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日替わりくそデッキ部定食 ~ 魂のエルドラージエコー 彼らの灯をまだ消させはしない


前書きのような何か


みなさん、こんにちは!ぶんまるです。

先日はおうちでレガシー100回記念大会、とってもお疲れ様でした。普段はイベントの裏方でごそごそしている筆者も、今回意気揚々とお祝いに行かせてもらいました!イベント前も後も含めて、たくさんの方とお話出来まして、いやあ対戦も楽しかったですねえ。そして想定外の人数により急遽4回戦開催に。私は早寝さんなので、当初は途中で寝てしまおうかなという予定だったんですが…。結局普段より一つ多い、4回戦まで残っちゃいました。うーん、楽しかった!

100回記念に、相方から寄贈させてもらいました。改めておめでとう!!!


さてさて。ここからは大会前の話です。記念大会よーし参加だあ!とは言ったものの、果たしてどんなデッキを当日持って行こうか非常に悩んでおりました。折角のお祝いだし、何か面白い物を持って行きたいなあ、とか。一方で自分の好きなカードも使ってあげたい。あー何か考えないとなあ、ぐえー、と…。

そんなぶんまる氏の当時の再現という事で(?)どうでしょう、折角の試みじゃないですが、今回の記事では、私の頭の中の軌跡。ある一つのオリジナルデッキが出来上がるまでの物語。これをストーリー形式で追いかけてみようかと思うんです。

そう…そうなんですよ…。皆さんもデッキがどうやって誕生して、その物語を知った上でデッキ解説を読んでみる。とっても興味が湧きませんか?(あるのか??)私個人はこういった誕生秘話を聞くのがすごく大好きです。デッキの使い方はもちろんなのですが、そのデッキが出来るまでの行動や選択にも、必ず何か本人の好きな事や、理由のある道筋があるんですから。デッキ解説ってある意味、生まれた経緯を知ると見えてくるものでもあるんです。

それではちょっとずつ書いていってみましょう…。

爆誕:魂のエルドラージエコー


デッキ誕生秘話

それではそれでは…。

ーーー

二月の終わり頃。それは、おうちでレガシー99回翌日の日曜日でした。私は非常に焦っていました。

『えっ…来週ってもしかして、おうち100回記念…?お祝いに出たいけど、近頃全然紙触ってないからデッキが無い!!(驚愕)』

そうです。レガシーのデッキが無かったのです。いえもちろんあるにはあったのですよ、同月頭のプレイヤーズコンベンション横浜に参加した残骸。Willカスケードが書斎に、ぽつん、と置いてありました。

これはこれで大好きなデッキです。オラ、デッキ全体が歯車の様に動く物が好きなんだ!(自白)でも、このWillカスケードは、まさに一撃を決めに行くデッキ。一度鞘を抜くと、自分かお相手の方、いずれかが死ぬ。テレレレレーン…!

もうまさにこんなデッキ

折角記念大会に向け気合を入れて遊びに来た対面の方に、いきなり鞘を抜いて『お前か俺、今この瞬間で勝負を決める…!』とゲームを即終了させてしまうと、個人的にちょっと申し訳がありません。(そういうデッキを好きで使ってる方は良いんですよ!全然!!)そこで考えました。

『何かを 一からつくらないと なあ』
ぶんまを


その日は天気も穏やかな日曜日。実は金曜に仕事で飲みすぎていて、土曜は完全に死亡。ようやくベッドから抜け出して、リビングに座ってぼんやり考えます。

うーん、まずは今回のデッキとしての前提を決めよう。折角の記念だし、出来る事なら自分のマジック人生で思い出のカードを使いたいなあ。

そしてどうも今度の大会は、タイムラインを眺めていると、ちょっとデッキのパワー&カロリー高めの人も多そうだ。とりあえず(勝つと言うより)負けない様にしないと、思い出のカード出させてもらえるか分からん…。

ざっと頭の中で浮かんだ100回記念のデッキの切り込みは、それでした。これを両立させるとなると、まず『…(勝つと言うより)負けない様にしないと…』から順番に達成しないといけない訳です。今回の脳内お題が決まったですね。

この時ぶんまるには、直前のPC横浜での思い出が強烈に残っておりました。

豆デッキ強すぎて勝てん。と言うより、ゆるいデッキに対して容赦無さすぎませんわゾ…?

