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声優育成ゲーム「Cue!」すごいんだよ…

2020年11月1日、シャニマスPの間に衝撃が走った。
前日10月31日から開催されていたライブ「THE IDOLM@STER SHINY COLORS MUSIC DAWN」の2日目、「ノクチル」に所属する人気アイドル・樋口円香役の土屋李央氏が出演していなかったのである。
なぜか?
そう、土屋氏はもう一つライブ系コンテンツに出演しており2日目でブッキングしてしまったのだ。2日目はそちらのライブに出演した。
そこでシャニマスPや評判を聞いた人間に存在が知れ渡ったのが
次世代声優育成ゲーム『CUE!』だ。

次世代声優育成ゲーム『CUE!』とは?

「CUE!」はスマートフォン向けソーシャルゲームを軸に展開するコンテンツで、2019年10月25日にリベル・エンタテインメントからリリースされた、
ちょうど1周年を迎えた美少女育成系ゲームだ。
アイマスやラブライブ!がアイドル、バンドリやSHOW BY ROCK!がバンドなのに対してこのゲームで育てる女の子らはズバリ声優
プレイヤーは声優事務所の新人マネージャーとなり4人ユニットx4組、系16人の女の子達を一人前の声優に育てるのが目的となる。
…これがエグい。

新人声優演じる「新人声優の演技」という残酷ショー

何がエグいかというと、このヒロイン達を演じるのが実際に新人声優中心に集められたキャストだということ。
今時の声優さんの仕事も色々で、歌って踊ったりバンド組んだりラジオやテレビに出たりと多種多様ではあるが、結局のところメインは声の仕事…アイドルとしてライブ出るのも、バラエティ出演もあくまで声優としての実務の上に成り立っているわけで本丸はあくまで声の仕事に変わりない。
その上で、このゲームでは声優さんが「新人声優」のキャラを演じている
ゲーム中実際にアフレコ収録をして、声が入ったショートアニメを鑑賞できる。基本声をあてるキャストの声優(キャラ)は決まっているが、実はこのキャストは演じる役柄ごとに他15人に変更が可能でアニメ映像付きで聞き比べることができる。
そう、演技力が聞き比べられてしまう。
これは受け取る側の解釈次第ではあるが、「新人声優さん(中の人)が演じる新人声優(キャラ)」という薄いオブラート越しに新人声優さん(中の人)の演技力が感じ取れてしまう。
この人は上手いなとかこの人抑揚出し過ぎて違和感ない?とかなんか感情表現キャラと合ってなくない?など人によってそれぞれだが違和感を抱いてしまうこともしばしばある。
声優さん(中の人)はこれから売り出していこうという新人が多く、これ以外の演技が知られていない人が殆ど…となればどうしてもここでの演技がその人の演技のように思えてしまう。もちろん「あえて新人らしい演技にしている」可能性もあるが…
歌なら「キャラを演じて歌ってる歌」だしダンスやバンドや舞台やDJもあくまで声優さんが演技の上でやっていることだが、このゲームで見せているのは「アフレコ演技」
これはとても残酷なことだと思う。
そしてすげえ…と思わず震えてしまった。
だって声優ファンにとって声優の演技力への言及はタブーだもの。
ちょっとどうかな?と思ったとしても普通は表立っては言わない。少なくとも名前が出るところで名指しでは言わない。エゴサした本人が悲しんだりファンがイヤな思いすると考えたら、まともな神経していたら言えないよ…
でもこのゲームはまだファンになってないよく知らない新人さんが多い分、「個性」としてより「優劣」として演技を見てしまう。
声優ファンが目を逸らしがちなことを目の前に突きつけてくる。
よくこんなことができるなと感動したよ…このゲームやべえよ…

生々しいゲームシステム

ゲームの基本的な流れは以下の通りだ。

1. 各アフレコに向けてレッスンをする。2. レッスンの習熟度が100%に達したらアフレコ収録に挑む。
3. アフレコが目標成績に達すれば成功。全3話のアニメが鑑賞できる。
4. 進行により解放されるシナリオを読む。

