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il ceppo / Group6 / F4601

レストア前

イタリアのイルチェッポです。
一本欲しいな〜と思いつつ、なかなか予算内のものがなかったのですが、ロット売りに紛れ込んでるのを発見。
やったね。

イルチェッポは、Mastro de Paja や Ser Jacopo に代表される、ペーザロ派の一角です。
建築家のジョルジオ・インペラトーリという人が、1978年に始めました。
当初は、手頃な価格でクオリティが高い、という評価でしたが、そこまで注目されず。
が、1995年に入社したフランコ・ロッシという人がエレガンスで特徴的なデザインをもたらし、有名になりました。
現在ジョルジオさんは隠居して、フランコさんが妹さんと2人でパイプを製作しているそう。

イルチェッポは、DonCarlos のブルート・ソルディーニが自分探し中の時期に導いてあげたり、L'anatraを立ち上げる前のマッシモ・パラッツィが働いてたり、なんとなく導師的なイメージ。
DonCarlos も L'anatra も好きなので、il ceppo も一本欲しかったの。

il ceppo がちょっと婉曲していて、三角の中に数字入ってる。
これは、初代のジョルジオさん時代の刻印。
フランコさんの時代になると、il ceppo がまっすぐで、円の中に数字が入ってる。

ペーザロ派の派手なデザインってより、クラシックだもんね。
大ぶりで、少し野暮ったくも感じる、マッシブなビリヤード。
自分が好きなダンヒル127に通じるものを感じる。
銀巻きがちょっとだけペーザロ風味。

三角の中に入ってる数字は、グループ番号。
フランコさん時代と情報が混在して正確なとこはわからなかったけど、フランコさん時代のグループ番号は、4〜7がスムースのグレードで、7が最高。
もしフランコさんと同じグループ分けなら、こいつはスムースの上から2つ目のグレードってことに。
ストレートグレイン綺麗だもんね。
最高ランクは数少なかったりする場合もあるから、入手可能なグレードとしてはかなりハイグレード、だといいなあ。

まあ、あくまでフランコさん時代と同じグループ分けの場合は、だけど。
もしかしたら、単純にサイズ表記かもしれないし。
デカいし。

F4601は詳細わからず。

イルチェッポの特徴といえば、ステム天面のでかいCマーク。
コモイじゃない。
銀巻きは結構黒ずみ。
変にステムルーズ。
回すと最初は緩くないけど、途中でフッと軽くなる。

ステム底面には、OWN MADE。
HAND CUT とか HAND MADE じゃない。
珍しい言い方。

アルミフィルター付き。
ピカピカ。
固着はなし。
でもステムとシャンクの設置面に、接着剤ぽい汚れ。
おや?

これ、ほぼミントじゃね?
シャンク内がかなり綺麗。
無垢材的な感じ。
汚れてなくて素の木材感。

ボウルをよく見ると、ボウルトップは煤っぽいの付いてるし、内部上部にはちょっとだけカーボン、というか、使用感ある。
けど、底の方は木材の色のまま。
黒くなってない。
内部上部も黒くなってるの一部だけ。

これ、下手したら1回とかしか使用してないレベルかも。
下手な人が火をつけて最後まで吸わないで終わった感。

初代の時代なのにほぼミント。
しかもハイグレード。
なのにロット売りの一本に紛れてて低価格。
これは掘り出し物感。
やったね。


ボウルのお掃除

リーマーとナイフ入れてみるものの、ほぼカーボンは無し。

とはいえ、一応アルコールメソッド。
モールとコットン突っ込んで、エタノールをヒタヒタに。
数時間おきに何度か注ぎ足して一晩放置。
汚れが出ることは出た。
ちょっとだけど。

コットン取り除いて、リーマー、は必要なさそう。
ボウルトップの煤を、軽くナイフで削ってエタノールでふきふき。
ほぼ取れた。

ほぼ無垢っぽいけど、一応シャンクもブラシ入れる。
すぐ終わる。

使用頻度は少ないとはいえ、1978年〜95年頃、30〜40年とか前のパイプなので、洗浄はします。
コットンとキッチンペーパーで蓋をして、マーフィーのオイルソープで温水洗い。
原液を歯ブラシにつけてゴシゴシ。
流水でジャー。

スムースなので、1200くらいから2000くらいまでヤスリがけ。
銀巻きも3500くらいまでヤスリかけちゃう。
黒ずみ取れてピカピカ。

白棒バフがけ。
銀巻きもブーン。

椿油を塗り塗り。
そんなに放置せずに拭き取り。

銀巻き部分を銀磨きでゴシゴシ。
ピカピカ。

仕上げにカルナバをバフがけ。
銀巻きにはルネサンスワックス。

ステムルーズ解消のために、シャンクをヒートガンでブーン。
銀巻きにカルナバが中途半端に付いたし。

最後に、エタノールで薄めた蜂蜜をボウル内に薄く塗る。
底の方とか木肌見えてるし。
ボウル保護。

ひとまずボウルはおしまい。


ステムのお掃除

他のステムと一緒に、一応エタノールでゴシゴシ。
アクリルなので長時間は漬け込まない。
というか、ほぼ汚れ無し。

ティースマークはないけど、ちょっとだけ使用感あるので、吸い口のとこだけヤスリがけ。
あっちゅうま。

白棒バフかけて、コンパウンドで磨いておしまい。
あっちゅうま。

ステムをボウルに刺してみたら、ヒートガンのおかげでステムルーズ解消。
テノン部に鉛筆ぬって合体。
これやっとくとステムが変に固くなりすぎず、抜きやすくなる。
最後につやふきんで全体拭いて完成です。


完成

ツヤツヤピカピカです。
グレインが美しい。
ボウルトップも綺麗に。

ステムもピカピカ。
銀巻きもピカピカ。

ついでに、印象が似てると思った、ダンヒル127との比較。
これは52年のROOT。
並べるとそんなに似てない。
シャンクの太さは似てるけど、ボウルはこっちの方が縦に伸びてる感じ。
シャンクも少し長くて、こっちの方がデカく感じる。
全体の長さ同じくらいだけど。

グレイン綺麗。
クラシックだけど、肉厚でデッカくて好き。
ともすればやぼったい感じが陽気でイタリアぽい。
ラスティック的なの欲しかったけど、これはこれで。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。


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