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「green diary」発売記念記事 中島愛≒ランカ・リー

.この記事はまめぐニワカの筆者が書いています。
しっかりライブを追っていたりはせず、知っている部分を手掛かりに断片的に書きました。
2021年02月17日放送「ノン子とのび太のアニメスクランブル」に出演された中島愛さんの話と、それらの知識を基に書いています。
ご了承の上で、お読みください。

新アルバム「green diary」

中島愛さんの新アルバム「green diary」が2021年2月3日リリースされた。
公式サイトには以下のようにキャッチコピーが書かれている。

“いまこそ私は、あなたと向き合いたい”

中島愛にとってデビュー時からの特別な色──<緑>をテーマに、誰もが胸の中に抱く<私の中のあなた>を十色の緑色で描いた、中島愛5枚目のオリジナルフルアルバム。

この「あなた」とは何か。
そう、ランカ・リーだ。

ランカ・リーとは何者か?

ここでランカ・リーとは何者か、この記事を読んで頂いている方には釈迦に説法だとは思うが簡単に解説させて頂く。
人気ロボットアニメ・マクロスのTVシリーズ「マクロスF(フロンティア)」のダブルヒロインの一人、緑色の少女がランカちゃんことランカ・リーだ。

地球を出た人類が巨大な移民船マクロスで宇宙各地に散らばっている時代。
もう一人のヒロイン、シェリル・ノーム(演:遠藤綾、歌:May'n)は銀河を舞台に活躍するスタア歌手で、主人公早乙女アルトたちが暮らす巨大移民宇宙船団にやってくる。歌の好きなランカは彼女に憧れて「ミス・マクロスフロンティア」に応募したことから芸能活動を始め、やがて才能を開花させていく。
主人公アルトを巡る三角関係と物語の展開に、このランカの歌が影響していくことになる。

中島愛はこのランカの声優オーディションVictor Vocal&Voice Auditionでキャスティングされたところから活動が始まる。声の演技も、物語のカギになる歌も歌う重要な役柄であり「このアニメ企画を通じて一人の新人歌手兼声優を売り出していく」という趣旨のオーディションでもあった。

このアニメは爆発的にヒットした。TVシリーズはもとより映画化もされた。
代表曲が主題歌「トライアングラー」「ライオン」、そして何と言っても「星間飛行」だ。
作中のランカのライブ上で歌われたこの歌は、作品を代表する曲の一つで、
作詞の松本隆氏は銀河一のアイドルのデビュー曲というオーダーでこの歌詞を書き上げた。ミクロなラブソングでもありマクロな愛を歌ったこの曲は爆発的に人気となった。

どう人気だった?当時のアニソン事情

ここでマクロスF当時の日本のアニソン界隈について解説させて頂く。

まずWEBからだが、当時ネットでは新たなメディアが現れてきていた。
一つが動画アップロードサービスだ。
海外サービスYoutubeがサービス開始、2007年06月19日に日本語版サービスが開始した。個人が気軽に動画をアップロードすることができるようになり、後を追うかたちで日本国内でもニコニコ動画がサービスを開始した。
このニコニコ動画中心に流行ったのが「うたってみた」だ。人気ポップスやアニソンを歌った動画をアップロードしたり、個人製作でPVを付ける人も現れた。

もう一つがSNSで、特に2008年04月23日に日本語版サービス開始のTwitterだ。140文字の短文ミニブログとして普及したtwitterだが、日本のオタクの間で流行ったのがアニメ実況。つまりアニメ放送に合わせて感想コメントをリアルタイムで投稿するというもので、これ以前は匿名掲示板を中心に行われた。

2008年4月に放送開始されたマクロスFは、こういった媒体で放送とファンの反応がリンクしたごく初期のアニメだったともいえる。特に星間飛行の、サビ前のフレーズ「キラッ☆」は実況で並ぶ、または画面を埋め尽くすコメントの一つだった。

またサービス初期のニコ動にて、中島愛本人が新曲「Be Myself」を投稿し話題になるという事件もあった。

WEBだけじゃなく、リアルでも大きな動きがあった。
アニソンライブ需要の高まりだ。

ニコニコ動画を運営するドワンゴはそれ以前は着メロやゲームなど携帯向けコンテンツを提供する会社だったが、2005年からアニソンのフェスライブ「Animelo Summer Live」、通称アニサマを開催する。
それ以前から「スーパーロボット魂」などで高年齢アニメファン、つまりはオタク向けのアニソンライブ興行はビジネスとして成立すると前例はできていた。それを「アニソン」という大きな括りで歌手を募りライブを開催したのがこのアニサマで、人気ライブイベントとしての地位を盤石なものとして2019年まで毎年開催された。

こうしたアニソンライブ需要の高まりに合致したタイミングで展開されたのもまたマクロスFだ。
2008年のアニサマにシェリル・ノームの歌唱担当May'nが出演し「ノーザンクロス」「射手座☆午後九時Don't be late」を歌った。その後2011年までマクロスF関連の曲が続いた。
一方中島愛は2009年からソロライブツアーを東名阪3都市で展開、ここではマクロスFの新曲も披露された。
合同ライブにソロライブ、どちらもレコード会社のVictor内アニソンレーベルFlying Dogは重視していた。

このようにWEB・リアルでの当時のアニソン界隈の広がりがマクロスFの歌唱面での展開に拍車をかけた、ということができる。

中島愛さんとは何者か?

