SAVINELLI / PUNTO ORO / 121 / KS
レストア前
今回購入したロット売りの本命その1、サビネリのSea Coralです。
サビネリのマシンメイドの中ではハイグレードの、PUNTO OROライン。
これがずっと欲しかった。
けど、ぶっちゃけサビネリマシンメイドに数万は出したくないな〜で、ロット売りに紛れ込んでるのを長いこと探してたんですが、ついに発見。
しかもラタキアーとしては嬉しいポットシェイプ。
SeaCoralてのは、サンゴのことです。
むしろブドウと呼ばれたりするけど、この独特な彫りが好きで、一本は欲しいと思ってました。
シーコーラルを着色したCAPRIというラインは、安いのがちょいちょい見つかりますが、色々真偽不明の噂があるPUNTO OROは中々安いの出てこないの。
PUNTO OROのシーコーラルは、生木です。
塗装無し。
白木仕上げ。
で、メーカー自身が、水道でじゃぶじゃぶ洗ったら嫌な匂いとれるよ!とか言ってたらしい。
特別な品質のブライヤーを使って作られた、ごく少数の職人のみが製法を知っている、企業秘密なシリーズらしい。
念願かなってウッキウキで状態確認…
ふむ….
ふむ….?
穴空いてるーー!
今までボウルの破損はなるべく避けてきたので、本命でここまで外したの初めて…
超ショック。
写真では確認できなかったし、そんな記載もなかったからなあ…
しゃーない。
穴埋めすっかー。
ボウルのお掃除
まずはポットの意味ないくらい分厚く育ったカーボンを削ります。
煙道も塞がってるレベルだったので、ロケットリーマーのグルグルをシャンク側から入れてグリグリ。
せっかく洗えるんだから洗えや先代!
いくらなんでもカーボン育てすぎ。
壁のカーボン削ったら、底の穴周りをリューターで削る。
焦げつきを残すと、結局そこから焦げが広がるらしいし、穴塞ぐための前準備として、穴より広めの範囲を周りより一段下げます。
穴をテープで塞いで、コットン詰め込んでアルコールメソッド。
エタノールヒタヒタにして、数時間おきに注ぎ足し、一晩放置。
一晩経ったらコットン外して、軽くリーミング。
シャンクはこっからが本番。
ストローブラシとかにエタノールつけてゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。
手強い。
中が綺麗になったら、外側も。
経年で濃茶になってるので、エタノールで外側ゴシゴシ。
塗装してないから気楽。
だいぶ白くなる。
その後、キッチンペーパーで蓋をして、マーフィーのオイルソープで洗浄。
原液を歯ブラシにつけてゴシゴシ。
流水のぬるま湯で洗い流します。
そして、せっかくのシーコーラルなので、オイルソープ流した後、流水で中もゴシゴシ水洗い。
かなり白くなった。
ボウルの修理
メインイベント。
穴を塞ぎます。
まず、ひび割れて使い物にならなくなったジャンクボウルをヤスリでゴリゴリ。
ナイフでホジホジ。
ブライヤーの粉とカケラを準備します。
次に、エポキシ系接着剤を準備します。
これは、耐熱/耐薬品/耐水性のやつ。
耐熱240℃でエタノールも食塩水も平気。
2つのチューブを混ぜ合わせたら、5分以内に患部へ塗布します。
ボウルの内側に、ラップを巻いた棒を突っ込んで、患部以外に接着剤が溢れないようにマスクして、外側の穴から爪楊枝で接着剤を押し込みます。
耐熱パテのかわり。
隙間なくびっしりと。
固まる前にブライヤーの粉をモリモリ。
内外共に。
余分な粉を落として、24時間乾燥させます。
固まったら、その上から、透明な普通の瞬間接着剤で、ブライヤーのカケラを周りと馴染むように接着。
乾いたら、荒目のヤスリで軽く馴染ませ。
周辺も軽くナイフで削って馴染ませます。
穴なくなった!