そうなんです。普段レガシーに存在する尖ったデッキたちは、同じように尖った対策をぶつければ、良く分からないけど位置エネルギーがぶつかり合って(?)何とかかんとかゲームに持って行ける可能性がありますが、昨今現れた豆デッキは違います。デッキがお太すぎて、一歩でものろりと歩くと圧殺されるのです。凄すぎるフェアデッキだ!重さ5gのちっぽけなぶんまるからしたら、まさに横綱と豆粒。(激ウマギャグ)

なので、今回の試みは、まず『豆デッキに土俵を何とか自分と合わせてもらおう』これを出発点に据えて考え始めました。補足すると私は世の中のあらゆるデッキを愛していますので、豆デッキも例に漏れず決して嫌いではありません。尊敬を持って、お相手に目線を下げてもらうのではなく、自分側からデッキの工夫で土俵を合わせる。これをスタートとしました。

まず、豆デッキの強み弱みをそれぞれ考える事から、始めます。豆にも様々な色の組み合わせがありますが、そんなに器用な事は出来ませんので、とりあえず一つ選んで、BUG豆について見つめてみる事に。なんか強い豆、色んな豆、ってゆかいな料理の話みたいだな…。強い豆って一体なんだろう…。

黒・青・緑。この三色で構成された豆デッキ。既にレガシーでとっても強そうな色…。なんと言っても豆デッキの強みは、途切れないドローと多様なピッチ&軽減スペルですよね。多分。I am おうちでエアプ勢。そうやってふと豆デッキの構造を考えていると、BUG豆、というより全般の豆デッキが、なんだか序盤の脅威への対処をピッチ打消しに強く依存している事に気付きました。これも多分。I am very ふんわり。デッキとしてはドローを強みとしていて、それを前提の構築、ピッチスペル、もっと言えばWillへの依存…。

ここでぶんまるは、無責任にひらめきます。

1~2t目に魂の洞窟から船殻破りをひり出したら凄い事になる…?

突然出てくる打ち消せない海賊、船側はたまったもんじゃないが?

脳内でほほ^~の"^"部分をやはり担当しながら、この動きが劇的に豆側の足を止める事になるのではと思い付き、とりあえず組み立てていく事に。あくまでもこの目的は豆側(もしくは重パワーデッキ)にゲームをしてもらう事。豆さん、どうか僕と付き合って下さい。

よーし、ひとまずデッキを担保するスタートは決まった。次はデッキの軸を決めるお気に入りのカードです。長年の思い出のカードやデッキたちに思いを馳せます。あんなデッキ作ってたなあ、あれ好きだった、あのカードも随分一緒に遊んだね、また使いたいなあ…。蘇る思い出の数々。まるで走馬灯の様に、思わず涙ぐむぶんまる。いやただの二日酔いだったかもしれん。そうして思い出に浸っていると、急にどこからともなく、声が聞こえてきました。

心の中のぶんキュア『ちょっと待ってぶんちゃん!そんなことより、去年四枚買ったこのバカ高いカード、一体いつになったら使うの?

昨年買った時相方から、減価償却するなら〇回大会出ろよって言われたカード

心の中のぶんキュア!そのカード、何か月も棚にしまいっぱなしだったからってそんなマジレスしないで!そうは言っても、ぶんちゃん急に思い付かないよ…!LEDと船殻破りを組み合わせるって言ったって、別に船殻エコーをそのままやりたい訳じゃ…。ええっと、何か他に墓地から使える組み合わせは…。ん…?

んん…??何かここにいるな…。

墓地から唱えると二枚戻せる、とってもすごいやつ

セヴィンの再利用くん!!!君はセヴィンの再利用くんじゃないか!!!最近再録されてお求めやすくなったセヴィンの再利用くん!!!一体今までどこで何をしていたんだい、いたならいるって声かけておくれよ。勝手にストレージに上がり込んだらダメじゃないか。え、何だって?古えの墳墓や裏切り者の都みたいな2マナ土地と組み合わせたら、LED起動で1tからフラッシュバックが打てる?君ね、そんな世迷言を言うんじゃ無いよ。みんなが勘違いしちゃうじゃん…。

ん?

