!! 生きてるだけで偉い!! GOE1億点あげる!!!
 私よりよっぽど詳しいと思われる方々の意見を見ていても、まあ3つすべてをURと言っている人はいなかった。異なる見解が多くあったけれどそのくらいの曖昧さならば「疑わしきは選手の利益に」の原則に従うべきだった(それがこれまで適用されていたかは知らんけど)。そもそも同大会を通して見ていれば明らかに厳しいジャッジがなされていた。
 人が人を評価するのだから様々なバイアスが生じてしまうのは仕方がない。けれど3つものURをあの羽生結弦に下すのはちょっとやり過ぎた。何で「よっしゃ! 残りのクワド全部やったろ!」とか思ってしまったん? お陰で今に至るまでこの騒ぎだ。

 長らくフィギュアファンをやっておられた方々が「皆やられてきたこと」「これが普通」と言っているのをちらほら見る。疑わしいジャッジは多くの選手に長い間行われてきたのだろう。
 私は推しにハマる前は女子シングルを綺麗なものを見たいがために楽しんでいた程度なので、悪名高いフェアジャッジ運動とやらも知らないしそういった採点に関する論争も知らない。恐らくは海外の若いファンたちもそうだろう。
 なので、オータムでお揃いの黄色いバナーを掲げていた中国のお嬢さんがたにもあら可愛いとしか思わなかったし、リンクを黄色に染められない代わりに観客席を黄色く染めたかったのだろうと、その健気さを微笑ましく思っただけだった。
 過去の嫌な記憶のある方々は辛いことを思い出されたらしい。ジャッジにアピールするバナーというのは私も反対だが、単純にそれをやっても何の効果もなかったことがその過去の例でわかっているからというだけの理由だ。ジャッジがコールされたときだけ掲げようとのことだったが、多分ジャッジはバナーとか見てないし。
 このジャッジに対しバナーで主張しようという企画から、ファンの間でざわつきが強くなったように思う。フェアジャッジという名前だけで拒絶反応が起きてしまう人も多いだろうと思うけれど、かつてのそれとは同じものではない。推しに迷惑をかけてはいけない、他選手を貶めることはしてはいけないという動きも当然あり、それが大多数のように見える。

 主に海外の方々メインで今色々な活動が始まっている。関わっていないので詳しくは知らないけれど、私は純粋にその熱意をすごいと感じる。
 ネットの活動でどれだけの効果があるのか。勝算はあるのか。それで何かを変えられるのか。徒労に終わるのではないか。実際今までそうだった。
 そんなことを考える前にまずやってみなければ何も始まらないと積極的に動く彼らのバイタリティに圧倒されるし、自分の生活もある中でかなりの労力を割いて調査をしたりデータを作っているであろうその勢いに感心してしまう。
 SNSの使い方は人それぞれで、私は自分のアカウントを議論の場にしたくないのでこういったことは積極的に呟かない。
 けれど呟かなかっただけであの夜から丸一日は怒りに支配されたしほとんど何も手につかなかった。
 そんな怒りを持続していては生活が成り立たない。ものを生み出す仕事をしているのでメンタルが進捗を左右する。
 羽生くんは大好きで尊敬していて萌えまくっていてすでに生活の一部になっているが、私のすべてではない。趣味なのだ。彼は想像もつかない努力をしてスケートをしている。私はそれを見させてもらっているだけの観客。私は私の仕事をしなくてはいけない。
 だから私は、この怒りを忘れようと努めた。
 まだCSだ。初戦だ。こんな露骨なジャッジが続くかどうかはまだわからない。だから様子を見よう。そう自分に言い聞かせた。

 日本人は何もしない。彼がこんな目にあっているのに。
 そんな海外のファンの呟きを度々目にする。私に関して言えばその通りだ。
 魂が萎びているので効果があるとわかっていることでしか動けない。今まではファンが誤審だと騒いでも組織に何の変化もなかった。
 現在のこの件に関して批判している人も多い。賛同している人もいる。
 私はまだ判断できない。ファンが意見をし関わることでスポーツは発展していく、なぜ部外者だというのかという海外の声も見る。文化の違いという言葉で壁を作りたくないので色々見ていると何が正しいのかわからなくなってくる。
 多分正しいというものは存在しない。成功したものが「正しい」とされるからだ。まだ成功するかどうかわからないものは正しいか間違っているか誰にもわからない。達成された後に「あれは正しかった」と言われるのだから。
 ひとつの事実はこれが大きなムーブメントになっているということ。これが組織を動かす何かの助けになるだろうか。
 もしも次の大会で真っ当なジャッジが下されたとしたら、私はそれだけで彼らの活動の効果があったのではないかと思える。今度こそものすごい騒ぎになってしまうだろうからという抑止力が働いたんじゃないだろうかと。"the squeaky wheel gets the oil"だ。軋む車輪は油を差される。自己主張をすれば見返りがあるという、日本の『雄弁は銀沈黙は金』と対極の言葉。
 推しを想う気持ちはファンは皆同じだ。有効な方向性を探っていきたい。
 ああまた色々考えてしまった。来月のスケカナのためにも今は自分の生活を頑張ろう。
 とりあえずカメラを増やせよ。

 今日のところはここまで。