長くなったが、話を中島愛さんご本人に戻す。

先述の通りマクロスF新人オーディションに応募した彼女だが、元々は茨城に住む音楽と演技の好きな女性だった。
声優志望者によくある声へのコンプレックスを抱きながらも、演技を学びたいと思いスターダストプロダクションへ入所。当時はアイドル予備軍として活動しており、おニャン子から遡りCoCo、というようにグループアイドルの楽曲や、アイドル関連の本を掘っていた。その中には吉田豪『元アイドル!』などもある。(この時の80年代アイドルへの研究経験が2019年のカバーアルバム「ラブリー・タイム・トラベル」や80年代アイドル出身歌手との共演にも繋がる)

この後様々なオーディションに受けるもなかなか結果に恵まれず、この辺りが潮時かと事務所に挨拶に行ったところ、「これが最後でもいい、これを受けてくれ」とオーディションを勧められた。
それがマクロスFヒロイン(歌姫)のオーディションだった。

マクロスFでのランカ役を通じて、その後も声優・シンガー活動を積み重ねていった。
2014年「ハピネスチャージプリキュア!」で主役キュアラブリー役として出演し、それを前後して歌手活動無期限中止。またスターダストを退所しフリーとなった。
2016年末に新事務所であるビクターミュージックアーツ内のe-stone musicへ所属し、歌手活動再開
以後はシンガーからアーティスト寄りな、本人作詞や本人色の強い座組の楽曲提供(RAM RIDER、tofubeatsなど)も増えた。

ランカちゃんとまめぐの関係

ここまで書いてきたように、中島愛さんの声優アーティストのキャリアで、ランカ役は声優活動の始まりであり大きな比重を持つ存在だ。

「ライブに出た時、私が演じたランカ・リーの髪色が緑色なのでペンライトの色を自然と緑にしてもらえていて。」
「『ランカリー=中島愛』と出演欄に書かれていて、自分の前に役の名前がある。ランカと私をある種、重ねて見て頂いてる。ありがたいことではあるけれど、キャラクターと自分では違う部分が出てくる。キャラクターは歳を取らないが私は歳を取る。長く演じさせて頂いていて、そのギャップを考えてしまう部分がある。」

02/17に出演されたアニメスクランブルにて、大体このようなことを語られていた。

これは声優に限らずドラマや映画の俳優にもよくあるエピソードで、大きな役を演じた俳優がその後も代表作のイメージで見られるのはありがちだ。
代表例がキッズ向け特撮ヒーロー番組、また社会現象レベルでヒットしたドラマ…「あのライダーの人!」や「よくクズの役やってる人だ!」など。

イメージが浸透するということは俳優にとってありがたくもあり、また制限を与えることでもある悩ましいものでもあるのだろう。
そういった経験も経て、2021年新作短編アニメ「劇場短編マクロスF~時の迷宮~」が公開される。監督・脚本・絵コンテを河森正治監督が担当する、正真正銘新作アニメ映像だ。

ランカ・リーというキャラはアニメ以外も継続して演技する機会があった。スパロボや、スマホ向けソーシャルゲーム「歌マクロス スマホDeカルチャー」、その他外部コンテンツへの客演など多岐にわたる。
それでも今回、今やマクロスF決定版である劇場版から10年後、アニメ映画でランカを演じる機会が来たのだ。

アニメスクランブルで、メインMCの日髙のり子さんはそのことに共感を示していた。

「私もね、タッチで浅倉南ちゃんを演じてから大体10年ぐらい後に『タッチのその後』(TVSP『タッチ Miss Lonely Yesterday あれから君は…』)を演じさせてもらうことがあって。10年後にまたあの時の役が回ってくるってこともあるのよね。」

大体こういった内容のことを語られていた。ちなみに日高さんは、アイドルから声優へと活動をシフトしてのデビュー作が、超時空騎団サザンクロス。マクロス1作目から続く超時空シリーズの3作目だった。偶然は重なるのか。

この機会に今まで悩みながらも演じてきたランカ・リーに再び向き合った。それが今回のアルバム「green diary」だという。

00年代後半に多感な時期を送ったオタクとしては、このまめぐの「ランカと今一度向き合う」という動きに深くエモさを感じてしまう。
新作映画であのランカが、シェリルが戻ってくる。前回の映画から続く話なのか。
待ち遠しい気持ちは募るが、まず今はこのgreen diaryを聴いて待とう。

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