最初の4章はそれぞれ4ユニットの顔見世的な内容で、それぞれ別なアニメの収録を通して彼女らの成長を追う内容となっている。章ごとに新しいショートアニメが用意されていて、2020年11月現在 9章まで実装されている。
レッスンもアフレコ収録も4人編成で、事務所所属して間もない新人たち4人をそれぞれユニット組ませて売り出しているシナリオとシステムが実に噛み合っている。あるよね。
レッスンでキャラのレベルが上がったり育成アイテムが貰えるが、このレッスン…編成した4人が必ず全員出席するわけではない…
キャラ(のカード)ごとに出席率が設定されていて、一定確率でレッスンを欠席する。
画面左下にレッスンの様子のログが表示されるのだが「舞花は特売セールで休みか…」「あいりは電車遅延で欠席か…」「千紗はバイトの代打で休みか…」など欠席理由が流れる。ものによって「風邪なら仕方ないな」とか「おい新作ゲーム出たから欠席ってなんだよ」とか思ってしまうし誰だってそう思う。
いろんな感想を抱いてしまいがちだが、実はこれ割とリアルらしい。事務所ごとの方針によるが、あくまで声優は事務所から業務委託される個人事業主という関係上レッスンの欠席についてあまり強くは言わないところもあるそうだ。ちゃんとしてるところはちゃんとしてるとは思いますよ。
人によって声優業にどれだけ重きを置いてるかも違うだろうしね。副業でやってる人から声優業一本の人まで。
もちろん現実の方のマネージャーも人の子なので「この子ちゃんと出てきてくれるし仕事回そう」「あーこの子来れないんだあんまり無理させちゃいかんか」など優先度に差が出てきてしまったりするそうだけど。
Youtubeの4GamerSPチャンネル内わしゃがなTVでも中村悠一氏がそんな話してたし。

【わしゃがなTV】おまけ動画その26「初任給」【中村悠一/マフィア梶田】

また、シナリオも見どころだ。
プロローグシナリオでは声優事務所に出入りすることになった主人公が、先輩マネージャー・五十嵐りおに連れられ秋葉原街頭でスカウトに挑戦する。
その際にりお先輩に「自分は詳しくないが、どういう子をスカウトすればいいか」と聞くとこう答えられる。

「声がいいだけじゃなく、かわいい子。顔だけじゃなくて全体的に『応援したい!』と思える子だからね」

…嘘が無いなー。
ネットや何やでは「声優って最近色々求められて大変だよなー顔がいいとか歌が上手いとか踊れるとか…声優って声の演技だけをするべきだろ!」と言う人もいるが、無責任な願望だと個人的には思う。それで商売が成り立ってる以上、やれるならそういう仕事も貪欲に受けたいのが新人だろうし。

また主人公「マネージャー」は別にキャラからモテたりしない。
キャラは正面向いて話しかけてきたりはするが、基本的にマネージャーに過剰な好意を向けることはなく、話すことといえば日常の悩みや仕事の不安、同ユニットの仲間のこと。
そりゃそうだよ、早く一人前の声優になって仕事取れるようになりたい、と必死なのに手を出すとかありえないじゃんそりゃ…

そういった視点から「生々しいゲームなんだなあ」という感想が出た。

まだ輝いてない「声優のたまご」たち

序盤4章のシナリオでは、各4人が事務所に所属しユニット結成を社長から告げられ、寮生活のスタートからの姿が描かれる。
タレント志望の美少女キャラたちが同居生活だ、それはキャッキャウフフもするだろう…と思ったらそうはならない。