ほんまじゃ。こいつ、1tからフラッシュバック打てちょる。

え?じゃあ、今日は先手1t目から3マナのパーマネントを二枚出しちょるで良いってこと?

その時ぶんまるに、電流走る

これつまり、船殻破りともう一枚好きに出しちょれるって事じゃん。

『マジックザギャザリングって すごい なあ』
ぶんまを

革命的すぎる。セヴィンの再利用、なんてすごいカードなんだ。大横綱豆青龍と闘う力を授けてくれる上に、もう一枚も出して良いなんて…!こんなのもう元の体に戻れなくなっちゃう。ぶんちゃん普通のデッキに戻れないよ、これじゃ社会復帰出来ない…!と…とりあえず、相方のカードを探そう。3マナ以下のパーマネントだよね。折角なら思い出の詰まったカードが良いな。ええっと。

多分こんな感じだった。もうリストすら残っていない、遠い思い出

うわー懐かしいなあ。自分がマジックを再開したきっかけのデッキだ。その前は、そもそも子供の頃に初代ラヴニカのセレズニアテーマデッキを買ったのがマジックとの出会いだっけ。それからずっとやってなくて、タルキール&ゼンディカーの頃にモダンに誘われて復帰したんだよな。大会に出るために、ショップ常連のお兄さんがオススメしてくれて、ちょっと安いカードに変えて、初めてシングル買って作ったデッキ、思い出の詰まったものだ。うっ涙腺が緩む…。

ここでエルドラージたちと出会い、大会にはほとんど出れなかったけど、家でデッキを考えては、友人の集まりに持って行っては遊んでいたなあ。変位エルドラージと相棒を組んで以来『戦場に出たら何かする』って言う光景が嬉しくって。何だかこうシステムの話ではあるんだけど、クリーチャーたちが本当にそこで頑張ってるような気がしたんですよね。

果たしてあの頃から何年でしょうか、ちぎっては消え、またちぎっては消え、一人で色んなデッキを作りました。忙しくてマジックが出来ない時期もあったけれど、就職して生活も落ち着き、気付かないうちに時は流れていて。色んなセットが発売され、環境もすっかり変わり、ふと自分のストレージを開けたら、その隅っこにちょこんと、埃をかぶった変位エルドラージが。

ちょこんと埃をかぶった姿を見て、涙がぽろりと出た

絶対にこのカードを使おう。例え周りがどんな環境だったとしても、何としてももう一度彼らのデッキを完成させなければ。

こうして、ハッキリと目指したい構成が決まりました。変位エルドラージは能力の起動に大量の無色マナを必要とするので、先ほどの2マナ土地、魂の洞窟、いずれともガッチリ噛み合っています。これまでのカードたちで、下のリストが見えてきた訳ですね。

ここが本デッキにとって、最初の景色となった

いずれの土地も大量の無色マナを供給するので、エルドラージの寺院を活かすという意味でも、他のエルドラージたちも入れてしまいましょう。これでデッキとして軸足の一つ、『まずはみんなで殴って勝つ』という方針が決まった事になります。

またみんなで揃う日が来ようとは!!

エルドラージたち。もちろん現実を砕くものは最強の突破力を誇りますが、難題の予見者に関してここですごい事に気付きます。彼は戦場を離れてしまったとき、対戦相手にドローさせてしまう。つまり船殻破りとの噛み合いがここに存在する。船殻破りがいる場で難題くんが除去されたり、変位くんでブリンクしたら無料でハンデスして宝物まで付いてくるじゃん。マジなんだすか???

これってデッキの構造としても非常に面白くて、難題くんってデメリット持ちクリーチャー、4/4っていうサイズもデカい。つまり対戦相手からするとちょっと無理してでも除去したくなる見た目をしているんですよね。彼のハンデスで前方を見てから、まさに相手のその心の隙を突く。それまでの展開、例えばエルドラージの寺院連打とか、そもそも無色2マナ土地の連打から難題くんが出てきた時点で、まさか船殻破りが出てくるとは思わない。一度でもターンが返ってくると、その下がった心理的ガードに船殻破りを構える動きが成立します。とは言っても無色からは船殻破りは出ないので、このブラフを成立させる為には、まさに色を見せない色マナが必要になります。あるじゃん。よし、水蓮の花びらを投入しよう!!

