Sasieni / FOUR DOT / MOORGATE
レストア前
Sasieniラスティック、FourDotです。
ラスティックのFourDot、1本は欲しくてずっと探してたんですが、やっと手頃な価格でゲットできました。
ロット売りの中に紛れてた。
全部安物の中で一本だけ場違いに。
こういことあるからロット売り漁るの好き。
宝探し感。
刻印は消えかけてますが、シンプルな筆記体の"Sasieni"の下に"FOUR DOT"、タウンネームは"MOORGATE"。
左側にアーモンド型の"MADE IN ENGLAND"がうっすら見えます。
それまで刻印されていた特許番号が廃止されて、かわりに"FOUR DOT"が刻印されはじめるのは、1946年、2代目サシエニさんの時代から。
んで、1950年くらいから、"FOUR DOT"の後ろに仕上げ方式が刻印されるようになります。
"FOUR DOT RUSTIC"とか"FOUR DOT NATURAL"とか。
なので、多分2代目サシエニさん最初期の、1940年代後半生まれ。
"MOORGATE"は、FourDotで採用されているシェイプコードで、数字の代わりに都市名が設定されています。
ムーアゲートはポッドです。
サシエニを代表する人気シェイプの一つらしい。
写真だと水色に出てるけど、ドットはほぼ白。
これは、第二次大戦後、ライトブルーのエボナイト棒が入手不可能だった時期(1947年頃)の特徴みたい。
さらにルーペでよく見ると、ステムの裏側に、特許番号らしきものが。
たぶん、PAT.No 150221/20。
1920年代のアルミフィットメントに関する特許番号。
刻印から消えた特許番号がこんなところに。
アルミフィットメントは付いてなかったけど。
ボウルトップはスムース。
カーボンは薄め。
ステムは、裏側に大きめの凹み。
犬歯で食いしばった感。
でもシャンクとの段差もなく状態は良い。
ボウルのお掃除
ロケットリーマーとナイフでカーボンをゴリゴリ。
あんまり厚くないのですぐ終わる。
コットンとモール詰めて、アルコールメソッド。
何度か注ぎ足して一晩放置。
ボウルは割と綺麗。
ボウルを軽くリーミングしたら、ストローブラシとモールでシャンクを綺麗に。
こっちは結構汚れてる。
乾いたモールに色がつかなくなるまでエタノールつけてゴシゴシ。
ダボの段差のエッジとかは竹串とかで引っ掻く。
ここに汚れが溜まりがち。
内側綺麗になったら、キッチンペーパーとモール詰めて、マーフィーのオイルソープで外側を洗います。
原液を歯ブラシにつけてゴシゴシ。
ぬるま湯の流水で洗い流します。
乾いたら、ボウルトップのスムース部分とか、エッジの部分を軽くヤスリ掛け。
800くらいから2000まで。
傷を完全に無くそうと思ったら結構ヤスらなきゃいけないぽいので、ここは味として残そう。
木が柔らかいし、ボウルトップはどうせすぐ傷つくし。
スムース部分を白棒バフして仕上げた後、全体に椿油を塗りこんで、あまり放置せずに拭き取り。
歯ブラシで溝にもしっかり。
色味が戻ってピカピカに。
黒塗らないとかなあと思ってたけど、要らなそう。
時間あったので、一晩乾燥させてからワックス掛け。
ルネサンスワックスを歯ブラシでゴシゴシ。
拭き取って、カルナバをバフ掛け。
溝にカルナバが詰まりまくるので、ヒートガンで軽く送風。
みるみるワックスが溶けて気持ちいい。
その後、カルナバ布で磨いて、豚毛の靴ブラシでゴシゴシ。
ピカピカ。
最後に、蜂蜜をエタノールで薄めて、ボウル内に軽く塗布。
ボウルの保護と共にカーボン付きやすくなります。
底に溜まった余分な蜂蜜とかはキッチンペーパーで拭いておくと、一晩くらいでほとんど乾きます。
使う前にまだベトベトしてたら、シガリロを一本、ボウルを灰皿にして吸って、灰を擦り付けちゃいます。
カーボン生成の一歩目をフライングする感じ。
ひとまずボウルはおしまいです。
ステムのお掃除
まずはオキシ漬け。
オキシクリーン10gくらいを60度くらいのお湯で溶かして、泡が出なくなるまで漬けときます。
取り出したら激落くん的メラミンスポンジで表面のぬめりをこすり落とし、流水で洗い流します。
オキシ漬け終わったら、ドットの部分に木工用ボンド。
完全に乾いたら、エタノールにドボン。
ヤニがもわ〜っと出てきます。
木工用ボンドでマスクしとかないと、エタノールでアクリルとかは溶けちゃうことがあります。
ボンドは洗ったり磨いたりしてる途中で剥がれるので大丈夫。
10分くらいしたら取り出して、モールに色がつかなくなるまでブラシでゴシゴシ。
洗浄おわり。
サシエニはダンヒルとかに比べて変色しないイメージ。
割と洗浄だけで綺麗な黒になります。
次はティースマーク。
凹んでるとこをライターで軽く炙ります。
すると多少凸ってきて凹みが戻ります。
限度はあるけど。
その後、ダイヤモンドブラシで軽く成形。
ボタンのとこのエッジもここで軽くヤスっちゃいます。
紙ヤスリだとエッジ逃しがちなので。
周りを400〜1000くらいヤスリかけた後、黒い接着剤を凹んでるところに盛ります。
接着剤前にヤスリかけとかないと、接着剤との境目に変色残ったりするので注意。
接着剤がしっかり乾いたら、ダイヤモンドヤスリで再び成形。
あとはまた400〜2000までヤスリ掛けして、白棒バフとコンパウンド。
なんですが、
接着剤は周りより柔らかいので、ヤスリ掛けの過程で、結局ほとんどなくなっちゃったりします。
凹み残っちゃった。
この場合、また接着剤から工程を繰り返し。
今回は、3回くらい繰り返しても段差残っちゃったので、カッとなって滑らかになるまでヤスってやった。
結局。
後悔はしてない。
あとはボウルと合体して、全体をつやふきんで磨いておしまいです。
完成
ツヤツヤピカピカです。
ボウル内もスッキリ。
ステムもピカピカ。
吸い口付近以外は、1500〜2000くらいの目が細かいもので軽くヤスッた程度なので、ステムのパテントナンバーも辛うじて残ってます。
おんなじ仕上げのファンテイルとの比較。
おなじ2代目時代、おなじラスティック、おなじスムーストップ。
二人の熟練工が全てのカービングを行ってて、二人は作風が違うって説があるみたいだけど、わからん。
おんなじ人かな?
今回の方が彫りが浅い気がしないでもない。
ファンテイルはセカンドだし弟子とかかな?
今回のフォードットのボウル、ロゴのある側面、真ん中付近にバーズアイが有ったであろう部分がドーンとあって、ラインが途切れちゃうのが少し残念。
反対面は美しいけど。
念願の、家族時代フォードットラスティック。
ラタキアーとしては使いやすいムーアゲート。
ひとまずサシエニは満足した。
以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。
(検)
パイプタバコ パイプスモーキング パイプ