下は中学生、上もせいぜい二十歳前後なんて若い女の子たちが集められて、初めて他人同士の同居生活が始まるんだ、トラブルは起こる。
私物を共有スペースに放置する、勝手に他人の私物を使う、自分の実家ルールを押し付けるなど「若いもんね、そんなもんだよね!」と納得するほかない。
これが各キャラの押し付けがましさ、わがままさ、他人の見えてなさなどを包み隠さず描写している。もちろん人によるが正直言って最初は各キャラのことをだいぶ好きになれない。
普通美少女コンテンツでは美少女同士は基本的にここまで衝突しないし、イヤな部分をお出ししない。
このゲームはもう一歩踏み込んだ内容で書いていて、まだ新人の子たちが先行きの見えない中で余裕のないところからスタートする。
これがたまらない。
仲間との衝突を経て「やりすぎたかな…」とか「よくなかったかも」と反省して成長したりはするが、基本的に性格は変わらない。人はそうそう変われないんだ…
暴走して振り回された側もそんな性格をすべて受け入れているかといえば…「まああの子はそういうとこもあるけどいい子だよね」とあくまで受け入れられない部分は受け入れられないままとして仲間同士になる。
この社会人的な距離感が声優って題材にマッチしてて実に味わい深い。
友達だからって何もかも受け入れられるわけじゃないよね、つーか仕事仲間なんだから完全な友達感覚ともちょっと違うよね。というリアリティが出ている。正直かなり共感する。

まだ新人だもの若者だもの、全然キラキラしていない。だがそれがいい。
それがCUE!で描かれる声優のたまごの姿だと思う。

いい具合にマイルドな新人声優リアリティショー

リアリティがあって生々しい、と語ってきた。
けれどこのゲームはこのゲームでだいぶエンタメとして成立する程度にマイルドにしてあると思う。
欠員も出ずにみんなデビューしてちゃんと仕事ゲットできているし、何より事務所に所属する前の部分は描写されてない。

ここでわき道にそれるが、関連媒体とそこから派生して言及する。
このコンテンツ、楽曲はポニーキャニオンが提供しており、他に文化放送超A&G!+で出演声優4人がパーソナリティを務める帯番組「A&G NEXT ICON 超!CUE!&A」が放送されている。
文化放送のネット放送局「文化放送超A&G+」では開局初期から新人声優を起用した帯番組が放送されており、
前進の「超ラジ!」「Lady&Go」「5stars」「超CUE!&A」
という変遷をたどっている。この枠は色々な事務所から売り出し中の若手が起用されており、その後売れっ子になっていった人も多い。
文化放送ではその他にも新人枠がある。事務所所属を問わずむしろ声優じゃなくても出演者に応募可能な「本気!アニLOVE」は採用されれば最低2クール、好評なら4クール番組が持てる。他にも単発の番組が複数あって、文化放送がもつ専門学校A&Gアカデミーの生徒にMCを務めさせる番組や専門学校OBに地下アイドルユニットを結成させて放送後に文化放送社屋前野外ステージでライブをする番組もあった。
そこ出身でその後売れっ子になった人も居るし、その後全く見ない人も大勢いる。何より、それらの番組は2020年9月の番組新編成まででほぼ終了している。
彼女ら彼らはどうしているだろうか。何人かはtwitterで近況は見れるが。

シビアな世界だと思うし、そういうものだとも思う。
それを考えたらだいぶマイルドで楽しめるように作られている…と思う。

やろう!「CUE!」

まとめると、「CUE!」は
「最初から輝いてない若者が成長していくのを見守りたい」
「不安も苛立ちも嫉妬も抱える活き活きとしたキャラが見たい」
「声優番組で時々話されるシビアな裏側に心が痛まない程度に興味がある」
シャニマスの樋口円香役の土屋李央さんの演技が見たい」
デレマスの久川凪役の立花日菜さんの演技が見たい」
アイカツスターズの七倉小春役の山口愛さんの演技が見たい」
という人に間違いなくオススメできるアプリだと思う。

「CUE!」はリベルエンタテインメントからiOS/Android対応でリリース中

「超CUE!&A」は文化放送超A&G+で月~木曜20時から放送中

興味を持ったらぜひ触れてみてほしい。

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