1t目3マナのアクションも肯定する替えのきかない存在

この水蓮の花びらは非常に面白い選択でした。無色土地ペタルエルドラージ連打とくれば、見た目ではエルドラージビートの滑り出しです。部族の特徴として専用土地からクリーチャーを連打する事が多い事もあって、エルドラージデッキ=ほぼエルドラージギミックだけだろうとつい錯覚してしまうし、サイズとしてもそれなりに対処せざるを得ない目前の脅威です。相手としては除去も吐かなければならず、見えている情報だけでは、対応するプランもついうっかり目線が固定してしまう。実はデッキのもう一つの根底である、船殻破りやセヴィンの再利用ギミックに対して、これが文字通り強烈な迷彩となったのです。

ペタルは色マナの確保やマナブースト、魂の洞窟から1~2t船殻破りや、セヴィンの再利用ルートを安定させる役割も持つ

ふーむ、そうすると、割と軸としてはエルドラージストンピィ(ビートプラン)がちゃんと説明できるし成立しそう。殴る力は強いし、変位くんを主軸にしているので、殴り合いという意味でも相手の盤面に器用に触れる。お相手との会話もバッチリ。そしたら今度はセヴィンの再利用と変位エルドラージの能力を何とか活かしたいなあ。このままだと役割が非常に限定的だからです。まだこの段階では墓地から戻すカードも限られているし、ブリンクして嬉しいものも少ない。うーんそしたらそれを逆から言うとつまり…?墓地から戻しても、ブリンクしても嬉しいカードを入れれば良いじゃん。ってこと?

ここで二枚のカードが候補に挙がります。一つは第三の道のロラン。レガシーというよりエターナル環境って置物が非常に強く、アーティファクトコンボなども存在します。変位エルドラージの能力やカラカスを使ってロランの再利用を繰り返すことで、各種置物、力線の束縛など、幅広く対処ができる。それになんと言っても最大の理由は、下の効果が船殻破りと組み合わせるとすごい。えっ今日は自分だけドローと宝物をもらっても良いのか!?こりゃもう、明確にデッキの各種パーツと線でガッチリと繋がれているカードなので採用しちゃおう。よしよし。

次は封じ込める僧侶。こっちの僧侶はちょっと違ういきさつが。実は変位エルドラージとも、セヴィンの再利用とも明確なディスシナジー(アンチカード)を持っています。自分のクリーチャーを墓地から釣ったりブリンクした場合にうっかり追放しちゃう訳ですね。何で採用するかって?本当は3マナ以下の良い除去カードを探していたんですが、プールにこのデッキで使える明確な回答がなかなか見つからない。変位エルドラージは欠色(無色である)を持つので孤独のピッチコストにも使えないし、白の3マナ追放系クリーチャーは、本人がいなくなると場に戻ってきちゃう子ばっかり。しょうがないのでこのディスシナジーを、お相手に使う事にしましょう。変位エルドラージでブリンクすれば、世界線がズレたのか相手クリーチャーが帰って来ない。異世界転生である。ついでに魂の洞窟+ペタルから構える事で、メインボードから青いリアニメイトへの強烈な回答にもなり得ちゃう。うーんこいつも採用しちゃおう。

見た目からも既に軸がはっきりと分かる様に

ほほう、大分しっかりとした形が出来てきたな…。ざっと見て横のカードとの相互関係が薄いのは…クリーチャーは明確に役割を持ってるし、各種呪文もまあ。うっ…。LED…浮いてるのはお前か…。こうなったらLEDにも明確に、セヴィンの再利用以外のデッキ中での意味を与えてやらなきゃならんなあ。マズイ。ぶんキュアによる減価償却枠の自己主張が強すぎる。あっ、でも、無色は出ないけど変位エルドラージに3マナ注げるな。手札を消費し切った後に無色土地と組み合わせて使えば、変位くんをいっぺんに2~3回起動する事は出来るかもしれん。良いじゃん良いじゃん。ん…?そういえば1t目にLED+2マナ土地+セヴィンの再利用で、船殻破り出るんだっけ?ふむ。で、もう一枚戻せる?使い終わったLEDもそのまま戻せるって?

