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DUNHILL / RED BARK / 60 / 73年 / ④R/B

レストア前

ダンヒルのレッドバークです。
もうダンヒルはあんまり集める気無かったんだけど、訳あり品が安く落札できそうだったのと、グレインが面白そうだったので。
レッドバーク持ってなかったし。

RED BARKは、要は赤いシェルです。
72年に、タンシェル以来20年ぶりに新シリーズとして発表されました。
んで、翌73年に黒いスムース(ドレス)、79年82年に新色濃茶のブラスト(カンバーランド)、スムース(チェストナット)が相次いで発表。

つまり、こういうこと↓

   スムース       サンドブラスト
黒色:DRESS🆕  - SHELL
薄茶:ROOT      - TANSHELL
赤色:BRYUERE     - REDBARK🆕
濃茶:CHESTNUT🆕 - CUMBERLAND🆕

70年代に入り、いろいろ新しくなっていくダンヒルですが、その一環として、スムース/ブラストで各色揃えましたよってこと。
レッドバークは、ダンヒルの代名詞だったBRYUEREのブラスト版ってことです。

でも、レッドバークの色味については少し迷走してて、初期は暗いプラムだったのが、年々明るく派手な赤になっていったそう。
で、75年にピンクに見えるくらいまで派手にしたら売り上げ急落。
結局、翌76年に色味を戻したらしい。

ちなみに、レッドバークは87年に廃止され、ルビーバークという名前に変更されます。

シェイプコードは60。
まあ、普通のビリヤード。
MADE IN ENGLAND の後ろのデイトコードは13。
73年製。
サイズコード4で、R/Bはレッドバークの短縮コード。

レッドバーク初期のものなので、赤いっちゃ赤いけど暗い。
赤身が強めの茶色くらい。
ぶっちゃけ、色落ちしたシェルとそんなに差がないです。

反対側は普通なんだけど、こっち側のグレインが面白い。
細かい孔が沢山出てる感じで、溶岩とか軽石みたい。
シェルとかタンシェルとか、シリーズによってブライヤーの産地が違うって話をどっかで見かけたけど、レッドバークはどこ産なんだろ。
成形した箇所のせいもあるだろうけど、初めて見た木肌。

カーボンは厚め。
ボウルトップにもカーボン乗ってる。
インナーチューブついてるみたいで先っちょが覗いてる。

ステムは汚れが強め。
でも深いティースマークないし、状態は悪くなさそう。

が、ステム外せないってことで訳あり出品でした。
たぶんヤニの固着だろうと思って入札。
取れる取れる。


ボウルのお掃除

まずはステム取り外し。
ステムとシャンクの接続部にスポイトでエタノールたらり。
ボウルからインナーチューブ狙ってエタノールたらり。
で、少しづつ力入れてステム回すとあっさり外れる。
無理やり力入れるとクラック入ったりするので注意。

ワックスや色味を落としたくない!て人は、エタノール使わないで、パイプをしばらく冷凍庫に入れて冷やしてから、ステムに輪ゴム巻いて回したりすると外れるそうです。

ステム外れたらボウル内の掃除から。
リーマーとナイフでカーボンゴリゴリ。
出てくる出てくる。
ボウルトップのカーボンもナイフで軽く落とす。

あらかたカーボン落としたら、コットンとモール詰めてアルコールメソッド。
数時間おきに何回か、エタノールをヒタヒタに注いで一晩放置。
一晩経つと中のヤニが浮いてきます。

コットン取り除いて、ボウル内は軽くリーミング。
取りきれなかったカーボンがポロポロ。
シャンクはストローブラシとかでゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで掃除。
インナーチューブ装着してたからあんまり汚れてない。

再びシャンクにモール詰めて、ボウル内にキッチンペーパー詰めて、マーフィーのオイルソープで外側を洗浄。
原液を歯ブラシでゴシゴシ。
ぬるま湯流水で洗い流します。
内部は濡れてもすぐ乾くので大丈夫。