ブライヤーの粉は要らなかったかも。
エポキシ接着剤見えないように、馴染むようにと思って振りかけたけど、透明の接着剤染み込んで一段暗くなるので、結局少しナイフで掘って、具合を見ながら何回かカケラ重ねました。
塗装だったらもっと楽かも。
白木ラスティックだから気楽に出来たところもあるけど。
SAVINELLI刻印は一部消えたけどヘーキヘーキ。
焦げてたし。
内側も仕上げていきます。
まずは無着香の葉巻を準備します。
自分は近所のたばこ屋に売ってるシガリロ。
これの灰を貯めます。
灰が目的なので、昔オマケで手に入れたミニパイプにはめて吸えるとこまで吸う。
3〜4本分くらいの灰が貯まったら、ほんの少量のハチミツと混ぜてネリネリ。
パテがわり。
これを底に盛ります。
凹ませるように削った底が、周りと同じ高さになるように。
ついでに壁にも薄く塗っておきます。
あとは固まるのを待つだけ。
中々固まらない。
待ちきれなくて、時々灰を追加して、軽く鉛筆の裏とかで踏み固めたりしながら、1週間ちょっと。
カチカチになります。
復活!
エポキシ系接着剤で穴を埋める方法、海外のサイトとかでもやってるんだけど、一つ注意点。
耐熱・耐薬品・耐水性と、パイプのレストアにピッタリな特性を持つエポキシ系ですが、直火が当たるところに使っちゃダメっぽいです。
毒性が何たら。
海外サイトはあんまり気にしてなかったけど、国内の接着剤のプロみたいな人が言ってました。
なので、今回、層を重ねたの。
↑こんなイメージ。
最初に底をリューターで削ったのもこのため。
エポキシ系接着剤の上にカーボンの層を作りたかったから。
まあ、ブライヤー粉とか気休めかもだけど。
あとは使ってくうちに、さらにカーボンつくだろうし、多分平気。
ネットで色々見てると、耐熱パテで埋めて終わりって人も見かけるけど、カーボンでバリア貼っておいた方がいいと思います。
それか底の底、ギリギリまで吸わないとか。
何はともあれ、ひとまずボウルはおしまいです。
白木なのでオイルもワックスも無し。
むしろペタペタ触って作業してると、みるみる黒くなる。
白木キープは無理だ。
ステムのお掃除
続いてステムお掃除。
こちらもだいぶ使い込まれてる感。
ただ、サビネリのエボナイト、結構硬めなので深いティースマークは無し。
PUNTO OROは、サビネリのシールドロゴとかじゃなく、ダンヒルみたいなワンドットです。
ただし、白じゃなくて金色。
くすんでるけど。
インナーチューブ付き。
ボウルに比べると、汚れているものの、状態は悪くない…けど、ステムルーズがヤバい。
パッカパカ。
ステムを下に向けると抜ける。
留まりもしない。
ホント先代さあ…
まずはオキシクリーンへドボン。
その他大勢と一緒に。
泡が出なくなったら引き上げて、メラミンスポンジでゴシゴシ。
表面のぬるぬるを流水で洗い流します。
その後、一応ドット部分を木工用ボンドでマスク。
完全に乾いたら、エタノールにドボン。
その他大勢と一緒に。
ヤニがもわ〜っと出てくるので、ストローブラシとかでゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。
インナーチューブもゴシゴシ。
あとは400〜2000までヤスリがけ。
その他大勢と一緒に。
その後、白棒バフとコンパウンドで磨き。
その他大勢と一緒に。
多いなー…
磨き終わったら水洗いして乾かしてから、変色防止液を塗り塗り。
一晩放置で染み込ませます。
最後にテノン部分に接着剤塗り塗り。
乾いたら軽くヤスリがけして、ボウルと合体。
具合見ながら少しづつヤスリがけ。
フィットしたらおしまいです。
ヒートガンでシャンクあっためたりすると、ステムルーズ治ることもあるんだけど、今回は全然効かなかった。
完成
作業中にどんどん色がついてきましたが、だいぶ白くて綺麗です。
ステムルーズも解消されました。
穴も塞がり、分厚いカーボンがなくなってポットに戻りました。
がんばった。
ステムもピカピカ。
硬かった。
金色も色味戻りました。
久しぶりに手強かった。
多少のクラックや埋めは経験あるけど、貫通した穴の手当ては初めて。
ここまで状態悪いの見ると、先代に怒りすら湧くね。
まあ、カーボンは厚ければ厚いほどいい的な時代だったんだろうけど。
ボウルが割れる前で良かった。
以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。
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