その時ぶんまるに、電流走る

それってもしかして、先手1t目に船殻LEDエコーやって良いってことですか??


先生!ぶんまる君が急に対話を放棄してきました!

再びこれはマズイ。やっぱり永劫のこだまが割り込んできた。でもちょっと聞いてください、これって土地やペタルでクリーチャーを展開するデッキとは明確にプランが合ってるんですよ。仮に船殻破りが場にいなくても、手札を使い切っていた場合に一気に7枚補充できるんです。つまりデッキの息切れが防げるってこと。もちろん相手にも7枚補充させちゃうけど、エルドラージは相手よりも早く強く展開する事が強みなので、それなりに展開した後であれば、相手の手札枚数ってそんなに深刻に影響しない。それよりも自分が後続を引き込むメリットの方があるやも。うーんしょうがない、エコー入れるしかない。入れよう。どうか入れさせて下さい。

これがエルドラージエコーの爆誕である

すごい。これはもう紛う事無きレガシーのデッキだ。全部のカードの繋がりがちゃんと説明できる。残りは土地のスペースと合わせて、あと計10枚弱、よしじゃあこれを潤滑油置き場にしよう。セヴィンの再利用があるから、なるべくは呪文よりパーマネントが取りたい…。LEDによって手札を全て吐き出す動きになるから、万が一そこから立ち直れるカードが必要だ。とすると単体で勝ち切れるものか、後続まで繋ぐものか。今回は赤を取って、久しぶりに歴戦の紅蓮術士を使いたいな。セヴィンの再利用や変位エルドラージと噛み合うとドローエンジンに変換できるし、消耗戦時はLEDを絡めて墓地からエレメンタルを出す事もできる。似た役割だから鏡割りの寓話と散らそう。寓話はゴブリンシャーマントークンが色マナも安定させてくれるだろうし。わっ懐かしい、聖域の僧院長だ。折角だし入れよう。チャリス取らない代わりに、変位くんのブリンクで数字何回でも再指定できるし、魂の洞窟から出るのも強そうだ。よーし、遂に完成したぞ…!

これこそおうちでレガシー100回記念、ぶんまるの持ち込んだ魂のエルドラージエコーだった

LED+セヴィンの再利用+エコー軸。そしてエルドラージ軸。間をつなぐ各種3マナクリーチャーと変位エルドラージ。できた、このデッキだ。これこそが今日、私にとってのエルドラージたちの魂だ。あの日の思い出を、彼らの灯をまだ消させはしない。実は冒頭の思い出のデッキ、そのエルドラージたちって、大昔の家主さんが私がモダンを始める為に、プレゼントとして贈って下さったものだったんです。つまりこれが私にとっての、心から最上の記念のお祝いでした。


噂のサイドボードについて


ドラコくん、なんで韓国語で登録されてるんだ

ところで、今回のサイドボードですが、デッキの完成と共に心に一つ決めていたことがありました。それは何かというと、デッキの75枚全てを使った構築を仕掛けよう、という事でした。デッキのギアを変える。表と裏。二つの軸。ここで思い浮かべて欲しいのは、このエルドラージエコーのメインボードには二つの顔があるという事です。一つは、船殻破りとセヴィンの再利用による最速1tキルを持った超速のコンボデッキであるという顔。もう一つは、エルドラージの圧倒的な盤面能力を有した極太ビートダウンという顔。

