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JACONO / queen


レストア前

イタリアの作家、Tonino Jaconoのクイーンです。
ジャコノ、じゃなくて、ヤコノ。
SER JACOPOがサージャコポじゃなくてセルヤコポと読むのと同じ。
イタリア読み?

トニーノ・ヤコノさんは、1981年に、カラブリアのブライヤー工場で働く義父に誘われて、義理の弟と3人でパイプを作り始めました。
義父がコネを生かして良質なブライヤーを手配し、義弟が成形し、トニーノさんが仕上げと販売を行なっていたそう。
でもこれは1年半しか続かず、その後1983年に独立して「JACONO」をスタートさせます。

ちなみに、この義理の弟、同じくイタリアの作家、Posellaさんです。
(どっかでPosellaは上記とは別の義弟と見た気もする)

トニーノさんは伝統的な手法にこだわるタイプで、大型電動工具ではなく昔ながらの旋盤や木工道具で手作業されているそう。
ブライヤーの質が高くてお馴染みの、Claudio Cavicchiと同じとこからカラブリア産ブライヤーを仕入れて、最低3年以上寝かせてから使っています。
昔気質なこだわりの男。

queenはグレード。
JACONOは、チェスの駒にちなんでグレーディングをしています。
Knight (ラスティック)/ Bishop(部分的にラスティック)/ Rook(スムーズ)/ Jack(スムーズ)/ Queen(スムーズ)/ King(スムーズ)。

チェスとかオシャレ。
憧れあるよね。
ルールわからないけど。
そんなグレーディングされるとハイグレード欲しくなる。
で、ちょいちょい探してて、やっと予算内でクイーンを見つけました。
キングよりクイーンがチェスっぽい。

というか、ebayとか中古市場に出てくるハイグレードはクイーンがせいぜい。
キングは見たことないです。
そもそも手作業なんでJACONO自体の流通量も多くないし。
クイーンでもそんなに見ないし、たまに出ても結構高額。
今回もちょっと迷う金額だったけど、今まで見た中では一番安かったので、エイヤで購入。

一箇所ボウルに傷ついてるけど。
ヤスリかけるか迷う深さ。
今回は傷残しかなー。
せっかく綺麗なグレインだし。

カーボンは綺麗にリーミングされてるけど、底の方結構厚めについてる。
状態はよい。
よく見るとボウルトップに旋盤の跡っぽいのが。
手作業感。

シャンクの穴のとこも、手作業感。
手前の壁が少し抉れてる。
焦げたりしたのかな?と思ったけど、穴開ける時に機械入れた箇所っぽい。
ステムルーズなどは無く、ピッタリハマるし。
というか、ステムがキツすぎて、一度外したら入らなくなった。

ティースマークもほぼ無し。
綺麗。

ステムロゴはデフォルメされた「j」。
「i」じゃない。
真鍮かな?
金色のインレイ。
これも手作業とかすごい手間。
ちなみに、Jackとかのグレードは、ここは金属じゃなくて木片だった。
さすがハイグレード。

全体的に使用感はあるものの、だいぶ綺麗。


ボウルのお掃除

リーマーとナイフでゴロゴリ。
底のカーボンが厚くて穴が狭くなってたのでリューターでブーン。
ドバっと。

あらかた取れたらアルコールメソッド。
コットンとモール詰めて、エタノールヒタヒタ。
数時間おきに何度かエタノール注ぎ足して、一晩放置。

コットン外して軽くリーミング。
底にまだ少しカーボン残ってる。
たまたま、昔銀粘土のキットを買った時についてきた棒を最近発見して、これレストアに使えんじゃね?と思ってたので使ってみる。
ちょうどいい。
先が曲がってて、歯も磨がれてないし、いい感じ。

シャンクはストローブラシとかでゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。

内側綺麗になったら外側のお掃除。
キッチンペーパーとモール詰め込んで、マーフィーのオイルソープの原液を歯ブラシにつけてゴシゴシ。
ぬるま湯流水で洗い流します。

乾いたら軽くヤスリ掛け。
ボウルの傷は残す方向で、2000〜3000まで、磨く感じで。
そのあと白棒バフかける。

椿油で潤いプラス。
全体に塗りたくり、あまり放置せずに拭き取り。
グレイン綺麗。

カルナバをバフ掛けして、ひとまずボウルはおしまい。
ピカピカ。


ステムのお掃除

まずはエタノールで洗浄。
アクリルなので長時間漬け込まない。
洗う感じ。

吸い口とテノン部にヤニ固まってる。
ロケットリーマーの後ろについてるネジネジ棒でほじくる。
穴のサイズちょうどいい。
ストローブラシで内部もゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。

吸い口付近だけヤスリ掛け。
深いティースマークはないので800くらいから。
ヤスリかけない部分と差が出ないように、通常2000までのところ3000までかけてみる。

白棒バフかけて、コンパウンドで磨いて仕上げ。
ピカピカ。

ステムギチギチだったので、テノンに鉛筆塗り塗り。
接続がスムーズになります。
シャンク綺麗になったし、多分入るはず。

あとはボウルと合体して、全体をつやふきんで磨いておしまいです。


完成

ピカピカツヤツヤです。
ステムもスムーズに入りました。
カーボンもスッキリ。

ボウルの傷は残ったけど、グレインが綺麗。

ステムもピカピカ。
jロゴが誇らしげ。

義弟のPosellaと。
Posellaはラスティックがキラキラしてて好き。
木目無視して鋭角に掘ってるのが鉱石っぽい。

シンプルなブランデーシェイプで使い勝手良さそう。
パイプ、って感じ。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。

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