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DUNHILL / SHELL / PATENT No.417574/34 / 104 / 47年


レストア前

ダンヒルはもう集めないと言ったな。
あれは嘘だ。

安いの見つけるととりあえず買っちゃうんよなぁ。
積極的に集めてはいないけども。
まだ前回のロット売り、全部レストア終わってなかったけども。

やたら安かったパテントダンヒル。
珍しいシェイプだったこともありポチッと。
こんくらいで買えたらいいけど、まあ買えんだろな、くらいの金額入れといたら競り勝ってた。
送料込みで、ヤフオクで70年代以降のシェルを買うのと同じか少し安いくらい。
やったね。

おそらく、そこまで高値にならなかった理由として、シャンク底面の彫りがあると思う。
特に説明もなく、アップ画像もなかったので、ここがクラックに見えたんだと思う。
よ〜く見たけど、これはブラスト。
賭けに勝った。
底面の真ん中とかに目立つ彫りが入っちゃってるのも珍しい。
多分パテント以降だと検品でハネられてんじゃないかな。
型崩れ上等の深いブラスト時代だったから通った気がする。

ルーペでよ〜く見ると、シェイプコードの右側に、うっすらDUNHILLぽいのが見える。
多分、通常位置に刻印打とうとしたけど、真ん中の彫りが邪魔で諦めたっぽい名残。
人感を感じて少し嬉しい気持ちになる。

シェイプコードは104。
扁平シャンクのビリヤード。
シャンクが丸じゃなくてオーバル。
横から見るとビリヤードだけど、上から見るとシャンクが広くてボウルが小さく見える。
初めて見た。
そこはかとなくダニッシュみを感じる。

パテントナンバーは417574/34。
スプリングフランジ付きインナーチューブの特許番号。
この番号は1942〜1954年に刻印されてました。

で、MADE IN ENGLAND の上に DUNHILL SHELL が併記で、サイズコードなしで、デイトキーはアンダーバー付き7。
その右にアンダーバー付きの0ぽいのが見える。
なので、1947年製で、多分50年販売。
アンダーバー付きの0ぽい数字は大きめなので、販売年は違うかも。

MADE IN ENGLAND の上に(""が付いてない)DUNHILL SHELL の併記は、47年、53年、54年の特長らしい。
んで、サイズコードの刻印は52年からです。

サイズコードは無いけど、104はグループ4のシェイプらしいので、おそらくサイズ4。
個人的にダンヒルはサイズ4以上が好きなので良かった。

ステムの固着は無し。
インナーチューブ付き。
ただ、フリンジは無くなってた。
しゃーない。
あれは無くす。

カーボンはそれなり。
ボウルトップ左側がちょっと溶けてる。
でもこのくらいの時期のやつだと、ブラスト深くて型崩れ上等なので、時々溶けてる感じのやつあるし、ボウルトップの彫りは残ってるし、焼け落ちてるのかどうかは微妙。
まあ、焼け落ちてたとしてもこの位なら許容範囲。
バレない。

ステムは噛み跡数箇所あるものの、浅い。
綺麗目。

全体的に状態は悪く無い。
パテントダンヒルにしてはかなり安かったし、珍しいシェイプだし、結構掘り出し物。
やったね。


ボウルのお掃除

ナイフとリーマーでカーボンゴリゴリ。
カーボンスカスカだったのか、サクサク削れる。

あらかたカーボン削ったら、コットンとモールを詰め込んでアルコールメソッド。
エタノールひたひたにして、数時間おきに何度か注ぎ足して、一晩放置。

コットン外して軽くリーミング。
シャンクはストローブラシにエタノールつけてゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。

キッチンペーパーとモールで蓋をして、マーフィーのオイルソープで外側洗い。
原液を歯ブラシにつけてゴシゴシ。
流水のぬるま湯で洗い流します。

綺麗になったら見えにくかったとこも見えやすく。
ボウルトップの溶けてるとこは、彫りも残ってるし、ヤスリかけるのはやめときます。

乾いたら、全体に椿油を塗りたくり。
歯ブラシで溝の中もゴシゴシ。
放置せずに拭き取り。

その後、ルネサンスワックスを歯ブラシでゴシゴシ。
拭き取り。
香港の謎会社が作ってるクリーム状のカルナバワックスゴシゴシ。
拭き取り。
固形のカルナバワックスをリューターでブーン。

溝に入ったカルナバのカスは、ヒートガンでブーン。

仕上げに少量の蜂蜜をエタノールで伸ばしてボウル内側に塗布。
ひとまずボウルはおしまいです。


ステムのお掃除

まずはオキシクリーンにドボン。
泡が出なくなったら激落くん的メラミンスポンジで擦りながら流水で水洗い。
表面のぬるぬるを洗い落とします。
ストローブラシで内側もゴシゴシ。

木工用ボンドでホワイトスポットをマスキング。

ボンドが完全に乾いたらエタノールにドボン。
インナーチューブも一緒に。
もわ〜っとヤニが出てきます。
ボンドでマスキングしてないと、ここでホワイトスポットが溶ける恐れあり。

その後、ストローブラシでゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。
今回のはやっぱり綺麗目で、頑固なヤニの塊とかいない。

洗浄が終わったら成形。
まずは歯型をライターで軽く炙ります。
これで凹みが元に戻ったりします。
今回はあんま効果なかったけど。

マスキングテープをテノンにぐるぐる巻き。
今回はオーバルなので左右に綿棒を一緒に巻き付け。
エッジが丸まらないように養生です。
あとは400〜3000までヤスリがけ。
通常2000位までしか掛けないけど、今の紙ヤスリセットに2500/3000が入ってて、全然減らないので使ってみる。

いったんボウルと合体して、白棒バフとコンパウンドで仕上げ。
ステムルーズもなく今回は全体的に楽。

最後に変色防止液という名のパラフィンオイルをステムに塗りたくり、一晩放置。
翌日軽く拭いて、ボウルと合体。
あとは全体をつやふきんで磨き上げておしまいです。


完成

ツヤツヤ、ピカピカです。

ブラストは年代にしては少し浅め。
極端に深い場所が何箇所かある感じ。

ステムもインナーチューブもピカピカです。

同じパテントナンバー、50年製の59との2ショット。
上が今回の。
下は↓。

横から見るとシャンクの太さ全然違うけど、上から見ると同じくらい。
59は普通のビリヤードだけど、並べてみると今回の方が大分シャープで女性的な印象。
彫りは下の方がグネグネしてて好き。

ダンヒルをまとめてる置き場所に、もうスペースがない。
積極的には集めないけど、多分また買うんだろうなあ。
歴史考察的な部分も含めて、結局ダンヒルって楽しいのよなあ。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。



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