どうでしょう。席についてメインボード戦をしたとき、いきなりLEDとセヴィンの再利用から、墓地を経由して先手1t目に船殻エコーが決まってしまいました。何とかエコー後に投了せず、出てくるクリーチャーを見てみても、ちらほらっとエルドラージが見えるものの、やっぱりデッキの全貌が良く分かりません。1tキルをされずとも、頑張ってエルドラージたちをさばいていると、やっぱり途中でセヴィンの再利用をちょくちょく挟まれたり、LEDエコーがシンプルに使われてしまう。変な3マナのクリーチャーたちも何か出てくる。心のガードは自然と無意識のうちに、『このデッキはエルドラージを投げながら、LEDと墓地利用によるコンボデッキである』という方向に向かいます。サイドボード後この気持ちが拭えず、ああ派手な動きをされてしまった。1tキルもあり得てしまう。墓地対策や置物対策。入れざるを得ない。

そこで、エルドラージエコーの側はどう考えるか。

相手の方の初手が、墓地対策や置物対策で薄くなっている。その初手に対して、自分のデッキはどうなんだ。薄い初手で例えば全力のエルドラージが止められるのだろうか。

答えは否。

コンボパーツを全て抜いて、15枚のサイドボードをデッキに入れる。全力のエルドラージたちは強い。そう信じているから。

このマッチの私のサイドボードは受けるボードではない。押す側だからである。

これが逆ならどうでしょう。メインボード戦でコンボパーツを引かず、エルドラージとシステムクリーチャーばかりが見えたとします。相手の方は同じく無意識のうちに『このデッキはエルドラージストンピィだな、クリーチャー主体のデッキだ』という方向に向かいます。魂の洞窟まで見ていると、自然とスペルを減らしてしまう。打ち消しも減らそうかな、否定の力は要らないな。除去をもうちょっと増やそう。

そこでやはり同じく、エルドラージエコーの側はどう考えるか。

相手の方のデッキのガードは下がっている。目線はエルドラージに向いている。その初手に対して、意識の外からの全力のコンボルートは止められるのだろうか。

やはり答えは否。ガードが下がるのであればサイドボードは変更しない。このままメインで行きましょう。

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と…。与太話はさておき、技術的に分かりやすい話でしていきますと、自分のデッキの方が相手より強いと仮定する事で、何かへの対策を取る=デッキを弱くすることよりも、ある特定方向に揃えてさらにデッキを強くする事を今回は選択したんです。でも自分のデッキが強いかどうかって分からないので、強いと信じてみる事にした訳ですね。今回の遊び方の設定、みたいなものです!実際この時、こちら側からのコンボデッキ耐性は、同じコンボをぶつけるか、数枚相手に干渉できるカードに頼る他ありません。でもそれくらいならひょっとすると案外行けそうな気がしたんです。

さて、本デッキはエルドラージデッキでありながら、メインボードにはウギンの目が入っていない。これはあくまで変位エルドラージを主軸としたメインボードだからです。システムクリーチャーにも、変位エルドラージの能力にもマナを出せないウギンの目は、メインには入れられない。だから、サイドからエルドラージのミミックと共に全部突っ込む。そうすると、やはり同じデメリットが出てくる。ウギンの目からマナが出ない。これを克服したいけれど、アーボーグの様に土地のセット権は使いたくない。そもそもアーボーグもヤヴィマヤも、デッキのメインカラーと色が合わない。そこでゲーミング力線の出番です。ドラコは力線と揃うと無色土地から出せて、後続のエルドラージの場持ちを飛躍的に向上させる。最強の地上戦。私の今回のサイドボードは、これを目指しました。

この二つの顔を使って、何がどれだけ見えたのか、相手の方の目線はどこにあるのか。相手のデッキの強みとは、弱みとは。人の心理。互いのデッキの理論。これをコントロールするサイドボード。はい!これこそが今回持ち込んだデッキの全貌でした。



後書きのような何か


いやー、ついつい、いっぱいお話をしてしまいました。

デッキの構造や、サイドボードの心理戦の部分を含めて、今回フルに記事を書いてしまったので、もう既に全貌が見えちゃいましたので、これからは上手く使えないかもしれません。それでもやっぱり、一つの物語をこうやって追いかけるのって素敵でしょう?読んで下さった方の心に何かが残れば、一人この趣味を大切に思っている人間として、私はとても嬉しく思います。

それでは本日は、こちらで末筆まで。

皆様にもどうか、そんな素敵な思い出がありますように。それじゃまたね!

ぶんまる

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