せっかくレッドバークなので、もうちょっとシェルと差が欲しいと、プラムで染色。
エタノールで染料を溶いて、モールで塗り塗り。
あまり最初から濃い色で塗らないで、薄めを何度も重ね塗り。
塗り終わったらライターで火をつけちゃいます。
アルコール飛ばす。
すぐ消えるから大丈夫。
乾拭きして一晩放置。

少し赤強くなったけど、元々スミみたいに濃い色が木目に入ってたので真っ赤にはならず、結局シェル感強いままだった。

その後、椿油で潤いプラス。
溝にも歯ブラシでしっかり。
あまり放置せずに拭き取り。

ルネサンスワックスとカルナバワックスで仕上げ。
歯ブラシでルネサンスワックス塗って、拭いて、カルナバワックスをバフがけ。

溝に入った細かいワックスはヒートガンでブーン。
その後、靴磨き用の豚毛ブラシでゴシゴシ。

最後に、少量のハチミツをエタノールで溶いて、ボウル内部に塗り塗り。
ボウルの保護とともに、カーボン付きやすくなります。
余分なハチミツ拭い取ったら1〜2日で乾きます。
ひとまずボウルはおしまいです。


ステムのお掃除

まずはオキシクリーンにドボン。
60度くらいのお湯で40gくらい(適当)のオキシクリーン溶かして泡が出なくなるまで漬け込みます。
インナーチューブはアルミなので変色起きる可能性あります。
なので外せるなら外してステムだけ漬け込みます。
固着酷くて外れなかったらそのまま入れちゃうけど。
今回は簡単に抜けた。

泡が出なくなったら、メラミンスポンジで表面の滑りをこすり洗い。
これである程度変色が取れて黒くなります。

ステムが乾いたら、ホワイトスポットに木工用ボンド。

ボンドが完全に乾いたらエタノールにドボン。
今度はインナーチューブも一緒に。

ホワイトスポットはアクリルとかで出来ているので、エタノールに長時間漬けておくと溶けます。
それを防止するための木工用ボンド。
マスクです。

しばらく漬けておくとヤニがもわ〜っと出てきます。
ストローブラシでゴシゴシ。
インナーチューブもゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。
インナーチューブ内の汚れがすごい。
掃除終わって乾拭きしたら、木工用ボンドはポロッと取れます。

テノンにマスキングテープをぐるぐる巻きにしてから、全体をヤスリがけ。
気持ちステムより太くなるまでぐるぐる。
ヤスリでエッジが丸まらないように。
400〜2000までヤスリかけたら、白棒バフかけて、コンパウンドで仕上げ。
あとはボウルと合体して、つやふきんで全体を磨いておしまいです。


完成

ピカピカ、ツヤツヤです。
ボウル内もスッキリ。
ボウルトップのカーボンも無くなりました。

ステムもピカピカ。
インナーチューブも綺麗に復活です。

タンシェル、シェル、レッドバークの色味の違い。
カンバーランドは持ってない。
タンシェルはビリヤードじゃないけど、今の手持ちはこの一本だけなので。
2002年の丸ダン。
シェルは、レッドバークと近い年の69年127。
こうやって並べると赤だね。
光強いからわかりやすくなってるのもあるけど。

なんかホワイトスポットでかい気がしたので、ついでにホワイトスポットの年代比較。
一番上50年代のシェル、真ん中60年代のシェル、一番下が今回の70年代レッドバーク。
60年代が小さいのか。
と思ったけど、60年代シェルでもレッドバークと同じ大きさのものもあったので、年代別で変わるのか個体差で変わるのか、よくわからん。

考えてみると、ダンヒルならではのBRYUERE色のシェル、ということか。
いいとこどり。
あんまり流行らなかったくさいけど、なんでだろ。
一本くらい持ってて良いと思う。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。


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